寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」車内にはリネン庫がこんなにあった

国内最後の定期夜行列車として今日も走り続けている寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」。鉄道ファンならご存じの方も多いと思いますが、この2列車に使用される285系電車の運用は、普段の整備・点検を担っている後藤総合車両所出雲支所を拠点として…

  • 1日目:上り「サンライズ出雲」出雲市駅→東京駅
  • 2日目:下り「サンライズ瀬戸」東京駅→高松駅
  • 3日目:上り「サンライズ瀬戸」高松駅→東京駅
  • 4日目:下り「サンライズ出雲」東京駅→出雲市駅

というように、出雲を出てから帰ってくるまでの4日間が1サイクルとなっていす。

そしてこのサイクルは客室のシーツ・毛布といったリネン類も同じで、1日目の出発前に2日目以降の交換用リネン類もすべて車内へ積み込み、1サイクルを終えて出雲へ帰ってから4日分をまとめてクリーニングしているんだそうです。(ただしこれを明確に裏付ける資料は見つけられず…)

さて、先日筆者が横浜駅→岡山駅でサンライズを利用した時にふとリネン類の話を思い出し、「そういえば積み込んだリネン類はどこに仕舞っているんだろう?」という疑問が浮かんできました。

そこで夜な夜な車内を散策してみると…

1・8号車2階通路

こんなところに!

3・10号車デッキ山側
3・10号車デッキ海側
4号車通路のクランクしている箇所

こんなところにも!

1・8号車1階への階段

さらに階段横のこんなスペースにも!

通路やデッキ付近を中心としたいろいろな所に「リネン」と書かれた収納スペースが設けられていました。サイズは大小さまざまで、特に小さいところはどんな物をどんなふうに収納しているのかとても気になります。

285系7両編成の定員は158人[1]「シングルツイン」の補助ベッド使用時も含めた最大の定員。なので、それを当日以外の3日分(+多少の予備分も?)と考えると、積み込まなければならないリネンの数は結構なものになるはずです。しかも285系は自らの動力で走行する電車方式。多数の走行用機器を搭載しているため床下に収まりきらないブレーキ関係装置を床上に搭載するなど、客室以外のスペースにも余裕がありません。

それでも僅かなスペースを最大限活用してリネン庫を設けている巧妙な車両設計に感心するとともに、今まで何度も乗車しているのにこういう着眼点を全く持っていなかった自分が恥ずかしく思えてきました…

しかしながら、サンライズ車内の通路はとても狭く階段付近は足元も悪いのに、大量のリネン類を搬出・搬入するのは手間のかかる作業だと思います。また、リネン類を出雲で一括管理していることが、運用サイクルの途中で運休に見舞われた場合のやりくりを難しくしているといった話も聞きます。

サンライズは今年で運行開始から25周年。後継車両が登場するか否かには、このような課題もたくさんあるのかもしれません。

出典・参考文献

  • 松岡 成康、辻本 直弘、吉川 和博、木野村 晃「JR西日本、JR東海285系寝台特急形直流電車」『車両技術』216号、日本鉄道車輌工業会、1998年、p35~59

脚注

References
1 「シングルツイン」の補助ベッド使用時も含めた最大の定員。

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