新山口駅は「WEST EXPRESS 銀河」が普通列車を追い越す数少ない駅

JR西日本の新たな長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」は、気軽に鉄道の旅を楽しんでもらうことがコンセプトの観光列車です。今年9月のデビューから11月までは大阪駅~出雲市駅を夜行で結ぶ「山陰ルート」として運行され、12月12日からは大阪駅~下関駅を昼行で結ぶ「山陽ルート」としての運行がスタートしました。

1 特急列車になるはずだった「WEST EXPRESS 銀河」

新型コロナウイルス感染拡大の影響で「WEST EXPRESS 銀河」は旅行会社のツアー商品に限り販売される団体専用列車として運転されていますが、元々は「みどりの窓口」などでも予約できる一般の特急列車に分類される予定でした。しかし実際は大阪~下関を12時間以上も掛けて走行しており、これは同区間を普通・快速列車を乗り継いで移動するよりも時間を要しています。

お出迎えイベントや特産品販売のため途中駅で長時間停車することも理由の一つですが、一般の旅客列車や貨物列車の合間を縫うように走るため、停車駅ではない駅で長時間の運転停車を行うことも大きな要因です。決して早く移動することが目的の列車ではありませんが、それにしてかなりの鈍足ぶりを発揮しています。

2 特急列車らしさを見られる新山口駅

しかしながら、まるで特急列車らしいところを魅せるかのように、先を走っていた普通列車を駅で待たせて先に出発する「緩急接続」のようなダイヤが組まれている駅が僅かに存在しています。その中でも唯一上下列車ともに普通列車を追い越す駅が山口県の新山口駅です。

下り「WEST EXPRESS 銀河」9071Mと普通列車3345Mの時刻表。
9071Mは岩国駅から3345Mを数分差で追いかけ続け、3345Mが新山口駅で11分間停車している間に追い越す。
上り「WEST EXPRESS 銀河」9072Mと普通列車3330Mの時刻表。
3330Mは新山口駅で長時間停車するため、その間に9072Mが追い越す。

前述の通り、上下ともに緩急接続もどきが見られる駅は新山口駅が唯一なのですが、下り列車の土曜日出発便に限っては姫路駅で725T普通網干行きを追い越すため、山陽ルート全行程の中で普通列車を追い越す回数は計3回ということになります。

なお、京阪神エリアの複々線区間における「追い抜き」は含んでいません。当然これを加えればそこそこの本数の普通列車を追い抜いているはずです。

3 おわりに

「WEST EXPRESS 銀河」山陽ルートの運行日は2021年3月11日(木)出発の上り列車まで設定されており、それ以降の運行スケジュールはまだ発表されていません。自治体が運行を誘致する要望を出している紀南地方など、新たなエリアへと向かうコースが設定されるのか気になります。そして毎年3月といえばJRグループダイヤ改正が実施される時期ですから、もしこれまで通り山陰・山陽方面への運行だとしても運転時刻は大きく変わる可能性もあります。そのときには “特急列車らしい姿” を見られるのかにも注目してみると面白いかもしれません。

出典・参考文献

脚注

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