JR東日本 中央・総武線各駅停車のホームドア:スマートホームドアの仕様

タイプ 腰高式
メーカー JR東日本メカトロニクス
開閉方式 トランスポンダ式連携
停止位置許容範囲 ±350mm(TASCあり)
開口部幅 一般部 2,000mm
1・10号車大開口部 2,900mm
非常脱出ドア 開き戸式(各号車2‐3番ドア間)
支障物検知センサ 3Dセンサ

JR東日本の中央・総武線各駅停車(中央・総武緩行線)では、2020年東京オリンピック・パラリンピックの競技会場最寄り駅となる代々木駅・千駄ヶ谷駅・信濃町駅の3駅を皮切りにホームドアの整備が始まりました。2021年3月6日稼働開始の市ヶ谷駅からは軽量・低コストな「スマートホームドア」も積極的に採用されています。

当記事ではスマートホームドア(従来型ホームドアではない)の、同線ならではの仕様を紹介します。

1 ホームドアの仕様

1.1 基本仕様

当記事で紹介する部分を除けば基本仕様は特に変わっていません。2022年度の設置駅までは1次タイプ、2023年度に設置された東中野駅からは下部バーを2本に増やすなど改良を施した2次タイプが採用されました。

従来型ホームドアと同じく基本開口幅は2,000mmです。よって「ワイドドア車」などのドア位置・サイズが異なる車両も乗り入れる東京メトロ東西線との直通運転区間(三鷹駅~中野駅間および西船橋駅~津田沼駅間)には設置されていません。

同線のスマートホームドアで特徴的な点の一つは、他路線と違って戸袋の上部バーに路線ごとのラインカラーが装飾されていないことです。これは中央・総武線のラインカラーが黄色であり、同じく黄色に塗装された扉上部バーと見分けが付けにくいためだと思われます。

その他の基本仕様については別記事をご覧ください。

1.2 将来の新車導入に対応した大開口部

E231系と次世代型車両の先頭車ドア位置の違い
スマートホームドアの1・10号車大開口部
左右の扉長さは2.5倍もの差がある

現在同線で活躍しているE231系(0番台・500番台)に対して、E233系・E235系などの次世代型車両は先頭車ドア位置が異なるため、従来型ホームドアと同じく1号車1番ドア・10号車4番ドアは幅2,900mmの大開口とすることで将来的な新車導入に対応しています。

スマートホームドアの大開口は従来型ホームドア以上に左右の扉長さが不均一となっているのが特徴です。これは短い方の扉が戸袋スペースの関係上800mmしかないためで、代わりに長い方の扉を2,100mmにすることで必要な開口幅を確保できています[1]従来型ホームドアの大開口は短い方の扉が約1,100mm、長い方の扉が約1,800mm。

2 ホームドアの開閉方式

中央・総武線のホームドア開閉方式は、山手線などと同じくトランスポンダ装置を用いた送受信により車両ドア側の開閉操作と連携するシステムが採用されています。列車が±350mmの停止許容範囲内に停止すると、10号車(三鷹方先頭車)に搭載された「ホームドア車上子」と線路側に設けられた「ホームドア地上子」がピッタリ重なって情報の送受信が可能になります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

3 おわりに

同線では2022年度以降の設置駅すべてでスマートホームドアが採用されており、現在設置工事中の千葉駅や新小岩駅も基礎部分の形状からスマートホームドアになると思われます。

一方、いまだに1駅もホームドアが設置されていない東京メトロ東西線との直通運転区間では、メトロ車両の特殊なドア配置に対応したホームドアが必要となります。JR東日本メカトロニクスはスマートホームドアを二重引き戸とした  “大開口タイプのスマートホームドア” を特許出願しており、これが採用されるかもしれません。

出典・参考文献

脚注

References
1 従来型ホームドアの大開口は短い方の扉が約1,100mm、長い方の扉が約1,800mm。

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