Osaka Metro 堺筋線・阪急電鉄のホームドア:天神橋筋六丁目駅の開閉方式と取り扱い
Osaka Metro堺筋線では2022年度にホームドアの本格導入が行われ、直通運転を行う阪急電鉄千里線との境界駅・天神橋筋六丁目駅でも2023年3月5日に稼働が開始されました。ホームドア本体は堺筋線内の他駅と同タイプですが、開閉方式や取り扱いは堺筋線と阪急で異なる部分があるため、それに関連して阪急側独自の機能や付帯設備が設けられています。
目次
1 阪急方面からの入線時は自動開扉
堺筋線内のホームドアは車掌が直接操作盤のボタンを押す手動操作方式で運用されています。列車の定位置停止を検知するセンサ等も設けられていないため、定位置停止の可否も車掌による目視で判断します。
それに対して阪急線内のホームドアは列車の定位置停止検知により自動開扉する方式です。なので、阪急の乗務員が手動で開扉操作をしなくてもいいように、同駅1番線(天下茶屋方面ホーム)に限っては定位置停止検知センサが設けられておりホームドアが自動開扉します。なお、引き上げ線から入線する当駅始発列車(=メトロの乗務員が乗務)の到着時も同様に自動開扉していました。
運転士向け・車掌向けにそれぞれ設けられている表示灯はメトロ仕様ですが、運転士向け表示灯には列車が停止許容範囲内に入ると下部に青いラインが表示されていました。
一方、車掌向けには阪急仕様の表示灯が別途設けられており、定位置停止検知で列車の編成両数が表示されます。同駅に発着するのはすべて8両編成なので必要性は薄いようにも感じますが、これも阪急の乗務員にとって馴染みがある形に統一したかったのでしょうか。
2 阪急方面への出発時は乗降検知機能あり
ホームドア閉扉は阪急も堺筋線と同じく車掌による手動操作方式です。それでも2番線(北千里・高槻市方面ホーム)には阪急側独自の取り扱いに合わせるためのオリジナル要素がありました。
一つは車掌用開閉操作盤の仕様です。1番線を含む堺筋線内の操作盤は押しボタン式ですが、2番線は阪急のホームドアと同じく、手をかざすことで操作を行える光電センサ式が設けられています。
もう一つは「乗降検知機能」が備わっている点です。これはホームドア各開口に設けられた3Dセンサが旅客の乗り降りを常時検知することで、車掌が閉扉操作を行うタイミングをアシストして安全性を高める阪急のホームドアの標準機能です。
2番線も表示灯自体はメトロ仕様ですが、車掌向け表示灯には阪急線方面への出発進路が開通している時のみ上部に黄色いラインが表示され、旅客の乗降を検知すると点滅します。ただし、引き上げ線に入線する当駅止まり列車(=メトロの乗務員が乗務)の出発時は動作していませんでした。
3 おわりに
Osaka Metro他路線のホームドアはトランスポンダによる車両ドアとの連携が主流になっている一方[1]例として、四つ橋線は現在連携化に向けた地上側・車両側の対応工事が進行中。、阪急車も乗り入れる堺筋線は車両側の対応に課題があるためか、今のところ連携化への動きはありません。
それなら、阪急と同じく開扉だけでも定位置停止検知により自動化したほうが乗務員の負担は大幅に減るはずです。あくまで阪急側の機能として導入された同駅1番線の自動開扉ですが、これを他駅で本格導入できない何かしらの理由があるのでしょうか?
出典・参考文献
- 山口 英樹、有岡 謙介「十三駅への可動式ホーム柵導入について」『鉄道サイバネ・シンポジウム論文集』Vol.56、日本鉄道サイバネティクス協議会、2019年
脚注
↑1 | 例として、四つ橋線は現在連携化に向けた地上側・車両側の対応工事が進行中。 |
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