Osaka Metro 千日前線のホームドア:現行タイプ

タイプ 腰高式
メーカー 京三製作所
開閉方式 トランスポンダ式連携
停止位置許容範囲 ±500mm(ATO)
開口部幅 2,300mm
非常脱出ドア なし
支障物検知センサ 光電センサ(一部エリアセンサ)

Osaka Metro千日前線では、大阪市交通局時代の2014年度から可動式ホーム柵(以下:ホームドア)の整備が始まり、整備対象外となった野田阪神駅2番線(降車専用ホーム)を除く14駅27ホームで同年度中に整備が完了しています。南港ポートタウン線(ニュートラム)を含めた大阪市交通局全体では4路線目、新規開業ではない既存路線としては長堀鶴見緑地線に続いて2路線目のホームドア導入でした。

1 ホームドアの仕様

1.1 基本仕様

ホームドアのタイプは一般的な腰高式、メーカーは京三製作所です。同メーカーが関西圏の鉄道事業者にホームドアの納入するのは千日前線が初めてでした。

ホームドア整備に先駆けてATO(自動列車運転装置)が導入され、ホームドア整備完了後の2015年1月からはワンマン運転も開始されました。ATO停止精度は長堀鶴見緑地線の±350mmより広い±500mmで、その分だけホームドア開口幅も少し広がり2,300mmとなっています[1]元々ATO運転を考慮していない25系車両のブレーキ応答性を考慮したためと思われる。

デザイン面は長堀鶴見緑地線のタイプと同じく、扉部分および筐体の上部・下部をステンレスのヘアライン仕上げとしているのが特徴です。

筐体の断面形状
扉は互い違いに収納される
ホーム側から見た車両ドア間の筐体
ホーム側から見た車両連結部の筐体
線路側から見た車両ドア間の筐体
線路側から見た車両連結部の筐体

同線の車両は今里筋線・長堀鶴見緑地線と異なり、大阪市営地下鉄の標準規格である1両あたりの車体長約19m・片側4ドア構造のため、戸袋スペースの関係上、車両ドア間の筐体は左右の扉を互い違いに収納する構造となったのが大きな違いです。また、長堀鶴見緑地線タイプは車両連結部に非常脱出ドアが設けられましたが、本タイプには設けられませんでした。

各開口部の線路側には、支障物検知用の光電センサが3点、非常開スイッチが片側1か所に設けられています。

セットバック部は光電センサ5点が基本
西長堀駅にて

ホーム最前部・最後部は乗務員出入りスペース確保のため筐体がセットバックされており(=車両とホームドアの間が広い)、その箇所は光電センサを5点に増やしている仕様と、2Dセンサを採用している仕様の2種類が存在します(詳しくは後述)。

前述の通り、同線でワンマン運転が開始されたのはホームドア整備完了後ですが、乗務員操作盤は当初から前部側の運転士用しか設けられていないようです。ただし後述の通り、同線のホームドアはトランスポンダによる通信で車両ドアと連携する方式のため、通常は使用されません。

1.2 セットバック部の2Dセンサ

エリアセンサ(2Dセンサ)を採用している箇所
野田阪神駅にて

前述の通り、乗務員出入りスペース確保のため筐体がセットバックされている箇所は光電センサを5点に増やしている仕様が基本ですが、駅によっては2Dセンサ(+光電センサ1点)を採用することで安全性をさらに高めている箇所も存在しています。

さらに駅ごとで見ると、センサの種類と配置は以下の3パターンに分けられます。

  • 最前部・最後部ともに2Dセンサあり:野田阪神駅・阿波座駅・今里駅・南巽駅
  • 最前部のみ2Dセンサあり:なんば駅・日本橋駅・鶴橋駅など
  • 最前部・最後部ともに光電センサのみ:桜川駅・西長堀駅・新深江駅など

最前部・最後部ともに2Dセンサが採用されている4駅はいずれも始終着駅または折り返し可能駅です。また、利用客数が比較的多い駅では最前部のみ2Dセンサを採用しているように見受けられます。このような法則性は判明した一方、その具体的な理由までは分かっていません。

2 ホームドアの開閉方式

手前:停止位置直下の有電源地上子(T0地上子)
奥:ATO距離補正用の無電源地上子(T3地上子)

千日前線のホームドア開閉方式は、今里筋線・長堀鶴見緑地線と同じくトランスポンダ装置を用いた送受信により車両ドア側の開閉操作と連携するシステムです。列車が±500mmの停止許容範囲内に停止すると、1号車(南巽方先頭車)に搭載された車上子と線路側に設けられた地上子がピッタリ重なって情報の送受信が可能になります。

上:出発反応標識
下:出発指示合図表示器

停止位置前方には出発反応標識と一体になった「出発指示合図表示器」が設けられており、ホームドアの開閉状態・出発指示合図・戸閉タイミングなどを運転士および駅係員に伝達します。これも今里筋線・長堀鶴見緑地線と同じですが、出発反応標識(上部の緑▼)が点滅する際にゆっくり消灯(フェードアウト)するのが千日前線ならではの特徴です。

ホームを直接監視して閉扉操作を行う運転士

ホームドアの開閉方式とは直接関係ありませんが、閉扉操作の取り扱いにも千日前線ならではの特徴があります。

今里筋線と長堀鶴見緑地線、そして後にワンマン化された中央線の場合、運転士は運転台に座ったままミラーまたはモニタでホームを監視して閉扉操作を行います。一方の千日前線は、運転台のドアスイッチで開扉操作を行った後、ホーム側に移動して旅客の乗降を直接確認しながら閉扉操作を行います。

3 おわりに

同線の整備が行われたのと同じ2014年度には、御堂筋線の天王寺駅・心斎橋駅でもホームドアが先行導入されました。基本構造やデザイン、セットバック部に2Dセンサを採用した点などは千日前線タイプを踏襲している一方、車両側の改造工事を行わずに導入するべく、開口幅をさらに広げて停止許容範囲を拡大し、開閉方式も車掌による手動操作とするなど、さまざまな点が独自仕様となりました。

出典・参考文献

脚注

References
1 元々ATO運転を考慮していない25系車両のブレーキ応答性を考慮したためと思われる。

コメントする