京急電鉄のホームドア:汐入駅の軽量型ホームドア
タイプ | 腰高式 |
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メーカー | 日本信号 |
開閉方式 | 自動(QRコード式連動) |
停止位置許容範囲 | 不明(TASCなし) |
開口部幅 | 【推定】3,200mm |
非常脱出ドア | 開き戸式(各号車連結部) |
支障物検知センサ | 3Dセンサ |
京急電鉄の汐入駅では、2022年4月23日にホームドアの稼働が開始されました。京急線内のホームドア設置駅はこれで2桁の10駅目に達し、JR九州などで採用例のある「開閉バー式軽量ホームドア」(以下:軽量型ホームドア)が京急では初めて採用されています。
目次
1 ホームドアの仕様
扉をバー状とすることで軽量化および風荷重の低減を図ったこの軽量型ホームドアは、業務用鉄道シミュレータの開発などを手がける株式会社音楽館の代表取締役社長でミュージシャンの向谷実氏が考案し、音楽館と日本信号によって共同開発されたものです。JR九州筑肥線の一部区間と西武鉄道多摩湖線の国分寺駅で既に運用されていますが、両者の車両規格は20m4ドア車だったので京急の18m3ドア車に合わせた仕様はこれが初でした。
開口幅はJR九州・西武よりやや広く、京急線内の他社製ホームドアと同等の推定3,200mmです。戸先部分を黄色に塗装している点はJR九州と同じですが、上下を除くバーが赤色ではなく白色なのが異なります。、また、開閉時に点滅する開口部両側のLEDバーも設けられていません。
バーの本数が5本と4本の扉を交互に配置し、戸袋に互い違いで収納することで筐体の薄型軽量化にも貢献できる点が本タイプの大きなメリットです。20m4ドア車用は文字通り5本と4本が交互でしたが、18m3ドア車用は各号車1・3番ドアが5本、2番ドアが4本となっています。
車両連結部の筐体(およびホーム両端)には開き戸式の非常脱出ドアが設けられており、扉にパンチングを施すことで反対側が確認しやすくなっています。
京急線内の既設ホームドアでは、乗務員出入り口を兼ねている各編成両数の前部・後部のみに透過部を設けていたのに対して、同駅では8両分全ての箇所に設けられました。その他にも、各開口部の非常開ボタンが両側2か所から片側1か所のみに削減された点や、乗務員操作盤のボタン類に蓋が取り付けられている点が従来と異なります。これらの仕様は同年度に設置された京急東神奈川駅の同メーカー製ホームドアにも継承されました。
2 ホームドアの開閉方式
2.1 開閉方式の概要
京急電鉄のホームドア開閉方式は、車両側の改修を必要とせずに編成両数・ドア数の判別およびホームドア開閉を自動化できるQRコードを用いたホームドア制御システムが採用されています。
システムの概要は別記事で紹介しています。
従来と異なるのは、車両連結部を測定して列車の定位置停止を検知するセンサの方式が、他駅で採用されている北陽電機製の2Dセンサではなく日本信号製の3Dセンサが採用された点です。これも後に京急東神奈川駅が同じ仕様となりました。
2.2 各種機器の配置
同駅におけるQRコード読み取りカメラ・定位置停止検知センサの配置は上図の通りです。従来の8両分ホームと同じく、カメラは1ホームあたり4か所の車両ドア上部に設けられています。
3 おわりに
京急は今後2030年代中ごろまでに全駅でホームドア・固定柵の設置を目指す方針を発表しています。現時点で本タイプは他駅に導入されていませんが、いずれ本格的に普及するのかもしれません。
京急線内でこれまでに採用されたホームドアのメーカーは、最も標準的なナブテスコ製、京急鶴見駅の京三製作所製に続き、同駅の日本信号製で3社目となりました。さらに同年度に設置された京急東神奈川駅では日本信号製の通常型ホームドアも採用され、続々とバリエーションが増加しています。