京成電鉄のホームドア:空港第2ビル駅の仕様

タイプ | 腰高式(一部二重引き戸タイプ) | |
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メーカー | 三菱重工交通・建設エンジニアリング | |
開閉方式 | 開扉 | 自動(車種判別・定位置停止検知・両数検知) |
閉扉 | 自動(車両ドア開閉検知) | |
停止位置許容範囲 | ±650mm(TASCなし) | |
開口部幅 | 一般部 | 【推定】3,200mm |
最大開口部 | 【推定】5,400mm | |
非常脱出ドア | なし | |
支障物検知センサ | 3Dセンサ |
京成電鉄の空港第2ビル駅では、2019年2月23日に下りホーム2・4番線で、同年3月17日に上りホーム1・3番線でホームドアの稼働が開始されました。京成のホームドア設置駅は日暮里駅に次いで2駅目でした。なお、同駅のホームドア整備事業は線路・駅などの鉄道施設を保有する成田空港高速鉄道株式会社が事業主体となって行われています。
同駅は1つのホームに成田スカイアクセス線ホームと京成本線ホームを縦並びで配置した特徴的な構造をしています。それが影響して、ホームドアの構造や制御システムにもさまざまな特徴が生まれました。
目次
1 ホームドアの仕様
1.1 基本仕様

手前:成田スカイアクセス線ホーム
間には鉄製の仕切りがある
同駅では「スカイライナー」などのライナー列車と一般列車が同じホームで発着しています。ライナー列車に使用されるAE形とその他の一般型車両ではドア位置が大きく異なることから、日暮里駅0番線と同じく最大開口幅5m超の二重引き戸式大開口ホームドアが採用されました。
冒頭でも述べた通り、同駅は1つの長いホームを区切って成田スカイアクセス線ホームと京成本線ホームを分離しています。ホームドアの扉部分はそれぞれの路線のイメージカラーに合わせて、成田スカイアクセス線ホームはオレンジ色、京成本線ホームはブルーに塗り分けられました。
基本仕様については別記事をご覧ください。
1.2 京成本線8両編成のはみ出し停車

放送やドア上部の表示器で誤乗防止を促すに留まっている
かつては1面1線だった同駅ですが、成田スカイアクセス線の開業を控えた2009年に上りホームが新設され、さらにホームを前後に区切ることで京成本線と成田スカイアクセス線のホームを分離しました[1]2つのルートは料金が異なるため、改札も分離されている。。
しかし、新設された上りホームは有効長が短く、3番線(京成本線上りホーム)は6両分しか確保できなかったため、3番線に停車する8両編成は後部2両が1番線(アクセス線上りホーム)にはみ出して停車します。さらに、一般型車両にはドアカット機能がないため、はみ出た2両分のドアも開いてしまいます。
この問題点はホームドア設置後も変わらず、ホームドアも2両分が開く制御になっています。ホームドアを開けなければ誤乗防止に役立つはずですが、車両ドアが開いていてホームドアが閉まった状態にするのは危険ということでしょうか。

ただし、AE形を使用して運行される本線経由の「モーニングライナー」は当初からドアカットが行われているため、はみ出す部分のホームドアも開かないように制御されています[2]「モーニングライナー」「イブニングライナー」は他の停車駅でも乗車口を限定して検札を行う目的のドアカットを行う。。なお、当該部分のホームドアは3番線に停車するAE形のドア位置に対応した構造となっていることから、緊急時にはすべてのドアを開扉できるようです。
2 ホームドアの開閉方式
2.1 開閉方式の概要
同駅のホームドアの開閉方式は以下の通りです。
- 開扉:自動(車種判別・定位置停止検知・両数検知)
- 閉扉:自動(車両ドア開閉検知)
京成電鉄のホームドアは、直通先の都営浅草線・京急線で採用されたQRコード式制御システムではなく、地上側設備のみで車種・編成両数の判別や車両ドアの開閉を検知する「地上完結型連携システム」によって制御されています。
詳しくは別記事をご覧ください。
なお、同駅の稼働開始当初は開扉のみが自動で、閉扉は車掌が直接操作盤のボタンを押していました。その後、2019年度に車両ドア開閉検知用センサが増設されたことで、閉扉も連動するようになりました。
2.2 各種センサの配置

日暮里駅0番線と同じく、AE形と一般車で車体長が異なることを有効活用し、1ホームにつき3箇所に設置された停止位置検知用センサの検知結果の組み合わせによって車種を判別しています。下り2・4番線のホームドアはそれぞれが独立したシステムで動作しているのに対し、上り1・3番線のホームドアはシステム的に見れば実質1つのホームとして扱われていると言えます。
5 おわりに
大きな荷物を持った空港利用客で混雑する同駅ですが、新設上りホームは非常に狭く危険な個所もあったため、ホームドアの設置により安全性が大幅に向上しました。そして、同駅の珍しい構造と取り扱いは、国内最大級の大開口ホームドアをより個性的なものとしています。
同駅に続いて2020年度には隣の成田空港駅でもホームドアが整備されました。また、2019年度末にはJR東日本の空港第2ビル駅・成田空港駅に昇降ロープ式ホーム柵が整備されています。
出典・参考文献
- 空港第2ビル駅のホームドア及び多機能トイレを 2019年2月から順次使用開始します | 京成電鉄
- 諸岡 利憲「京成電鉄のホームドアについて」『鉄道と電気技術』Vol.30-No.7、日本鉄道電気技術協会、p19-23