阪神電気鉄道のホームドア:尼崎駅1・2番線の仕様
タイプ | 腰高式(一部二重引き戸タイプ) | |
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メーカー | 京三製作所 | |
開閉方式 | 開扉 | 自動(定位置停止検知・両数検知) |
閉扉 | 車掌手動操作 | |
停止位置許容範囲 | 【推定】±700mm(TASCなし) | |
開口部幅 | 【推定】3,200mm~3,600mm | |
非常脱出ドア | 開き戸式(一部の車両連結部) | |
支障物検知センサ | 3Dセンサ |
阪神電気鉄道の尼崎駅では、2023年度に1・2番線(大阪梅田方面ホーム)でホームドアの整備が行われ、2番線が2024年2月17日、1番線が同年3月16日に稼働開始されました。同社のホームドア設置駅は神戸三宮駅・大阪梅田駅に続いて3駅目です。
1・2番線には車両ドア位置が大きく異なる近鉄車が発着しないため、神戸三宮駅1・3番線などと同じく一般的な腰高式ホームドアが採用されています。
目次
1 ホームドアの仕様
1.1 基本仕様
同駅は本線の大阪梅田方面と阪神なんば線の大阪難波・近鉄線方面の分岐駅で、車両ドア位置が大きく異なる近鉄車は阪神なんば線ホームの3・4番線に発着します。そのため、1・2番線には阪神車および山陽車のドア位置に合わせた腰高式ホームドアが採用されました。
ホームドアのタイプは神戸三宮駅1・3番線および大阪梅田駅と同じですが、二重引き戸タイプと一重引き戸タイプの使い分けがより複雑になっている特徴があります。
本タイプの基本仕様については別記事をご覧ください。
1.2 二重引き戸と一重引き戸の複雑な組み合わせ
同駅1・2番線はこれまでの設置駅と扉配置パターンが大きく異なっており、二重引き戸タイプと一重引き戸タイプ、また左右の扉のうち片側のみを二重引き戸とした部分の3タイプが複雑に入り混じっています。その理由として考えられるのは各編成両数の停止位置設定です。
既設の2駅は4両編成の停止位置が前部または後部に寄せられいたのに対して、尼崎駅は4両停止位置がホーム中央(6両編成の2~5号車)に設定されています。阪神車の一部車種は先頭車と中間車でドア位置が多少異なるため、このような停止位置設定だとドア位置のずれがより複雑になります。
それに、直通運転で乗り入れる山陽5000系は阪神車より車体長が僅かに長いことから、先頭をピッタリ合わせても後方にいくほどドア位置がずれることへの対応も必要です。これらの条件を踏まえて各開口ごとの開口幅が決められた結果、3タイプをふんだんに使い分ける配置になったのだと思われます。
1号車(大阪梅田方)から1両ずつ扉配置を見てみると、前方は一重引き戸の割合が多いものの、後方になるにつれて二重引き戸が増えていくのが分かります。
各号車連結部には原則として非常脱出ドア(4両編成の乗務員用扉を兼ねる)が設けられていますが、車両ドア位置との兼ね合いか4-5号車連結部のみ筐体同士の間隔が狭いため、開けられる構造にはなっているものの非常口ステッカーは貼られていません。
2 ホームドアの開閉方式
同駅のホームドア開閉方式は以下の通りです。
- 開扉:自動(定位置停止検知・両数検知)
- 閉扉:車掌手動操作
阪神のホームドアは、地上側の各種センサによって列車の定位置停止と編成両数を検知して自動開扉するシステムが採用されています。一方、閉扉は車掌が直接操作盤のボタンを押す方式です。
列車検知・自動開扉システムの詳細は別記事にまとめています。
左右両側にホームがある2番線のホームドアは列車の定位置停止検知で両側が同時に自動開扉します。
神戸三宮方にある引き上げ線方面への出発に対応するため、大阪梅田方にも車掌向けのバースイッチ式操作盤[1]黒く横長い部分全体が開閉ボタンになっている。があり、乗務員表示灯も両方面に向けて設置されています。
3 おわりに
二重引き戸式ホームドアは重量が増える・筐体厚みが大きいためホーム幅員が狭くなる・構造が複雑といったデメリットもあるため、できるだけシンプルな一重引き戸を多く採用したいという考えもこのような配置の理由かもしれません。
1・2番線以外へのホームドア整備については引き続き検討を進めていくとしてます。一方、2025年度には甲子園駅1・4番線で腰高式ホームドアが設置される予定です。
出典・参考文献
- 尼崎駅(1番線・2番線ホーム)におけるホームドアの設置について|ニュースリリース|阪神電気鉄道株式会社
- ホームドアの設置を推進しています~2月17日(土)から尼崎駅(2番線)で供用を開始~~新たに甲子園駅(1・4番線)の設置に着手~|ニュースリリース|阪神電気鉄道株式会社
- 尼崎駅1番線ホームドアの供用を開始します ~2024年3月16日(土)から~|ニュースリリース|阪神電気鉄道株式会社
脚注
↑1 | 黒く横長い部分全体が開閉ボタンになっている。 |
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