Osaka Metro 谷町線・四つ橋線のホームドア:開閉方式の変遷

Osaka Metro谷町線では2019年度に東梅田駅で、四つ橋線では2021年度に西梅田駅と大国町駅でそれぞれ線内初となるホームドアが先行導入されました。数年後に他駅でも本格導入が始まり、四つ橋線は2024年度、谷町線は2025年度に全駅整備が完了しています。

その過程で、ホームドア開閉方式は当初の開扉のみ自動から暫定的な完全手動化、そしてトランスポンダによる車両連携化と、整備段階に合わせて変更されていきました。本稿では両路線におけるホームドア開閉方式の変遷をまとめて紹介します。

1 当初の定位置停止センサによる自動開扉

四つ橋線西梅田駅の定位置停止検知センサ
谷町線東梅田駅の乗務員向け表示灯(当初)
上段にはホームドア開閉状態、下段には定位置停止の可否が表示されていた
参考:御堂筋線ホームドア表示灯の表示推移

同社で民営化前(大阪市営地下鉄時代)にホームドア整備が完了した路線[1]今里筋線・長堀鶴見緑地線・千日前線の3路線。では、「ATO(自動列車運転装置)」または「TASC(定位置停止装置)」の導入とともに、トランスポンダ装置を用いて車両ドアとホームドアを連携するシステムが採用されています。

それに対して、谷町線・四つ橋線におけるホームドア先行導入当初は、莫大なコスト・時間が掛かる車両側の改造を見送り、開扉は停止位置前方に設けられたセンサで列車の定位置停止を検知して自動開扉、閉扉は車掌による手動操作で行う方式が採用されました。これは当時の御堂筋線と同じ方式で、乗務員向け表示灯の表示内容も共通していました。

2 暫定的な完全手動化

四つ橋線大国町駅の乗務員操作盤
両路線とも手をかざすと開閉操作を行える光電センサ式

その後、四つ橋線は2023年度から、谷町線は2024年度から先行導入駅以外の各駅でもホームドアの本格導入が開始されました。しかし、これらの本格導入駅では先行導入駅と異なり定位置停止検知センサが設けられず、開閉ともに車掌による手動操作方式となったのです。さらに本格導入開始と同時期には、先行導入駅でも取り扱いを統一するためか自動開扉機能が停止されてしまいました。

自動開閉機能が導入されなかった理由は、将来的な車両連携化を控えていたためです。この頃には両路線ともトランスポンダ式連携化に向けて車両側のホームドア連携・TASC対応改造や地上側の機器新設が順次開始されており、対応が完了するまでの短期間のために定位置停止検知センサを導入するのは非効率です。このような事情から、暫定的に手動操作方式を採用したのだと思われます。

ちなみに、御堂筋線も先行導入当初は開閉ともに手動操作でしたが、開閉のタイムロスを少しでも低減するため、本格導入に合わせて開扉のみ自動化された経緯があります。つまり、この点で両路線は御堂筋線と真逆の退化をしたと言えます。

四つ橋線大国町駅にて
表示灯の上段は出発反応標識に変更
谷町線東梅田駅の表示灯更新工事中の様子
カバーが掛けられているのが新タイプ

先行導入駅における自動開扉機能の停止に伴い、乗務員向け表示灯の表示内容にも変更が加わります。下段の定位置停止の可否表示が廃止され、ホームドア開閉状態が下段に移動、空いた上段には出発反応標識(出発進路が開通すると緑▼が点滅)が表示されるようになりました。なお、四つ橋線の2駅は表示内容のみが変更された一方、谷町線東梅田駅は表示器自体が更新されました。

3 トランスポンダによる連携化

四つ橋線本町駅にて
奥:停止位置までの距離情報を送信する地上子
手前:停止位置直下の地上子

前述の通り、両路線とも手動操作方式に退化したのはあくまでも連携化までの暫定措置で、車両側のホームドア連携・TASC対応および地上側の機器新設は着々と進んでいました。そして準備が整ったことから、四つ橋線はホームドア全駅整備完了後の2025年5月下旬ごろ、谷町線は全駅整備完了を目前に控えた2026年2月上旬ごろより、全駅でトランスポンダ式連携に変更されました。また、同時にTASCの使用も開始されています。

なお、谷町線には当初からホームドア対応済みの中央線30000A系が転属してきたことで[2]同形式は大阪・関西万博開催期間中の輸送力増強を目的に投入され、万博閉幕後は谷町線に転用されることが当初から計画されていた。、既存車両の一部編成は改造を受けることなく廃車となりました。

4 おわりに

以上のように、両路線では本来ホームドア整備開始前に行うべき車両側の改造などを、あえてホームドア整備と並行しながら実施する方法により、計画通り2025年度中の全線整備完了を達成しました。手動開閉・TASCなしでの運用は乗務員への業務負担も増大してしまいますが、スピーディーな整備を優先するうえで妥当な範囲内と判断されたのでしょう。

余談ですが、同時期には遠く離れた東京メトロ東西線の一部駅でも、トランスポンダ式連携化までの暫定措置として従来のセンサを用いた連動システムを導入せず手動開閉とした事例がありました。今後もさまざまな路線でホームドア整備が進む中、同じような暫定措置が登場するかもしれません。

出典・参考文献

脚注

References
1 今里筋線・長堀鶴見緑地線・千日前線の3路線。
2 同形式は大阪・関西万博開催期間中の輸送力増強を目的に投入され、万博閉幕後は谷町線に転用されることが当初から計画されていた。

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