小田急電鉄のホームドア:下北沢駅・代々木上原駅1・4番ホームなどのタイプ

タイプ 腰高式
メーカー 京三製作所
開閉方式 開扉 自動(定位置停止検知・両数検知)
閉扉 車掌手動操作
停止位置許容範囲 ±500mm(TASCあり)
開口部幅 1・4番ドア 2,780mm
2・3番ドア 2,600mm
非常脱出ドア 戸袋スライド式(各号車連結部)
支障物検知センサ 3Dセンサ

小田急電鉄では、2018年度~2020年度にかけて代々木上原駅[1]東京メトロ千代田線が発着する2・3番ホームには千代田線仕様のホームドアが設置された。・東北沢駅・下北沢駅・世田谷代田駅・梅ヶ丘駅の5駅でホームドア整備が完了し、代々木八幡駅を含めた6駅間がホームドア完備区間となりました。この5駅は代々木八幡駅と仕様の異なるタイプが採用されており、これは駅ごとの置かれている環境の違いが影響しています。

1 ホームドアの仕様

メーカーは代々木八幡駅と同じく京三製作所ですが、構造面での大きな違いは開口幅です。

代々木八幡駅は急カーブで進入速度が遅いことから停止精度を±350mmまで狭めているのに対して、進入速度が速い他の5駅は停止精度を±500mmとしており、その分開口幅が広くなっています。ドア幅を通常の1,300mmから1,600mmに広げた「ワイドドア車」や車種によるドア位置の違いを考慮し、各号車2・3番ドアは2,600mm、1・4番ドアは2,780mmです。

戸袋スライド式非常脱出口を備えた筐体
右上の赤い部分が操作レバー

もう一つの特徴が、車両連結部の筐体に「戸袋スライド式非常脱出口」を備えていることです[2]車掌用操作盤または駅係員操作盤が設置されている箇所を除く。。本体カバーを横方向にスライドさせると通路を構成することができ、開き戸式と比べてホーム幅員の狭い箇所に設置しても通行を妨げないというメリットがあります。

特徴的な断面形状
扉は互い違いに収納される
ホーム側から見た車両ドア間の筐体
ホーム側から見た車両連結部の筐体
線路側から見た車両ドア間の筐体
線路側から見た車両連結部の筐体
※車掌用操作盤があるため脱出口にならない箇所

各開口部の線路側には、3D式の支障物検知センサと非常開ボタンが1か所ずつ設けられています。全体的な形状も代々木八幡駅のタイプと似ていますが、筐体の厚みが大きくなっています。

下北沢駅急行ホームはオレンジ帯
下北沢駅緩行線ホームは青帯

外観の特徴として、地下駅である東北沢駅・下北沢駅・世田谷代田駅には扉部分の透過ガラスが設けられていません。これは粉塵で汚れが目立つと推測したためだそうです。また、地下1階が緩行線ホーム、地下2階が急行線ホームに分かれている下北沢駅はホームドアの帯を色分けすることで誤乗防止を図っています。

2 ホームドアの開閉方式

ホームドア開閉方式は以下の通りです。

  • 開扉:自動(定位置停止検知・両数検知)
  • 閉扉:車掌手動操作

代々木八幡駅下りホームと同じく[3]代々木八幡駅上りホームは可動ステップが設置されている関係で開閉ともに車掌手動操作。、各種センサが列車の定位置停止および編成両数を検知することで自動開扉し、閉扉は車掌による手動操作で行います。

定位置停止・両数判定システムの詳細については別記事にまとめています。

3 おわりに

続いて2020年度末には登戸駅でホームドアが設置されましたが、下北沢駅などとは異なるメーカーの製品が採用されたほか、QRコードを用いたホームドア自動開閉制御システムの導入によって開閉ともに車両ドアとホームドアが連動するようになりました。本タイプも将来的にQRコード式システムが導入されるのでしょうか?

出典・参考文献

  • 馬場 和久「小田急電鉄のホームドアについて」『鉄道と電気技術』Vol.30-No.12、日本鉄道電気技術協会、2019年、p36-42

脚注

References
1 東京メトロ千代田線が発着する2・3番ホームには千代田線仕様のホームドアが設置された。
2 車掌用操作盤または駅係員操作盤が設置されている箇所を除く。
3 代々木八幡駅上りホームは可動ステップが設置されている関係で開閉ともに車掌手動操作。

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