2021年4月2日
東京メトロ17000系17106Fは「PQモニタリング台車」を装備か?
2021年4月2日、東京メトロ有楽町線・副都心線用の17000系17106Fが山口県下松市の日立製作所笠戸事業所を出場し、現在関東へ向けて甲種輸送が行われています。導入計画によると、同形式の10両編成かつ日立製作所での製造は今回が最後で、今後は近畿車輌による8両編成の製造に移行する模様です。
さて、今回出場した6本目の17000系に外観などの違いは見られないものの、編成中1両だけ他の号車とは異なる台車を装備していました。その外観の特徴から「PQモニタリング台車」だと推測されています。
その台車は日本製鉄製のFS580Aという形式で、軸箱支持装置が円筒案内式とモノリンク式を組み合わせたような見た目です。装備しているのは8号車(新木場/元町・中華街側から2両目)の17306号車のみで、他の号車は従来通り同じく日本製鉄製のFS781を装備しています。
「PQモニタリング台車」は日本製鉄と東京メトロなどが共同で開発したもので、従来は専用の車軸に履き替えた上で測定していた脱線係数[1]車輪とレールの間の横方向の力(横圧)と垂直方向の力(輪重)との比で表される安全性の指標。を世界で始めて営業運転中に測定することを可能とした台車です。脱線係数は車輪とレールの表面状態や温度などによっても変化することが分かっており、継続的・長期的にデータを収集できる常時モニタリング技術の運用が、安全性の向上・保守管理の適正化に貢献しています。
東京メトロでは既に東西線15000系や千代田線16000系でこの台車を装備した車両が運用されており、他の鉄道事業者でも既存車両を類似した台車に換装した例が幾つか確認されています。有楽町線・副都心線系統の車両に装備されるのは今回の17106Fが初めてでしょうか?
出典・参考文献
- 有楽町線・副都心線に新型車両17000系を導入します|2019年ニュースリリース|東京メトロ
- 運ぶ | インフラ | 用途から選ぶ | 製品情報 | 日本製鉄
- 営業車両を用いた軌道状態常時モニタリング技術の開発 – 交通安全環境研究所フォーラム2016
- 脱線係数常時測定可能台車の開発 | 一般社団法人 日本鉄道技術協会
脚注
↑1 | 車輪とレールの間の横方向の力(横圧)と垂直方向の力(輪重)との比で表される安全性の指標。 |
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