小田急電鉄のホームドア:登戸駅・新宿駅地下各停ホームのタイプ

タイプ 腰高式
メーカー 高見沢サイバネティックス
開閉方式 自動(QRコード式連動)
停止位置許容範囲 ±500mm(TASCあり)
開口部幅 1・4番ドア 【推定】2,800mm
2・3番ドア 【推定】2,600mm
非常脱出ドア 開き戸式(各号車連結部)
支障物検知センサ 3Dセンサ

小田急電鉄の登戸駅では、2021年3月7日に下り1・2番ホーム、同年5月23日に上り3・4番ホームでホームドアの稼働が開始されました。下北沢駅などのタイプとは別メーカーの製品が採用されたほか、小田急では初となるQRコードを用いたホームドア自動開閉制御システムの導入によって、開閉ともに車両ドアとホームドアが連動するようになりました。

2022年1月30日には新宿駅地下8・9番ホーム(各駅停車が使用)でも同型のホームドアおよびQRコード式制御システムが導入されました。小田急新宿駅でのホームドア設置は2012年度の地上4・5番ホーム以来です。

1 ホームドアの仕様

新宿駅4・5番ホームは三菱電機製、代々木八幡駅・下北沢駅などは京三製作所製でしたが、今回は高見沢サイバネティックスの製品が採用されました。開口幅は他駅のタイプと同じく、各号車1・4番ドアと2・3番ドアで広さが若干異なっています[1]ドア幅を通常の1,300mmから1,600mmに広げた「ワイドドア車」や車種によるドア位置の違いを考慮したため。

各号車1・4番ドアは左右の扉長さが非対称
車両ドア間の筐体
車両連結部の筐体
非常開ボタンと支障物検知センサ
線路側から見た車両連結部の筐体・扉

各号車連結部には開き戸式の非常脱出ドアを備えています。この部分に収納される扉は戸袋スペースが少ないことから扉長さが短く、下部に部材が追加されているため筐体側も下部が少しだけ分厚くなっています。

各開口部の線路側には、3D式の支障物検知センサと非常開ボタンが1か所ずつ設けられています。

車両連結部に収納される扉は断面形状が異なる
乗務員出入り口兼用の脱出ドアのみ透過部がある
乗務員操作盤
通常はQRコード式システムによる自動開閉なので使用されない

各編成両数の前部・後部となる箇所の非常脱出ドアは乗務員出入り口を兼ねており、ドアを開ける際に周囲の安全を確認できるようにガラス透過部が設けられています。なお、登戸駅は10両・8両・6両の発着[2]登戸駅を含む区間における6両編成の定期運用は2022年3月改正で廃止。に対応している一方、新宿駅は当初から6両編成の乗り入れが無いため10両・8両のみの対応となりました。

2 ホームドアの開閉方式

QRコード読み取りカメラユニット

前述の通り、登戸駅ホームドアの開閉制御には全国4例目となる「QRコードを用いたホームドア自動開閉制御システム」が採用されています[3]都営地下鉄浅草線・京急電鉄・神戸市営地下鉄西神・山手線に次いでの採用。ただし西神・山手線は後に別のシステムに変更。

小田急の既設ホームドアは地上側の各種センサが列車の定位置停止・編成両数などを検知することでホームドアを自動開扉していますが、閉扉は車掌による手動操作のためタイムロスが大きいことや回送列車等が停車した場合も自動開扉してしまうことが課題でした。そこで、他社で実績のあったQRコード式システムを採用することにより、車両改造を伴わずに車両ドアとホームドアの開閉を同期できるようになりました。

小田急におけるQRコード式システムの基本情報は別記事にまとめています。

3 おわりに

2022年度末に整備された本厚木駅および2023年度整備予定の町田駅のホームドアは、ロマンスカーのドア位置にも対応できるように小田急として初めての大開口ホームドアが採用されています。一方、次に一般型車両だけが停車する駅にホームドアが設置されるのは早くても2024年度以降となりますが、当記事で紹介したタイプが引き続き採用されるのか、それとも全く別のタイプになるのでしょうか。

出典・参考文献

脚注

References
1 ドア幅を通常の1,300mmから1,600mmに広げた「ワイドドア車」や車種によるドア位置の違いを考慮したため。
2 登戸駅を含む区間における6両編成の定期運用は2022年3月改正で廃止。
3 都営地下鉄浅草線・京急電鉄・神戸市営地下鉄西神・山手線に次いでの採用。ただし西神・山手線は後に別のシステムに変更。

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