Osaka Metro 長堀鶴見緑地線のホームドア:現行タイプ

| タイプ | 腰高式 |
|---|---|
| メーカー | 三菱電機 |
| 開閉方式 | トランスポンダ式連携 |
| 停止位置許容範囲 | ±350mm(ATO) |
| 開口部幅 | 2,000mm |
| 非常脱出ドア | 開き戸式(各号車連結部) |
| 支障物検知センサ | 光電センサ |
Osaka Metro長堀鶴見緑地線では、大阪市交通局時代の2010年度から2011年度にかけて全17駅で可動式ホーム柵(以下:ホームドア)が整備されました。南港ポートタウン線(ニュートラム)を含めた大阪市交通局全体では3路線目、大阪市営地下鉄としては今里筋線に次いで2路線目のホームドア導入ですが、新規開業ではない既存路線への導入は同線が初めてでした。
同線の沿線には京セラドームや大阪城ホールといった大型集客会場があり、イベント開催時は特に混雑が激しくなります。そのため、ホームドアや関連設備にも同線の環境を踏まえた改良が行われています。
目次
1 ホームドアの仕様

ホームドアのタイプは一般的な腰高式、メーカーは三菱電機です。
同線は開業当初からATO(自動列車運転装置)による自動運転が行われているため、ホームドア開口幅は今里筋線タイプと同じく車両ドア(1,300mm)にATO停止精度(350mm)を加えた2,000mmです。
デザイン面では、暖かみのある色合いだった今里筋線と対照的に、扉部分および筐体の上部・下部をステンレスのヘアライン仕上げとしたモノトーンな色合いとなりました。これは、駅ごとに異なるホームの色彩と調和させるためだそうです。

手前と奥の厚みの違いに注目

透過ガラスも設けられていない
車両ドア間の筐体は左右の扉を一直線上に収納する構造が基本です。各開口部の線路側には、支障物検知用の光電センサが3点(乗務員出入りスペース確保のため筐体が斜めに配置されている箇所のみ5点)、非常開スイッチが片側1か所に設けられています。これらの仕様は今里筋線と同じです。
今里筋線タイプにはなかった特徴の一つが、ホーム最前部の開口のみ扉長さが異なる点です。これは、運転士用ホーム監視モニタ(詳しくは2項で紹介)を設置した関係で、隣接する筐体の線路方向サイズが小さく、扉長さも短くせざるを得ないためです。またこれにより、反対側の長い扉を収納する筐体は、扉を互い違いに収納するため他より分厚くなっています。
ただし、折り返し駅でホームが進行方向左側になる場合はホーム監視モニタが別の位置に設けられているため、この特殊構造もありません[1]同線は全駅が島式ホームのため、折り返し駅を除いてホームは必ず右側。。

もう一つの特徴は、車両連結部の筐体同士の間に開き戸式の非常脱出ドアが設けられた点です。これは、異常時に列車が所定停止位置から外れて停車した場合を想定したもので、2枚のパネルを観音開きで開けられる構造となっています。

また、ホームドア整備にあわせて、すべての開口部においてホームのかさ上げおよび列車とホームの隙間を縮小する工事も行わました。隙間を縮小する部材は線路の建築限界を超えるため、万が一車両が接触しても破損しないように「櫛状ゴム」が使用されています。
この取り組みは他路線でも後のホームドア整備とあわせて行われ、車いす利用者も自力での乗降が可能になるなど、誰もが利用しやすい高いバリアフリー性を実現しています。
2 ホームドアの開閉方式

左:ATO距離補正用の無電源地上子(T3地上子)
長堀鶴見緑地線のホームドア開閉方式は、今里筋線と同じくトランスポンダ装置を用いた送受信により車両ドア側の開閉操作と連携するシステムです。列車が±350mmの停止許容範囲内に停止すると、1号車(門真南方先頭車)に搭載された車上子と線路側に設けられた地上子がピッタリ重なって情報の送受信が可能になります。

赤・黄・緑のテープは停止許容範囲を示すマーカー

ホームドア本体の特殊構造もない
同線は開業当初からワンマン運転を行っていますが、利用客の増加により、ホームドア設置後も停止位置前方のミラーだけでホームの安全確認を行うのは困難でした。そこで、列車の運転台から見て右真横となる位置[2]一般的な鉄道車両と異なり、長堀鶴見緑地線の車両は右側に運転台がある。にホーム監視モニタが内蔵されました。これを設けたことが、1項で述べたホーム最前部の扉長さや筐体サイズの違いに繋がっています。

下:出発指示合図表示器
今里筋線と同じく、停止位置前方には出発反応標識と一体になった「出発指示合図表示器」が設けられており、ホームドアの開閉状態・出発指示合図・戸閉タイミングなどを運転士および駅係員に伝達します。
3 おわりに
同線のホームドアはこの他にも、混雑時に閉扉操作のみ駅係員が行うモードの追加や、駆け込み乗車時の速やかな再開扉を行うための制御など、今里筋線より利用客が多いことを踏まえた改良が行われました。また、扉部分をステンレスのヘアライン仕上げとした本タイプのデザインは、その後整備された大阪市営地下鉄→Osaka Metroの各路線におけるホームドアの標準的なデザインとして受け継がれています。
出典・参考文献
- 可動式ホーム柵の設置状況|Osaka Metro
- 大阪市交通局の可動式ホーム柵及びホームの段差・隙間対策について
- 北野 公一、玉村 直忠、喜多 玲匡「長堀鶴見緑地線可動式ホーム柵の概要」『Cybernetics : quarterly report』Vol.16-No.2、日本鉄道技術協会、2011年、p4-8

