京急電鉄のホームドア:京急東神奈川駅のタイプ

タイプ 腰高式
メーカー 日本信号
開閉方式 自動(QRコード式連動)
停止位置許容範囲 不明(TASCなし)
開口部幅 【推定】3,200mm
非常脱出ドア 開き戸式(各号車連結部)
支障物検知センサ 3Dセンサ

京急電鉄の京急東神奈川駅では、2022年7月2日にホームドアの稼働が開始されました。京急線内のホームドア設置駅数はこれで12駅目ですが、従来とは異なる仕様のホームドアが採用されています。

1 ホームドアの仕様

京急東神奈川駅で採用されたのは、外観の特徴から日本信号製と推測される通常タイプのホームドアです。京急線内ではナブテスコ製ホームドアが最も多く採用されており、例外として京急鶴見駅で採用された京三製作所製、そして2022年4月に汐入駅で採用された日本信号製の「軽量型ホームドア」があります。しかし同駅はこれまでのどの駅とも異なる仕様となりました。

開口幅は他駅のタイプと同等の推定3,200mmです。形状やデザインにこれといった特徴は無いものの、扉の断面形状、ガラス透過部のサイズや位置などによって日本信号製であることが分かります。

左:通常の扉 右:部材が追加されている扉
非常脱出ドアのある箇所に収納される扉は断面形状が異なる
これが日本信号製ホームドアのスタンダードな仕様
ホーム側から見た車両ドア間の筐体
ホーム側から見た車両連結部の筐体
線路側から見た車両ドア間の筐体
線路側から見た車両連結部の筐体

本タイプは1筐体あたりのホームとの接合部が3か所(他駅のタイプは2か所)に増えているのも特徴です。ホームドア筐体によって隠される部分は設置工事に伴い撤去されたホーム先端タイルを復元していないため[1]同駅に限らず時折見られる施工方法。、凸型に露出している基礎部分がとても目立ちます。基礎が増えると設置工事の手間も増えそうに思えますが、実際のところはどうなのでしょうか…?

乗務員操作盤も汐入駅と同型

車両連結部およびホーム両端の非常脱出ドアは汐入駅の軽量型ホームドアとほぼ同じ構造で、8両分すべての箇所において扉にパンチングを施すことにより反対側が確認しやすくなっています。その他にも、乗務員操作盤や表示灯など、汐入駅と共通している部分がいくつか存在します。

線路側から見た1両分(3開口)のホームドア
ホーム上屋は写真中央から右側が新設部分

なお、かつて同駅のホーム上屋は浦賀方4両分にしか設けられていませんでしたが、ホームドア設置に先立ち8両分すべてに上屋を延長する工事が実施されました。これによって後述するホームドア制御用のQRコード読み取りカメラも他駅と同じように設置することができています。

2 ホームドアの開閉方式

2.1 開閉方式の概要

京急電鉄のホームドア開閉方式は、車両側の改修を必要とせずに編成両数・ドア数の判別およびホームドア開閉を自動化できるQRコードを用いたホームドア制御システムが採用されています。

システムの概要は別記事で紹介しています。

定位置停止検知センサ

汐入駅と同じく、車両連結部を測定して列車の定位置停止を検知するセンサには日本信号製の3Dセンサが採用されています。

2.2 各種機器の配置

同駅におけるQRコード読み取りカメラ・定位置停止検知センサの配置は上図の通りです。

京急のQRコード式システムは「単独の4両編成」「4両編成を2本繋げた8両編成」の判別が必要なことから、読み取りカメラをホーム前後に分けて設置しなければなりません[2]QRコードに格納されている車種情報に加えて、QRコード自体を検知しているか否かで編成両数を判別するため。。前述の通り、同駅ではホームドア設置に先立ちホーム上屋の延長工事が実施されたため、これまでと同様の配置法則でカメラを設けることができています。

3 おわりに

なぜ同駅では日本信号製の従来型ホームドアを採用したのか、その理由は分かりませんが、汐入駅の軽量型ホームドアとあわせて今後の本格導入を視野に入れた比較検討を行っているのかもしれません。

2023年度鉄道設備投資計画によると、2023・2024年度は計9駅にホームドアを設置予定で、この資料にはホームドア設置例として同駅の画像が使われています。これは今後も本タイプが採用される可能性を示唆しているのでしょうか?

出典・参考文献

脚注

References
1 同駅に限らず時折見られる施工方法。
2 QRコードに格納されている車種情報に加えて、QRコード自体を検知しているか否かで編成両数を判別するため。

コメントする