京成電鉄のホームドア:地上完結型連携システムによる開閉制御

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京成電鉄の代表的列車「スカイライナー」などに使用されるAE形とその他の列車に使用される一般型車両では車両規格が大きく異なっているため、日暮里駅や空港第2ビル駅に設置されたホームドアは最大幅5m以上の大開口を確保することで両車のドア位置の違いに対応しています。

ホームドアは車種や編成両数に応じて制御する必要がありますが、車両側にホームドアと車両ドアを連携して開閉するための機器を搭載するには膨大な費用・時間が掛かります。そのため京成では、車両側の改修を必要としない「地上完結型連携システム」が採用されました。

なお、同時期には相互直通運転を行ってる東京都交通局がQRコードを用いた低コストなホームドア開閉制御の開発を行っており、後に同じく直通先の京急電鉄でもそのシステムが採用されましたが、京成はQRコード式を採用しませんでした。

1 地上完結型連携システムの概要

「地上完結型連携システム」は三菱重工交通機器エンジニアリングとJR東日本メカトロニクスが共同開発したもので、当初は「地上完結型簡易連携システム」と称されていました。センサ等の地上側設備のみで車種・編成両数の判別や車両ドアの開閉を検知するため、車両側の改修を必要とせずに車両ドアとホームドアの開閉連動を行えることがメリットです。

このシステムは2016~17年に京急電鉄三浦海岸駅で行われたマルチドア対応型ホームドア「どこでもドア®」の実証実験において同時に試験されていたもので、そこからトンネルを通じて繋がる京成が実用化第一号となりました。

なお、2018年2月に京成初のホームドアが日暮里駅1・2番線で稼働開始した当初、このシステムによって行われていたのは車種・編成両数の判別のみで、開閉自体は車掌の手動ボタン操作で行われていました。その後システムの信頼性が確認されたためか2018年度に開扉が自動化、さらに2019年度には車両ドア開閉検知用センサの増設により閉扉も連動化されました。

このシステムを構成する3種類のセンサには停止位置検知用センサ・在線検知用センサ・車両ドア開閉検知用センサという名称が付けられています。これらの各種センサで列車検知がどのようにして行われているのかを、日暮里駅0番線における各種センサ配置を元に解説します。

2 列車検知の仕組み

2.1 停止位置検知用センサによる車種判別・定位置停止の検知

測域センサ(2D-LiDAR)で車両の連結部を測定することで列車が定位置範囲内に停止したことを検知します。この方式は近年多くの鉄道会社で採用されていますが、京成ではそれに加えて、停止位置検知用センサの組み合わせによりAE形と一般車で車体長が異なることを活用した車種の判別も行わているのが最大の特徴です。

AE形と一般車が共に発着するホームでは、編成の中央にあたる4-5号車連結部を合わせるように両車の停止位置が設定されており[1]この位置がドア位置のずれを最も少なくできるため。、その4-5号車連結部にセンサBが設置されています。その一方、両車で3mほど連結部の位置にズレが生じる1-2号車のAE形連結部にはセンサAが、一般車連結部にはセンサCがそれぞれ設置されているため、以下のように車種を判別することができます。

  • センサA・センサBで連結部を検知=AE形と判定
  • センサC・センサBで連結部を検知=一般車と判定

このように、両車で連結部の位置が同じ所と異なる所にそれぞれセンサを設けることで、確実な判別が可能となっているのです。

2.2 在線検知用センサによる編成両数の検知

日暮里駅0番線の一部の在線検知用センサはホーム反対側の独立した支柱に設置されている

前項の方法で列車の定位置停止を検知した際、ホームの複数箇所(日暮里駅0番線では4か所)に設置された在線検知用センサによって列車がホームのどの範囲に在線しているかを検知することで編成両数を判別します。このように、定位置停止検知と在線検知の組み合わせにより車種・編成両数を判別し、それに対応した箇所のホームドアを自動で開扉する制御が行われています。

2.3 車両ドア開閉検知センサ増設による閉扉連動化

増設された車両ドア開閉検知用センサ。車両ドアに貼付されている都営浅草線・京急のホームドア制御用QRコードは京成のホームドア制御には一切関係ない

以前は車掌の手動操作だったホームドアの閉扉ですが、2019年夏頃より各ホーム3ヶ所に車両ドア開閉検知用センサが増設されたことで、車掌がドア閉操作を行い車両ドアが閉まり始めると、センサがそれを検知してホームドアも追従して自動閉扉するようになりました。こうして、車両側の改修を必要とせずにホームドア開閉制御の全自動化が実現しました。

3 ホームドア状態表示灯・停止位置範囲表示灯

表示内容の推移。ホームドア全閉で再び①へと戻る

運転士用・車掌用それぞれにホームドアの開閉状態や異常などを示す「開閉表示灯」と「停止位置範囲表示灯」が設置されています。列車が定位置に停車すると、停止位置範囲表示灯には各種センサで判定した車種・編成両数が「AE」「8」「6」「4」という形で表示されます。

4 回送列車などへの対策

空港第2ビル駅1番線の「機外停止位置」標識

ホームドアのシステムと列車選別装置等のシステムは連動していないため、回送列車などの非営業列車が所定停止位置に停車した場合でもホームドアが開いてしまうことになります。よって非営業列車は「機外停止位置」という標識の場所に停車させることでホームドアの自動開扉を防いでいます。

5 おわりに

以上が京成電鉄の地上完結型連携システムによるホームドア制御方式の概要です。停止位置検知用センサの組み合わせで車種も判別できるのはとても効率的かつ画期的に思えますが、他の車種判別方法(QRコードやRFIDタグ)と比較して、コスト面や性能面でどの程度優劣があるのかは気になるところです。

出典・参考文献

脚注

References
1 この位置がドア位置のずれを最も少なくできるため。

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