JR九州303系K03編成の改造と福岡市地下鉄のATOについて

2018年11月から2019年1月にかけて小倉工場に入場したJR九州唐津車両センターの303系K03編成は、出場後も長らく運用入りしていませんでしたが、4月頃にようやく復帰しました。そしてこの編成には大きな改造が加えられていることが確認されています。

1 主な改造内容

唐津方先頭車クハ303-3の床下を見ると、元々搭載されていた「ATO車上子」「列番車上子」が撤去されていました。これはATOを305系と同様のトランスポンダ方式に変更されたためだと思われます。

2 福岡市地下鉄のATO(自動列車運転装置)について

JR筑肥線と直通する福岡市地下鉄ではATO(自動列車運転装置)を使用していますが、列車情報データ(次駅、運転モード、扉方向など)は誘導無線から、地点情報は変周式地上子から受信する古い方式でした。そのため同線を走行する車両には、両先頭車の運転台直下に列番車上子、唐津方先頭車の後寄りにATO車上子、前寄りにホームドア連携車上子と、それぞれの役目を担う車上子が別々に搭載されていました。

しかし今後は、トランスポンダ地上子を使用して車両側と列車情報データを送受信するトランスポンダ方式へと移行することになり、2015年に登場したJR九州305系からは従来ホームドア連携専用だった車上子に他の役割も集約されました。そのため、駅構内に設置されている停止位置までの残距離を送信する地上子は、従来の変周式地上子とトランスポンダ地上子の二種類が混在しています[1]JR車が乗り入れない箱崎線は除く。

3 おわりに

305系以外では、今回のK03編成が初めて新方式に変更された例だと思われます。これから他の303系や地下鉄車でも変更が進んでいくのでしょうか。また、K03編成には地下鉄線内用のワンマンドアスイッチとは別にJR仕様のドアスイッチを増設する改造も行われていました。詳しくは別記事でお伝えしています。

出典・参考文献

  • 森下逸夫「福岡市営地下鉄1000系電車」『車両技術』(151)、日本鉄道車輌工業会、1980年、p11~25
  • 松永智「305系通勤型直流電車の概要」『JREA』Vol.58-No.7、日本鉄道技術協会、2015年、p39668-39671

脚注

References
1 JR車が乗り入れない箱崎線は除く。

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