東武鉄道 東武アーバンパークラインのホームドア:柏駅 特急「アーバンパークライナー」発着時の取り扱い
東武鉄道の東武アーバンパークラインでは、2020年3月16日のダイヤ改正より、平日夜間に500系「リバティ」3両編成を用いて運行される特急「アーバンパークライナー」が柏駅への乗り入れを開始しました[1]改正前は野田市駅発着。。しかし同駅に設置されているホームドアとはドア位置が合わないことから、一部号車のドアのみを開ける取り扱いを行っているほか、リバティに対応するため各種機器が増設されています。
目次
1 発着時の取り扱い
1.1 異なるドア位置への対応
柏駅および船橋駅のホームドアは20m4ドア車の一般型車両に合わせた構造なので、特急型車両のドア位置とは合致しません。そのためリバティは一般型車両より1.5mほど前方(車止め側)に停止位置をずらすことで、3両編成のうち2号車のドアのみを開口部と合わせるように停止します。こうすることで、1・3号車のドアは締め切り、2号車のドアだけを開扉して乗降扱いを行います[2]乗車口を限定するのは特急券の検札を行う目的もあると考えられる。。
ただし、1・3号車のドアも停止位置ほぼジャストに停止すればギリギリ開口部には収まっています。実際、かつてリバティを使用した団体臨時列車が船橋駅に乗り入れた時はすべてのドアを開扉していたそうですが、運転士にとってあまりにも負担が大きい停止精度を求められるため[3]±200mm程度の精度が必要。なおTASC(定位置停止装置)は未整備。、現状の取り扱いが妥当なのでしょう。
ホームドア自体の詳細は別記事をご覧ください。
1.2 開閉方式は一般列車と変わらず
同駅のホームドアは、地上側の各種センサが列車の定位置停止を検知することで自動開扉し、一方の閉扉は車掌による手動操作で行われます。「アーバンパークライナー」発着時もこの方式自体は変わっておらず、入線時は後述の増設されたセンサがリバティ3両編成であることを判別し、2号車ドアと合致する5号車2番ドアのみを自動開扉します。よって車掌や駅係員が特別な操作をする必要はありません。
乗客の降車終了後は、車掌が1号車から3号車の乗務員室に移動し、車内整備を行うために一旦ホームドア・車両ドアを閉めます。そして車内整備が終了すると再びホームドア・車両ドアを開け、折り返し出発時も通常通りの手順で閉扉操作を行って出発します。
2 各種機器の増設
前述の通り、開閉方式自体は一般列車と変わっていません。しかし従来のシステムは6両編成の一般型車両にしか対応していなかったため、「アーバンパークライナー」乗り入れ開始に伴い、同列車が使用する2番線に限りリバティ用の各種センサ・表示灯類が新設されました。
定位置停止検知・自動開扉システムの詳細は別記事をご覧ください。
(1)定位置停止検知センサ
前述の通り、リバティは一般車より約1.5mほど前方に停車するため、一般車用とは別に専用の「定位置停止検知センサ」が設けられました。このセンサが車両前面までの距離を測定して列車の停止を判定します。
なお、一般車はこのセンサで停止検知を、車両連結部の位置を測定する「定位置範囲検知光電センサ」で定位置範囲検知を分担して行っています。しかしリバティの車両連結部には何のセンサも増設されていないことから、リバティは車両前面の測定のみで停止検知と定位置範囲検知の両方を行っているのだと思われます。
(2)両数検知センサの新設
一般列車の3号車付近、すなわちリバティ3両編成が停止しない箇所に2Dセンサが新設されました。このセンサが車体を検知していれば一般車6両編成、していなければリバティ3両編成と判別しているのだと思われます。
(3)車掌向け表示灯
入線方向のリバティ最後部に近い4号車2-3番ドア間筐体には、車掌向けの開閉動作表示器および停止位置範囲表示灯が設けられました。表示内容は一般車6両編成最後部にあるものと変わっていないようです。
3 おわりに
各鉄道事業者が頭を悩ませる特急型車両のホームドア対応方法ですが、柏駅では1か所だけのドアをホームドアと合わせることで解決されました。2021年6月以降は、東武スカイツリーライン新越谷駅において、リバティ3両編成を用いた臨時夜行列車が発着する際も同様の取り扱いが行われています。
しかし、2024年3月16日のダイヤ改正で「アーバンパークライナー」は廃止されることになり、柏駅におけるこの取り扱いもわずか4年で一旦見納めとなってしまいます。