3/5 東武鉄道N100系「スペーシアX」日立製作所笠戸事業所を出場

2023年3月5日、東武鉄道の新しい特急型車両N100系「スペーシアX」の第1・第2編成(6両編成×2本)が山口県下松市の日立製作所笠戸事業所を出場しました。

「スペーシアX」は浅草~日光・鬼怒川方面をむすぶ新型特急です。1990年に登場した100系「スペーシア」の伝統やイメージを継承しながら、最上級の「コックピットスイート」をはじめとした豪華な個室・座席やカフェカウンターなど、より上質に進化した新たなフラッグシップ特急として、7月15日のデビューを予定しています。

外観等は東武の公式SNSなどで製造段階から詳しく紹介されているので、当記事では主要機器について確認できた内容を記載します。

VVVFインバータ

主制御装置のVVVFインバータは日立製作所製です。2号車と5号車に搭載されており、それぞれ隣の3号車・5号車を含めた2両分のモーターを制御する構成のようです。

静止形インバータ(SIV)

補助電源装置の静止形インバータ(SIV)は富士電機製です。近年の新型車両では都営地下鉄三田線の6500形が搭載しているものと外観が酷似しています。

変周式・トランスポンダ式一体型のATS車上子

先頭部分床下には東武ATSの車上子が見えました。ATS信号情報の受信に加えて、扉の誤開扉を防止するためのトランスポンダによるホーム検知機能を担っています。

スペーシアXで注目されている部分のひとつはJR乗り入れ対応の有無です。東武とJR東日本は2006年3月から特急の直通運転を開始し、現行スペーシアのうち一部編成がJR直通用の機器を備えています。一方のスペーシアXは、現時点でJR乗り入れの予定が無いためJR線用のATS-P車上子も無く、その準備工事があるかどうかも分かりませんでした。

横から見たパンタグラフ
上から見たパンタグラフ

集電装置は東洋電機製造製で、2・5号車に2基ずつ搭載されています。

中間車の電動台車はSS192M
先頭車の付随台車はSS192T

台車は2017年デビューの500系「リバティ」と同じく日本製鉄製のモノリンク式ボルスタレス台車です[1]500系デビュー当時の社名は「新日鉄住金」。。乗り心地向上のためにヨーダンパとアクティブサスペンション(車体動揺防止制御装置)を備えている点もリバティと同じです。

密着連結器(上)と電気連結器(下)
電連はユタカ製作所製

車両のイメージが公表された頃から話題になっていたのが先頭車の電気連結器です。スペーシアX同士が営業運転で連結するとは考えにくいですが、日常的に連結運転を行っているリバティが搭載しているものと同型とみられるため、まさかリバティと・・・という可能性はゼロではないでしょう。

逆L字型の列車無線アンテナ
アンテナは両先頭車に2本ずつ設置

列車無線アンテナは日本アンテナ製です。東武公式YouTubeで先日公開された動画から、運転台にはデジタル無線対応の受話器を搭載していることが分かっています。

スペーシアXは今回出場した2編成体制で運行を開始し、今後もう2編成が増備されて4編成体制になる予定です。現行スペーシアはどの程度置き換えられるのか、そして将来的なJR乗り入れは実現するのかが注目されます。

公式サイト

脚注

References
1 500系デビュー当時の社名は「新日鉄住金」。

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