JR東日本 南武線のホームドア:従来型ホームドアの仕様

JR東日本の南武線では、2022年3月13日に武蔵小杉駅で同線初のホームドアが稼働開始されました。その後、2025年3月のワンマン運転開始までに全26駅でホームドア整備が完了しています[1]南武支線を除く。。
同線ではほとんどの駅で軽量・低コストな「スマートホームドア」が採用されていますが、特に利用客の多い武蔵小杉駅・武蔵溝ノ口駅1・2番線・登戸駅1・3番線の計3駅6ホームには従来型ホームドアが採用されました。当記事では同線における従来型ホームドアの仕様を紹介します。
目次
1 ホームドアの仕様
1.1 基本仕様

2016年度から京浜東北線などに導入されている、現在のJR東日本における標準タイプのホームドアが採用されました。ホームドア整備を前にTASC(定位置停止装置)が導入されたため、開口幅は車両ドア幅1,300mmにTASC停止精度±350mmを加えた2,000mmです。ドア位置が異なる車両も原則として乗り入れないため、開口幅が異なる箇所などもありません。
ホームドア筐体の帯は、車体の帯に用いられている黄色・オレンジ色・ブドウ色のラインカラーではなく、路線図などで用いられる黄色のみのラインカラーに準じています。よって、外見だけでは中央・総武各駅停車のホームドアと瓜二つです。
その他の基本仕様については別記事をご覧ください。
1.2 ワンマン化に伴う操作盤の増設


冒頭でも述べたように、南武線ではホームドア全駅整備完了後の2025年3月15日ダイヤ改正からワンマン運転が開始されています。これに伴い、武蔵小杉駅などの初期に整備されたホームドアでは、これまで後部車掌側にしか設けられていなかった乗務員操作盤を前部運転士側にも増設する改造が行われました[2]後の整備駅では当初から前後両方に操作盤を設置。。
増設された操作盤は構造上の都合なのか、筐体上部に乗せるような形で取り付けられており、見た目が少々ゴツくなっています。なお、後述するように同線のホームドアは無線式連携システムによって車両ドア開閉操作と同期するシステムのため、通常操作盤を使用することはありません。
2 ホームドアの開閉方式
南武線のホームドア開閉方式は、トランスポンダ式や総武快速線新小岩駅などで運用中の無線連携式よりもさらなる低コスト化と汎用性の向上を図った、RFIDタグを用いて車両とホームドアのペアリングを行う新方式の無線連携式が初採用されています。この方式はJR東日本で今後整備されるホームドアの標準的な開閉方式になる見込みです。
詳しくは別記事をご覧ください。
3 おわりに
冒頭でも述べた通り、南武線全26駅のうち従来型ホームドアが採用されたのは計3駅6ホームのみとなりました。また、JR東日本は従来型をベースに軽量化や風荷重の軽減を図った「スリットフレームホームドア」を新たに開発したため[3]2024年度に同線の分倍河原駅より本格導入開始。、今後は従来型ホームドアが採用されること自体が珍しくなると思われます。
同線の従来型ホームドアには大きな仕様違いがなかった一方、スマートホームドアまたはスリットフレームホームドアが採用された駅の一部ホームでは、臨時列車として乗り入れる特急型車両E257系を考慮した独自仕様が登場しました。
出典・参考文献
- JR東日本発足からのあゆみ:JR東日本(”南武線武蔵小杉駅にてRFID無線連携方式のホームドア使用開始” が記載)