Osaka Metro 中央線のホームドア:現行タイプ

タイプ 腰高式
メーカー 【推定】京三製作所
開閉方式 トランスポンダ式連携
停止位置許容範囲 【推定】±650mm(TASCあり)
開口部幅 【推定】2,600mm
非常脱出ドア 開き戸式(各号車連結部)
支障物検知センサ 光電センサ(一部3Dセンサ)

Osaka Metro中央線では、2024年3月9日に森ノ宮駅で同線初となる可動式ホーム柵(以下:ホームドア)が稼働開始されました。以降も急ピッチで設置工事が行われ、同年9月の長田駅を以てすべての既存駅(14駅)で整備が完了しています。また、2025年大阪・関西万博の会場最寄り駅として2025年1月19日に開業した夢洲駅にも当初から設置されました[1]コスモスクエア駅~夢洲駅間の正式名称は北港テクノポート線(第三セクターの大阪港トランスポートシステムが線路を保有)。

ホームドアの基本仕様は四つ橋線などと同じですが、谷町四丁目駅および夢洲駅は駅全体のデザインと合わせた特別デザインとなっているのが特徴です。

1 ホームドアの仕様

1.1 基本仕様

ホームドアのメーカーは外観の特徴から京三製作所と推測されます。

基本的な構造や開口幅は同時期に整備された四つ橋線のタイプと一致しています。後述する谷町四丁目駅・夢洲駅の特別デザインを除き、その他の各駅は白色をベースとしており、各表記類のフォーマットなどもOsaka Metroの他路線と共通です。

車両連結部に隣接する開口部は左右で扉形状が異なる
ホーム側から見た車両ドア間の筐体
ホーム側から見た車両連結部の筐体
線路側から見た車両ドア間の筐体
線路側から見た車両連結部の筐体

各開口部の支障物検知センサの種類(基本は光電センサ、最前部・最後部のみ3Dセンサ)や、各号者連結部に収納される扉のみ形状が異なる特徴なども四つ橋線タイプと共通です。

乗務員操作盤は押しボタン式

同線ではホームドア整備完了後の2025年2月11日からワンマン運転を開始しています。これを見越して、各駅の乗務員操作盤は当初から後部(車掌向け)だけでなく前部(運転士向け)も設置されていました。なお、後述のように同線のホームドアは車両ドア開閉操作と連携するシステムなので、通常使用することはありません。

1.2 駅ごとの特別デザイン

(1)谷町四丁目駅

谷町四丁目駅のホームドア
扉部分は他駅と同じくシルバー
筐体線路側の駅名標も黒色

谷町四丁目駅ではホームドア整備と同時期にリニューアル工事が行われており、「ジャポネスク」のデザインコンセプトのもと、大阪城の最寄駅らしく「和」を表現した壁や柱のグラフィックが施されています。このコンセプトに合わせて、同駅のホームドアは筐体部分を黒色に塗装した特別デザインとなりました。

(2)夢洲駅

夢洲駅のホームドア
近未来的かつ落ち着きのある景観
扉部分まですべて黒色

2025年1月19日、同年4月に開幕を迎える2025年大阪・関西万博の会場最寄り駅として夢洲駅が開業しました。同駅のデザインコンセプトは「移世界劇場」とされ、壁・天井やホームドアといった線路側の設備を黒色に統一することで、白色を基調にしたホーム側を浮かび上げるような意匠となっています。谷町四丁目駅との違いは、扉部分も黒色に塗装されている点です。

2 ホームドアの開閉方式

左:停止位置直下の地上子
右:停止位置までの距離情報を送信する地上子

中央線のホームドア開閉方式は、トランスポンダを用いた情報伝送により車両ドア開閉操作と同期するシステムが採用されています。1号車(夢洲方先頭車)の床下に設置された車上子と線路上に設置された地上子がピッタリ重なることで情報伝送が可能になります。

また、ホームドア稼働開始前には全線でTASC(定位置停止装置)の使用を開始し、さらに2025年1月からは大阪港駅~夢洲駅間でATO(自動列車運転装置)による自動運転も開始されています。

同線は近鉄けいはんな線と直通運転を行っていますが、境界駅の長田駅における近鉄線方面への出発時・近鉄線方面からの到着時も開閉方式に違いはありません(TASCも動作)。

車上子と地上子が重なった様子

御堂筋線などとは違い、自社の既存車両へのホームドア連携およびTASC対応改造は行わず、ホームドア整備に先立ち全編成が新型車両400系および30000A系の導入によって置き換えられることとなりました。それまでの主力車両だった20系は2023年度中に全車が引退、24系は谷町線または四つ橋線に転属しました。

一方、直通先の近鉄けいはんな線から乗り入れる近鉄7000系・7020系はこれらに対応する改造工事が施され、引き続き活躍しています。

3 おわりに

万博会場へのメインアクセスルートとして、新型車両の導入・主要駅のリニューアル・そしてホームドア整備とさまざまな大規模改革が行われた中央線。ホームドアの整備には旧型車両の置き換え完了を待つ必要があったため、設置開始は同社の路線で最も遅くなりましたが、いざ設置が始まると約半年というかなりのハイスピードで全駅整備を達成しました。

中央線と同じく2024年度には四つ橋線でもホームドア全駅整備が完了し、最後に残った谷町線も2025年度中の全駅整備完了が予定されています。

出典・参考文献

脚注

References
1 コスモスクエア駅~夢洲駅間の正式名称は北港テクノポート線(第三セクターの大阪港トランスポートシステムが線路を保有)。

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