06/28 相模鉄道21000系第1編成が出場 20000系との違いも
2021年6月28日、相模鉄道の新形式21000系の第1編成となる21101×8(21101F)が山口県下松市の日立製作所笠戸事業所を出場しました。今現在は、相鉄への引き渡し地点である神奈川県の厚木駅へ向けて甲種輸送が行われいます。
目次
1 21000系の概要
21000系は2021年4月28日にリリースされた相鉄グループの「2021年度 鉄道・バス設備投資計画」にて導入が発表された新型車両です。2022年度下期に開業予定の相鉄・東急直通線向けとして今年度は8両×4編成の32両が導入、最終的には9編成72両が導入されて一部在来車の置き換えにも充てられる見込みです[1]2020年3月期決算説明会資料より。資料内では10両・8両ともに20000系として記載。。
相鉄・東急直通線向けとしては20000系が2017年度~2020年度にかけて10両×7編成導入されており、両数以外で20000系と21000系の見た目はほとんど変わりませんが、今回実車が登場したことで一部に違いがあることも判明しました。
2 外観
現時点で確認できた外観の大きな違いは非常用ドアコックの位置です。20000系では前頭部側面に設けられていた非常用ドアコックが21000系には無く、代わりに側面の床下に設けられていました。これは直通線開業によって東急目黒線を経由して乗り入れることになる東京メトロ南北線がフルスクリーン式のホームドアを設置している関係です。現在目黒線系統を走っている各社の車両もこの規格に準じており、例えば東急の2020系(田園都市線用)と3020系(目黒線用)でも同様にドアコック位置の違いがあります。
3 編成
編成は1号車(横浜方)から順にクハ21101+モハ21201+サハ21301+モハ21401+モハ21501+サハ21601+モハ21701+クハ21801となっており、20000系と同じく電動車1両ごとに主制御装置を搭載した独立M車方式です。
4 主要機器
主要な床下機器も外観は20000系のものと大差ありませんが、主制御装置(VVVFインバータ)パワーユニットのヒートシンク(グリルの中)が異なっているように見えました。銘板までは読み取れなかったので詳細は不明です。
5 台車
台車形式も20000系と同じで、日本製鉄製のSS184M(電動台車)・SS184T(付随台車)を装着しています。
6 運転保安装置・ATO(自動列車運転装置)
ATS・ATC・ATO[2]ATSは相鉄線内、ATCは直通予定の各路線の保安装置。ATOは地下鉄線内で使用。を統合した機器箱が両先頭車に搭載されています。20000系もこの箱は搭載していますが、他社線用の運転台機器等は現時点で準備工事に留めてあるらしいので、21000系は準備工事なのか本設状態なのかが気になります。
横浜方先頭車のクハ21101にはATO車上子が搭載されていますが、東横線系統と目黒線系統では歴史的な経緯[3]車両の機器配置の兼ね合いと思われる。によりATO車上子取付位置の基準が僅かに異なるため、20000系は東横線基準の位置、21000系は目黒線基準の位置となっていました。
7 列車無線アンテナ
20000系と同じく両先頭車の屋根上には円筒型アンテナ2本が搭載されています。
8 おわりに
以上のように、21000系は目黒線系統の車両規格に準じた仕様となっていました。このことから、20000系は東横線直通用、21000系は目黒線直通用として明確に使い分けられることが予想されます。なので21000系が東横線方面に乗り入れたり、20000系を8両に短縮して目黒線に乗り入れたりする可能性は低そうです。ただし、相鉄・東急直通線の具体的な運行計画がまだ公表されておらず、そもそも東横線方面に直通するかどうかも確実ではないことを注記しておきます。
出典・参考文献
- 2021年度 鉄道・バス設備投資計画 安全対策とサービスの向上に総額165億円【相鉄グループ】 | 相鉄グループ
- 2020年3月期決算説明会資料 | 相鉄グループ
- 相模鉄道株式会社20000系電車用電機品 | 東洋電機製造
- 都市鉄道利便増進事業 相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線