【2022年現在】JR西日本 227系山口エリア乗り入れ運用を振り返る

ダイヤ改正当日の3309M柳井発新山口行き
JR西日本広島エリアの主力車両として活躍する227系「RedWing」は、山陽本線岩国駅以西の山口県内エリアでも少しずつ活躍の幅を広げています。今年3月12日改正からは新山口駅まで乗り入れを開始し、「SLやまぐち号」との顔合わせも見られるようになりました[1]現在はSL故障のため「DLやまぐち号」として運転中。。
その改正からもすでに半年以上が経過してしまいましたが、改めて227系山口エリア乗り入れ運用の現在と、これまでの過程を振り返ります。
目次
1 これまでの山口エリア運用を振り返る
1.1 2015年3月14日改正 227系デビュー

当初は1日1往復設定された227系の由宇行き
2015年3月14日、広島支社約30年ぶりの新型電車として227系がデビューしました。当初の主な運用範囲は山陽本線糸崎駅~岩国駅と呉線でしたが、もともと広島エリアからの折り返し列車が複数設定されている南岩国駅や由宇駅まで足を延ばす運用もありました。
この時点では広島支所にもまだ多くの国鉄型電車が残っており、引き続き山口・広島・岡山の広範囲で運用されていました。翌年のダイヤ改正からはその運用を227系が継承することで、本格的に広島エリア外へと進出していきます。
1.2 2016年3月26日改正 徳山駅乗り入れ開始

上り終電の徳山発柳井行きも227系の運用となった
快速「シティライナー」復活など広島エリアのダイヤも大きく変わった2016年3月26日改正。この改正から227系の運用範囲は西端が徳山駅まで、東端も岡山支社との境界を越えて福山駅まで拡大されました。
227系運用となった徳山駅発着の列車は下り4本・上り2本です。下り4本はすべて深夜の3両編成で、徳山駅側線で2本ずつが連結して6両編成を組成、うち1本は上り終電の徳山発柳井行きに充当して柳井駅で停泊、もう1本はそのまま徳山駅で停泊し、どちらも翌朝の上り列車として広島エリアに戻る運用でした。
下り4本のうち3本は広島エリアからの直通列車、残り1本は岩国発徳山行きの終電で、2017年3月改正から2018年3月改正までの1年間のみ、土休日に糸崎駅発呉線回り徳山行きというロングラン列車も設定されていました。
1.2 2019年3月16日改正 1年で消えた日中の山口エリア運用

有名撮影地・大島大橋をバックに
国鉄型電車が広島エリアから完全撤退した2019年3月16日改正では、日中時間帯にも227系徳山乗り入れ運用が設定されました。その一方で、夜の下り1本は再び115系運用に戻りましたが、折り返しの上り2本がどちらも6両編成なのは変わらないため、穴埋めとして残る下り3本のうち1本が6両編成に増車されました。
日中の運用は、9時台に岩国駅を発車する3325Mとして徳山駅へ下り、到着後はしばらく駅側線で留置、14時台の上り3336M(岩国駅から2652M)として呉線の坂駅まで直通するというものでした。特記事項として、マツダスタジアムでのナイターゲーム開催日は6両編成に増結のうえ糸崎行きに変更されていました。
しかし、2020年3月14日改正で日中の1往復は列車ごと減便対象になり、日中の山口エリア運用は早々と消滅してしまいます。
1.3 2022年3月13日改正 新山口駅乗り入れ開始

タラコ色の気動車群をバックに引上線で待機する227系
そして今年3月13日、6年ぶりに運用範囲が拡大されて新山口駅への乗り入れを開始しました。これまでは広島支所の国鉄車運用を継承した結果山口県内にも入り込んでいたようなものですが、今回はついに下関の115系運用を一部置き換えているため、今回こそが本格的な山口エリア進出だったと言えるでしょう。
岩国駅~新山口駅の4往復と岩国駅~徳山駅の1往復が227系運用になり、再び日中時間帯にも見られるようになっています。その一方で、深夜時間帯は減便により227系の徳山行きがさらに1本減少し、穴埋めとして残る2本はどちらも6両編成での運転となったため、徳山駅側線で3両編成2本を連結する光景は見られなくなりました。
現在の227系山口エリア運用(南岩国駅・由宇駅発着は省略)は以下の通りです。
下り
- 3309M:柳井06:59発→新山口08:29着
- 3317M:岩国08:19発→徳山09:27着
- 3329M:岩国13:44発→新山口15:39着
- 3345M:岩国18:17発→新山口20:17着
- 3347M:岩国18:49発→新山口20:44着
- ⑥339M:糸崎18:32発→岩国20:51発→徳山21:58着
- ⑥1583M:白市19:57発(土休日19:54発)→岩国21:55発→徳山23:02着
上り
- ⑥平日1508M:柳井05:44→岩国06:18着→西条08:07着
- ⑥土休日3300M:柳井05:56発→岩国06:31
- ⑥622M:徳山06:26発→岩国07:34着→広09:40着(土休日09:45着)
- 3306M:新山口05:53発→岩国08:03着
- 3324M:新山口11:09発→岩国13:15着
- 3336M:新山口16:20発→岩国18:12着
- 3338M:徳山17:38発→岩国18:45着
- 3354M:新山口21:12発→岩国23:04着
- ⑥3358M:徳山22:49発→柳井23:23着
※⑥は6両編成、それ以外は3両編成
2 115系N編成・T編成への影響
227系の新山口乗り入れ開始や純粋な減便によって、山口エリアの主力である115系N編成(4両編成)にも余剰が生じ、8月にはN-12編成がN編成として初の廃車になりました。下関方の「食パン顔」が特徴的な115系T編成(2両編成)も今改正で岩国駅~新山口駅間から撤退し、2編成を併結する運用も消滅しました。
山陽本線山口エリアではワンマン運転実施に向けた準備が進んでいます。現時点でまだワンマン化改造を受けていない編成はN-06編成とT-14編成のみとなっており、N-12編成と同じくこのまま余剰廃車になる可能性も考えられます。
3 おわりに
広島支社管内の山陽本線で227系が乗り入れていないのは新山口駅~下関駅間のみとなりました。しかし広島向け227系の製造はすでに終了しており、今年の新山口乗り入れも他線区の減便・減車による余剰があってのことだと思われるため、下関乗り入れが実現する時=他線区のさらなる減便が行われた時かもしれません。
もう一つ今後の動向で気になるのが、前述したワンマン運転の開始です。ワンマン運転を行えるのは4両編成以下のはずなので、山口エリアに乗り入れる6両編成の227系運用は引き続き車掌が乗務するのか、それとも運用の大きな見直しがあるのでしょうか。
出典・参考文献
- 2022年春ダイヤ改正について:JR西日本
- 『JR時刻表』2015年~2022年までの各号、交通新聞社
脚注
↑1 | 現在はSL故障のため「DLやまぐち号」として運転中。 |
---|