東京メトロ 東西線・半蔵門線のホームドア:車両と連動しない自動開閉システム

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2017年時点でホームドア設置駅がゼロだった東京メトロの東西線と半蔵門線。この2路線では一刻も早くホームドア整備を開始するための方法として、車両改造を必要とする従来の方式を改め、地上側の設備だけで車両と連動してホームドアを開閉するシステムが導入されました。

1 車両と連動しない自動開閉システム導入の経緯

鉄道会社にとってホームドアを導入するための大きな問題が車両側の対応です。東京メトロでも2014年にホームドア全駅設置が完了した有楽町線までは、トランスポンダによる情報伝送で車両ドアとホームドアの開閉を連携し、さらに列車の停止精度を向上させるためATO(自動列車運転装置)またはTASC(定位置停止装置)を導入することが前提でした。

しかし、東西線と半蔵門線は他社との相互直通運転で新旧さまざまな車両が乗り入れることもあり、車両改造にはかなりの時間を費やすことが見込まれました。そこで現時点では車両改造を見送る代わりとして、開口幅の広いホームドアの導入で停止余裕を確保すると共に、車両改造を必要としないホームドア自動開閉システムの導入によって、ホームドアの早期設置が実現されました。

2 システムの概要

2.1 定位置停止検知によるホームドア自動開扉システム

定位置停止検知センサ

トランスポンダ式では線路側の「地上子」と車両側の「車上子」がピッタリ重なる位置に停車することでドア開閉などの情報伝送を行っていました。これに対して非連動システムでは、2Dセンサで車両連結部の位置を測定することにより列車の定位置停止を検知し、その判定結果を元にホームドアを自動的に開扉します。

連結部は車種による形状の違いが少ないため検出がしやすく、近年は他社のホームドアでも採用が増えている方式です。北陽電機製の測域センサ(2D-LiDAR)を使用しており、検知性能向上のためか縦に3基並んでいるのが特徴です。

センサボックス背面の検知状態を表すLEDランプ。車両連結部を認識すると左から3番目のランプが消灯し、定位置範囲内に停止すると左から2番目のランプが消灯する。

センサは1-2号車と9-10号車の車両連結部にあたる箇所に設置されており、東西線・半蔵門線ともに通常は10両編成しか走行しないため、この2箇所で連結部を検知すれば列車がホーム内に収まっていると判定することができます。

2.2 ドア開閉検知システム

ドア開閉検知センサ

2016年3月から2017年9月にかけて東西線九段下駅で行われた大開口ホームドアの実証試験では、前述の自動開扉システムも実際に運用されていたのに対し、閉扉は車掌が携帯するリモコンで手動操作する方式でした。

この時の試験結果を踏まえ、さらなる安全性・安定性の向上のために、後の本格導入では車両ドアの開閉を2Dセンサで検知して自動閉扉するシステムが追加されました。

センサは1ホームにつき3箇所の車両ドア上部に設置されており、車掌が車両ドア閉操作を行ってドアが閉まり始めると、センサがそれを検知してホームドアの自動閉扉を行います。また、車両ドアが再開閉された時でも迅速にホームドアを追従して開閉することができます。

2.3 各種センサの配置

東西線九段下駅の定位置停止検知センサ・ドア開閉検知センサ配置図
半蔵門線九段下駅の定位置停止検知センサ・ドア開閉検知センサ配置図

両線の最初のホームドア設置駅となった九段下駅における各種センサの配置は上図の通りです。以降の設置駅でも定位置停止検知センサは必ず1-2号車と9-10号車の連結部に設置されているのに対し、ドア開閉検知センサは駅構造との兼ね合いか、ホームによって設置個所が異なっています。

3 ATCとの連動

従来のトランスポンダ式では、車両ドアとホームドアの両方が閉扉するまでは列車が出発できないように制御されています。非連動式でもこれと同等の安全性を確保するため、ホームドア開扉中は信号保安装置のATC(自動列車制御装置)を停止現示とすることで列車の出発を抑止しています。

4 運行管理システムとの連動

客扱いを行わない回送列車や試運転列車が入線した場合は、列車の定位置停止を検知してもホームドアが自動開扉しないように制御されていました。おそらく運行管理システムの情報と連動しているのだと思われます。

5 DS表示灯

定位置停止とホームドアの開閉状態を表示するDS表示灯は東京メトロの他路線に設置されているものと同一です。列車が定位置範囲内に入ると「D」が点灯し、ホームドア開扉中は「●」が消灯します。また、可動ステップ設置駅ではステップ張り出し中に「S」が点灯しますが、現時点で東西線・半蔵門線に可動ステップ設置駅は存在しないようです。

6 おわりに

東京メトロは将来的に全路線をATO化する予定としており、『鉄道サイバネ・シンポジウム論文集』Vol.55の「ホームドア自動開閉扉システムの導入」によると、この非連動ホームドアシステムもATOおよびトランスポンダの整備が完了するまでの期間中に使用する、言わば「つなぎ」であることが明らかにされています。

特に半蔵門線では、ATO準備工事済みの新型車両18000系のデビューをはじめ、既存車両の置き換えや改造、地上装置の設置など、ATO導入とホームドア開閉システム変更に向けての動きが進んでいます。

出典・参考文献

脚注

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