広島電鉄 しれっと復活中! 8号線の連接車運用

2021/04/23 別院前~横川一丁目にて

広島電鉄では、2021年4月6日から7月30日までの平日において、朝ラッシュ時の8号線(江波~横川駅)1往復を単車から連接車に変更しています。なお、この使用車両変更に関する告知は公式サイト等に一切掲載されておらず、8号線の経路となる江波線・横川線の各電停に小さく掲示があるのみです。

1 感染症拡大による中止からの復活

連接車で運行されている便の時刻は以下の通りです(2021年4月6日現在)。

  • 江波07:11発→横川駅07:35着
  • 横川駅07:41発→江波08:06着

以前は定期便だった8号線の連接車運用(以下:8号連)ですが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で2020年4月17日から単車に変更され、そのまま11月16日のダイヤ改正で事実上の廃止となってしまいます。しかし、ここ最近は通勤・通学客数が回復し混雑が激しくなったためか、沿線学校の新学期開始に合わせて8号連が復活する運びとなりました。

2 使用車両は3000形最後の1編成

2021/04/23 横川駅にて

復活した8号連には3000形(元・西日本鉄道)の3003号が専属で使用されています。3003号は両サイドで広告主が異なる全面ラッピング車として広電全体でも異彩を放つ車両ですが、それ以上に3000形最後の1編成として全国のトラムファンから注目を集めています。

定期運行時代からこの運用は原則3000形が担当しており、週に一回交代で千田車庫所属の3000形1編成が8号線の運行を管轄する江波車庫に貸し出されるきまりでした。しかし、8号連が中止となった昨年4月以降、宮島線への5200形「Greenmover APEX」増備とそれに伴う3800形の市内線転属により急速に淘汰が進み、今年2月にはついに3003号ただ1編成を残すのみとなりました。少し前までは市内線ラッシュ時の顔だった3000形ですが、今はこの8号連1往復でしか見ることも乗ることもできなくなったのです。

各電停の掲示には “車両点検等により単車運行となる場合もありますのでご了承ください” とあります。実際、3003号は6月10日に復路の十日市町電停で車両故障を起こしてしまい、その後の約1週間は1000形による代走が行われました。

3 8号連とこれまでとこれから

8号連が初めて設定されたのは2003年5月20日のダイヤ改正で、当時は7号線との三角運用[1]8号線(江波~横川駅)と7号線(横川駅~広電本社前)が横川駅で互いに入れ替わって折り返す運用のこと。が組まれていました。その後新たに夕方ラッシュ時にも設定されましたが、2014年4月7日のダイヤ改正で夕方の運行および7号線での運行が廃止され、現在と同じく8号線の1往復のみとなりました。

江波車庫管轄の系統は本来全て単車によるワンマン運転のため、車掌が必要な便はこの1往復だけです。また、江波線内はホーム長が短くドアカットの必要な電停が点在し、中でも終点の江波電停は車両後部が横断歩道を塞ぐ[2]前方は江波車庫に入出庫するための分岐器があるため。ため、係員が立ち会って自動車や歩行者を誘導するなど、会社側としては厄介な要素も多数見受けられます。

それでもわざわざ復活させるほどには一定以上の需要があるようなので、冒頭のとおり学校が夏休みとなる7月末で運行は一旦終了しますが、よほど社会情勢が悪化しなければ運行継続になる可能性もあります。

4 おわりに

3003号の今後は気がかりですが、広電は歴史的価値のある他都市からの移籍車両を1形式1両は残す方針を示しているため、当面は安泰なのかもしれません。もしそうなのであれば、直通色と呼ばれる広電移籍後の標準塗装へ復元だとか、西鉄時代のツートンカラーに塗り替えなんてことも少しは期待してしまいます。いっそのこと現在の広告のよう両サイドで別の塗装にすれば・・・ってそれだと同じルーツを持つ筑豊電気鉄道2000形2003号の二番煎じですね・・・

出典・参考文献

脚注

References
1 8号線(江波~横川駅)と7号線(横川駅~広電本社前)が横川駅で互いに入れ替わって折り返す運用のこと。
2 前方は江波車庫に入出庫するための分岐器があるため。

コメントする