【20年ダイヤ改正で誕生】115系が115系を追い抜き 早朝の徳山駅
下関総合車両所運用検修センター(広セキ)に所属する115系N編成は、3000番台および117系からの編入車である3500番台で組成された、115系では唯一の2ドア車かつ最も経年の浅いグループです。ひろしまシティ電車として地方交通の改革に貢献し、かつては瀬戸内の広大な範囲を走り回っていたこのグループも、現在は広島エリアから撤退して山陽本線岩国以西の山口エリアで主力としての活躍を続けています。
そんな広セキN編成の名物的だったとある運用に2020年3月16日ダイヤ改正で変更が加えられた結果、早朝の徳山駅にてちょっとした珍風景が見られるようになりました。
新山口発の山陽線上り始発列車3302M(普通 岩国行き)は、5時45分に徳山駅1番線に到着し、6時ちょうどの発車まで15分間停車します。その間に、後を追ってきた回送列車がホームの無い2番線(中線)に発着して3302Mを追い抜いていきます。
この回送列車は、柳井駅を6時59分に発車する下り3309M(普通 新山口行き)となる編成の送り込みのために設定されたものです。長らくの間、3309Mとなる編成は柳井駅まで3302Mの後部に連結する形で送り込まれていましたが、今改正より回送列車として単独で運転される形となりました。
回送列車は3302Mの後追いで新山口駅を出発して徳山駅で3302Mを追い抜き、柳井駅では3番線に到着後しばらく待機。6時44分発の3307Mが発車してから客扱いを開始し3309Mとして折り返していきます。回送列車を1本追加で走らせるために必要なコストや労力よりも、途中駅での増解結の手間を省く目的や両数削減による運用効率の改善を優先した結果なのでしょう。
なお、昨年のダイヤ改正では3302Mに加えて新たに2列車もN編成の8両編成運用が設定されましたが、どちらも今改正で運用が見直されたため、山口エリアにおける115系の8両編成は消滅しました。これらは全て車両運用の都合上だったとはいえ、山口エリアには明らかに過剰な8両編成が1日3列車も走っていたかなり特殊で贅沢な1年間でした。