JR東日本 中央線快速のホームドア:スマートホームドアの仕様

タイプ 腰高式(一部二重引き戸タイプ)
メーカー JR東日本メカトロニクス
開閉方式 無線式連携
停止位置許容範囲 ±350mm(TASCあり)
開口部幅 一般部 2,000mm
8号車4番ドア
9号車1番ドア
【推定】3,330mm
非常脱出ドア 開き戸式(各号車2-3番ドア間)
支障物検知センサ 3Dセンサ

JR東日本の中央線(快速)では、グリーン車の導入とそれに伴う12両編成化が当初予定より遅れた関係で車両ドア位置が統一できずホームドア設置も遅れていましたが、グリーン車導入完了後の2026年4月10日、武蔵境駅で同線初となるホームドアの稼働が開始されました。その後も各駅でも急ピッチで設置工事が進んでいます。

当記事では、最初の整備駅となった武蔵境駅などで採用されている従来型より軽量・低コストな「スマートホームドア」について、同線ならではの仕様を紹介します。

1 ホームドアの仕様

1.1 基本仕様

現時点における同線のホームドア設置駅はいずれもE233系0番台12両編成を用いた一般列車のみが発着する駅であり、また同線では12両編成化およびホームドア整備開始を前にTASC(定位置停止装置)が導入済みのため[1]停止精度向上により滑走余裕距離を削減し、12両編成化に伴うホーム延伸長を最低限とする目的もあった。、基本開口幅は他路線と同じく車両ドア幅1,300mmにTASC停止精度±350mmを足した2,000mmです。後述するグリーン車部分および8・9号車の二重引き戸部分を除けばその他の仕様も特に変わっていません。

基本仕様については別記事をご覧ください。

1.2 グリーン車部分

グリーン車の開口部

同線では、ホームドア設置前の2025年3月ダイヤ改正で全列車の4・5号車に2階建てグリーン車が導入されました。首都圏の2階建てグリーン車が連結されている路線におけるホームドア設置は総武線快速の新小岩駅に次いで2例目ですが、スマートホームドアの設置は中央線快速が初めてでした。

同線の2階建てグリーン車は他路線と異なり、乗降時間短縮のため一般車と同じ1,300mmの両開きドアが採用されています。よってホームドア側の開口幅も一般車部分と変わっていません。

ホーム側から見たグリーン車ドア間筐体
ホーム側から見たグリーン車連結部筐体
線路側から見たグリーン車ドア間筐体
線路側から見たグリーン車連結部筐体

グリーン車のドア間および連結部も一般車部分と同じく「戸袋筐体(駆動装置などを収めた部分)」と「中間戸袋」で構成され、中間戸袋をいくつかの支柱で分割する形となりました。なお、中間戸袋のうちドア間の1箇所は非常脱出ドアとして開閉できます。

1.3 8・9号車の多段式大開口タイプ

8-9号車の大開口部
12両固定編成のドア位置
8両+4両分割編成のドア位置

近年のJR東日本が製造する一般型車両は乗務員室の奥行きが広く、その分だけ乗務員室直近のドア位置が中間車と比べて1m以上ずれています。中央線快速のE233系0番台は12両固定編成と8両+4両の分割編成の2種類が存在し、8号車4番ドアおよび9号車1番ドアでは固定編成と分割編成でドア位置のずれが生じるため、当該箇所のみ幅3m超の二重引き戸式大開口タイプが採用されています。

スマートホームドアの二重引き戸タイプは根岸線の一部駅で既に設置されており、同線は2例目の採用路線ですが、根岸線での知見を反映したのか随所に改良が加えられています。

根岸線仕様についての詳細は別記事をご覧ください。

開状態でも側面が露出する扉
※設置工事中に撮影
筐体・扉の断面形状
ホーム側から見た筐体
参考:根岸線仕様のホーム側から見た筐体
線路側から見た筐体
参考:根岸線仕様の線路側から見た筐体

最大の違いは筐体が分割されているか否かです。根岸線仕様は二重引き戸を収納する筐体が標準タイプと異なり「戸袋筐体」と「中間戸袋」で分かれておらず、空洞もありませんでした。一方、中央線快速仕様は標準タイプに準じて戸袋筐体と中間戸袋が分かれた構造になり、下部に小さいながらも空洞が設けられています。

扉部分は強度向上のためかフレーム下部に部材が追加され、根岸線仕様よりも高さ・厚みが増えています。その影響なのかは分かりませんが、スマートホームドアの筐体デザインの特徴である斜めに切り欠いた部分が省略されており、開状態(扉を収納した状態)でも扉の側面が露出するような歪な見た目となりました。

中央線仕様には反対側断面に突起がない
根岸線仕様には反対側断面に突起がある

また、根岸線仕様は上部バーの戸尻側が筐体内に収まりきらないためか二重引き戸と反対側の断面に突起がありましたが、中央線仕様ではこれがなくなっています。前述したフレーム下部の強化によって解消されたのでしょうか?

2 ホームドアの開閉方式

中央線快速のホームドア開閉方式は、JR東日本の今後の標準方式であるRFID方式無線連携システムが採用されています。車両とホームドアのペアリングはRFIDタグで、列車の定位置停止および編成両数の検知は地上側の各種センサで行い、UHF帯無線を用いた送受信で車両ドアとホームドアの開閉を同期します。

詳しくは別記事をご覧ください。

地上無線機
2基1組で上下ホームごとに設置
停止位置検知センサ
在線検知センサ

地上無線機は12両編成の最前部・最後部付近にそれぞれ設けられており、停止位置検知センサと在線検知センサの組み合わせで列車が定位置範囲内に停止している場合のみ開閉連携を有効とします。これら地上側の各種機器の仕様・配置は先に本システムを採用した南武線と同様ですが、後述のように中央線快速では在線検知センサの数が多くなっています。

武蔵境駅の各種機器配置

例として、最初の整備駅となった武蔵境駅における各種機器の配置図を示します。

前述のとおり、現時点での設置駅に発着するのはE233系12両編成のみで、停止位置検知センサは原則として進行方向1-2両目の車両連結部に設けられています。一方、在線検知センサは最前部および最後部号車に加えて進行方向10両目にも設けられているのが特徴です。これが何のために必要なのかは今のところ不明ですが、他のホームドア関連設備を見る限り、少なくとも12両編成以外の発着に対応しているわけではないと思われます[2]他の編成両数に対する乗務員用操作盤や停止位置目標が設けられていないため。

3 おわりに

冒頭でも述べたとおり、同線ではグリーン車導入が遅れた関係でホームドア整備も遅れていましたが、現在はその遅れを取り戻すかのように急ピッチでの整備が進んでいます。2026年7月末時点での整備駅ではいずれも当記事で紹介したスマートホームドアが採用されています。

一方、JR東日本の2026年度ホームドア整備計画によると、今年度の整備駅のうち御茶ノ水駅・三鷹駅・国分寺駅では従来型ホームドアをベースに軽量化を図った「スリットフレームホームドア」が採用される予定で、どのような仕様になるか注目されます。

出典・参考文献

脚注

References
1 停止精度向上により滑走余裕距離を削減し、12両編成化に伴うホーム延伸長を最低限とする目的もあった。
2 他の編成両数に対する乗務員用操作盤や停止位置目標が設けられていないため。

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