京急電鉄のホームドア:快特と連結する「イブニング・ウィング号」発着時のドアカットに対応した制御

京急電鉄は2023年11月25日のダイヤ改正より、平日夜に運行している座席指定列車「イブニング・ウィング号」のうち2本を、単独運転ではなく快特の後ろに連結する運行形態へと変更しました。当記事では、イブニング・ウィング号のドアを開閉しない途中停車駅におけるホームドアの制御について紹介します。

1 イブニング・ウィング14・16号の運行形態変更について

京急蒲田駅ホームドアに貼付されたイブニング・ウィング14・16号に乗車できない旨の案内

従来、イブニング・ウィング号は全列車がクロスシートを備えた2100形8両編成を用いて、品川駅を出ると上大岡駅までノンストップ運転を行っていました。今改正では計8本のうち14号・16号の2本について利用状況に応じた見直しが行われ、使用車両を1000形1890番台「Le Ciel」4両編成に、また品川駅~金沢文庫駅間で快特8両編成の後ろに連結する運行形態へと変更されました[1]行き先も三崎口行きから金沢文庫行きに短縮。

しかし14・16号も停車駅は変わらず品川駅~上大岡駅間ノンストップなので、快特のみが停車する途中駅の京急蒲田駅・京急川崎駅・横浜駅では、前8両の快特編成のみドアを開閉し、後4両のウィング編成はドアを締め切る「ドアカット」を行います。連結した列車同士で停車駅が異なるのは全国的にも珍しい運行形態です。

2 ホームドアもドアカットに対応

京急電鉄のホームドア開閉方式は、車両側の改修を必要とせずに編成両数・ドア数の判別およびホームドア開閉を自動化できるQRコードを用いたホームドア制御システムが採用されています。

システムの概要は別記事で紹介しています。

京急蒲田駅・京急川崎駅・横浜駅におけるイブニング・ウィング14・16号発着時の取り扱いは次の通りです。

車両側は車掌が後4両分のドアカットを事前に済ませているため[2]京急車には2両単位でドアを締め切るスイッチが備わっている。、ドア開扉操作を行ってもウィング編成のドアは開きません。一方のホームドア側についても、QRコード式システムによって快特編成の前8両分のみ車両ドアと連動して開き、ウイング編成の後4両分は閉まったままとなります。よって乗務員や駅係員による特別な操作は必要ありません。

京急蒲田駅3番線を例にすると、QRコード読み取りカメラはホーム上6か所に設置されています。このうち10・11号車(ウィング編成の2・3号車)のカメラが車両ドア開扉を検知しなければ、隣接する9・12号車も含めた4両分のホームドアを締め切る制御を行っているのだと思われます。なお、ホームドア表示灯の表示内容は通常の発着時と同じでした。

3 おわりに

京急のQRコード式ホームドアはこれまでも連結・切り離し作業や縦列停車など、同社のお家芸ともいえる複雑な運行形態に対応してきました。そして新たに誕生した快特+ウィング号のドアカット扱いにも、その柔軟性を発揮するようにしっかり対応したのは流石だと感じます。

出典・参考文献

脚注

References
1 行き先も三崎口行きから金沢文庫行きに短縮。
2 京急車には2両単位でドアを締め切るスイッチが備わっている。

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