京急電鉄のホームドア:上大岡駅「モーニング・ウィング号」着発時の取り扱い

京急電鉄が2015年12月7日から運行を開始した「モーニング・ウィング号」は、クロスシートを備えた車両を用いて平日朝ラッシュ時の上り方面に運転される座席指定列車です。1日3本が運行されており、当初はすべて8両編成でしたが、2021年5月6日からは1本が12両編成に増結されました。

各停車駅では駅係員がチケットの確認を行うために乗車口が一部のドアに限定され、それ以外のドアは開きません。上大岡駅では2020年2月15日に上りホームのホームドアが稼働開始され、一般列車とは異なり特定のホームドアのみ開閉する特殊な取り扱いが必要になるため、駅係員が各開口部の個別操作スイッチを操作する方式が採られています。

1 一般列車の場合

京急線内のホームドアはQRコードを用いたホームドア制御システムが使用されており、上大岡駅でも一般列車の場合はこのシステムにより自動開閉する仕組みとなっています。

システムの概要は別記事で紹介しています。

2 座席指定列車「モーニング・ウィング号」の取り扱い

「モーニング・ウィング号」の着発時は、車掌・駅係員が以下のような手順で取り扱いを行っていました。

上大岡駅では8両編成も本来の8両停目ではなく3両分前の12両停目に停車します。車掌はあらかじめ「戸閉選択スイッチ」で特定のドアだけを開扉するように設定しており、定位置停止を確認すると通常通り車両ドアの開扉操作を行います。

ウィング8両用の停止位置限界線
※ホームドア稼働開始前の2019年12月1日に撮影
係員が操作した部分のみホームドアが開いている
車両ドア閉扉とほぼ同時にホームドアを閉扉する

3ヶ所の乗車口で待機している駅係員は列車到着前に乗客のチケットの確認を済ませています。そして列車が到着するとホームドア筐体に内蔵された個別開閉スイッチの蓋を解錠し、車掌の操作で車両ドアが開き始めたことを確認してから、個別開閉スイッチを取り扱ってホームドアを開扉します。

客扱いが完了すると、3ヶ所の駅係員がそれぞれ白色灯を掲げて客扱い終了の合図を送り、車掌がそれを確認して閉扉操作を行います。続いて駅係員が個別開閉スイッチでホームドアを閉扉し、再び白色灯を掲げて合図を送ります。 列車が出発すると個別開閉スイッチ蓋の施錠を確認してその場を離れます。

3 おわりに

ホームドア制御用QRコードは車両ドアに直接貼付しているものなので、列車種別によって格納する情報を変えることは出来ません。よって「モーニング・ウィング号」における取り扱いを一般列車と同じくQRコード式システムで自動化するのは難しいでしょう。QRコードを貼付しているドアが3番ドア(2ドア車では2番ドア)なのに対して同列車は1番ドアで客扱いを行うのも、システムとの関係を完全に絶つためだと思われます。

出典・参考文献

脚注

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