広島電鉄 広島駅に入れないため?3000形3003号は3号線で活躍中

2023/08/07 土橋~小網町にて

およそ1か月前の2023年7月24日、広島電鉄の市内線全線(白島線を除く)および宮島線においてダイヤ改正が実施されました。最大の変更点は、7号線の運行区間が横川駅~広電本社前から横川駅~広島港に延伸された一方で、3号線は広電西広島~広島港から広電西広島~広電本社前に短縮されるとともに朝・夕ラッシュ時間帯のみ運行となった点です。

3号線の大幅削減やその他の系統においても本数が見直された結果、被爆電車650形などの以前はほぼ毎朝営業運用に就いていた旧型車群も、改正後は運用に入らない日が大幅に増えました。しかしそんな状況でも、ピンク色のあの電車は元気に走り続けています。

1 3号線に活躍の場を移した3003号

2023/08/07 本通電停にて
折り返しは0号線日赤病院前行きとして運行される

3000形最後の現役車両となり、昨年末に直通色へと復元された3003号。ここ数年間は予備車のような扱いで何度も運用離脱と復活を繰り返し、連接車で唯一「ICカード全扉乗降サービス」にも対応していない同車ですが、今改正以降は平日朝に新設された3号線の連接車運用にほぼ専属で充当されるようになりました[1]ただし改正当日に充当されて以降は2週間にわたって運用離脱し、8月7日から運用復帰。

その運用は6時台に千田車庫を出庫して日赤病院前~広電西広島を1往復します。運行時刻は以下の通りです。

  • 日赤病院前06:52発→広電西広島07:26着
  • 広電西広島07:33発→日赤病院前08:05着

市内線所属の連接車による3号線運用自体がかなり久々の設定であることから[2]平日朝の宮島線発広電本社前行きは折り返し3号線西広島行として運行されるが、市内線所属の連接車に限れば十数年ぶりの設定。、広電ファンの間では早くも朝の名物的運用として認知されています。しかし、改正前の3003号は主に5号線(広島駅~広島港)の連接車運用で活躍していましたが、7月初めごろからはめっきり運用に入らなくなっていました。なぜ突然3号線へと活躍の場を移したのでしょうか。これには現在建設中の駅前大橋線に関するとある事情が影響しているのではないか、という噂があります。

2 パンタグラフの関係で広島駅に入れないため?

広島駅構内を走行する800形のパンタグラフ
架線高さが低いためかなり縮んでいる

3003号が運用から外れたのとほぼ同じ時期に、広島駅構内では真上で行われている駅前大橋線・新広島駅建設工事の進展に伴い架線高さが通常より低い位置に付け替えられました。広電は一昨年前から旧型車の集電装置を順次シングルアーム式パンタグラフに換装していましたが、これはこの架線高さ引き下げに対応するためだったと推測されます。

一方で、3003号をはじめとする一部の車両[3]3100形や大正形電車101号など。はパンタ換装が行われませんでした。確定的な情報ではありませんが、3003号が5号線運用に入らなくなったのはパンタグラフが架線高さに対応できないためではないでしょうか。そんな時にタイミングよく誕生した広島駅を通らない3号線の連接車運用は、まさしく3003号のために用意された仕事とも思えてきます。

3 おわりに

広電ファンからは人気を集めている3003号ですが、前述の通り連接車で唯一ICカード全扉降車に対応していないため、運用に入れ続けるかぎり乗客の利便性は損ないます。しかも広島駅入線不可が事実だとしたら会社側としても扱いにくい車両であるはずです。専属の仕事ができたからとはいえ、行く末は全く予想できません。

出典・参考文献

脚注

References
1 ただし改正当日に充当されて以降は2週間にわたって運用離脱し、8月7日から運用復帰。
2 平日朝の宮島線発広電本社前行きは折り返し3号線西広島行として運行されるが、市内線所属の連接車に限れば十数年ぶりの設定。
3 3100形や大正形電車101号など。

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