スカイレールみどり坂線のホームドア
タイプ | フルスクリーン式 |
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メーカー | ナブコ |
開閉方式 | 無線式連携 |
停止位置許容範囲 | ±150mm(自動運転) |
開口部幅 | 【推定】1,500mm |
非常脱出ドア | 開き戸式(1か所) |
支障物検知センサ | なし |
広島市東部のJR山陽本線瀬野駅から駅北方の傾斜地に広がるニュータウンを結ぶ「スカイレールみどり坂線」は、懸垂式モノレールとロープウェイの技術を組み合わせた世界で唯一の短距離交通システムとして1998年に開業しました。しかし、赤字が続いていることや特殊な構造ゆえの維持費用といった問題から、2024年4月30日の正午をもって運行を終了、翌5月1日付けで廃止されることが決定しています。
同線にはみどり口駅・みどり中街駅・みどり中央駅の3駅があり、3駅6ホームすべてに開業当初からフルスクリーン式ホームドアが設置されていました。当記事では、2024年2月下旬に取材した時点でのホームドアの仕様について紹介します。
目次
1 ホームドアの仕様
ホームドアのタイプは上部にすき間がある半密閉型のフルスクリーン式で、メーカーは自動ドアの国内シェアNo.1を占めるナブコ(現:ナブテスコ)です。車両の出入口は1か所しかないため、ホームドアも1開口のみが設置されています。
扉部分はステンレス無塗装で、車両ドア幅が1,000mm程度なのに対して開口幅は1,500mm程度でした。なお、スカイレールは係員のいない完全自動運転で走行しており、駅での停止精度は±150mm以内とのことです。
車両とホームドアの間に支障物検知センサや非常開ボタンはありませんが、人が取り残されたまま扉が閉まらないようにするための保護板が設置されています。
開口部上方にある開閉予告灯の赤色灯が設けられており、ホームドアが開閉する直前に点灯します。
同線はみどり口駅のみ有人駅、ほかの2駅は無人駅となっており、ホーム側の躯体部分にあるインターホンを押すとみどり口駅の指令室に繋がるようです。
ホーム片側の端部には開き戸式の非常脱出ドアが設けられています。
2 ホームドアの開閉方式
ホームドアと車両ドアは無線通信により同期して自動開閉します。
前述の通りスカイレールは自動運転を行っていますが、指令員が各ホームの状況をITVモニタで監視し、乗降が済むまで発車を遅らせたり、閑散時間帯に乗客がいない時は発車を見合わせる「待受運転」を行っています。
3 おわりに
冒頭で述べた通り、スカイレールみどり坂線は2024年4月30日に運行を終了し、このホームドアも役目を終えます。鉄道事業法の対象かつホームドアが完備されている路線の廃止は、2006年に廃止された愛知県の桃花台新交通桃花台線「ピーチライナー」以来だと思われます。
出典・参考文献
- NABCO プラットホームドアシステム 納入実績(インターネットアーカイブ)
- 倉田 章彦、山内 誠二「ロープ駆動式懸垂型交通システム”スカイレール”の開発」『三菱重工技報』Vol.34-No.6、三菱重工業、1997年
- スカイレールサービス(株)「スカイレール(新しいモノレール)」『モノレール』1999.09、p.26~29、日本モノレール協会