115系広セキN-02編成にワンマン運転関連機器が搭載される

2020年9月15日に重要部検査等を終えて幡生工場(JR西日本広島支社下関総合車両所)を出場した115系広セキN-02編成に、ワンマン運転に関連すると思われる各種機器が新しく搭載されました。広セキN編成の中でワンマン運転に関連する改造が施されたのは同編成が初となります。

2020/09/20 JR徳山駅にて
乗務員による現車訓練に使用中のN-02編成。

下関総合車両所運用検修センター(広セキ)に所属する115系N編成は、3000番台および117系からの編入車である3500番台で組成された、115系では唯一の2ドア車かつ最も経年の浅いグループです。4両編成19本が在籍しており、現在は山陽本線の山口県内区間(岩国駅~下関駅)で運用されています。

そのうちのN-02編成がこの度ワンマン化改造を受け、出場後約2週間は試運転や乗務員訓練に使用された後に、9月27日ごろから通常運用に復帰しています。

1 改造による変化

1.1 外観の変化

(1)ワンマン表示灯の設置

外観で最も分かりやすい変化が助手側前面窓に設置されたワンマン表示灯です。現在は折り畳んだ状態で通常運用に就いています。

(2)ドア誤扱い防止装置の搭載

JR西日本ではワンマン運転を行う車両を中心に搭載が進んでいるドア誤扱い防止装置が同編成にも搭載されました。両先頭車の前位台車付近にはホームの有無を検知するセンサが取り付けられています。

1.2 乗務員室の変化

乗務員室内に新設されたワンマン関連機器の配置は、JR西日本の他地域で既に運用されている113系・115系ワンマン対応車に準じています。

(1)自動放送装置の搭載

運転席左側には放送再生スイッチが新設されています(写真①)。このスイッチはJR西日本管内のワンマン対応車でよく見られるものと同型です。現在の通常運用時は車掌による肉声放送のため使用は開始されていません。

(2)運転士用キースイッチの新設

後述する運転士用ドア操作ボタンを使用するためのキー差し込み口がワイパ切換スイッチの右に新設されました(写真②)。キースイッチはドア半自動扱いへの切り替えに対応しています。

(3)タッチパネル新設・電圧計移設

運転台パネルにあった6つの計器のうち右側2つの架線電圧計・制御電圧計が運転席窓上方に移設され、空いたスペースにワンマン運転時の系統設定などを行うタッチパネルが新設されました(写真③④)。

(4)運転士用ドア操作ボタンの新設

マスコンハンドルとブレーキ弁の間に運転士が着席したまま客用ドアを操作できるボタンが新設されました。蓋の付いた橙色のボタンが開扉、黒色のボタンが閉扉です。

1.3 客室内の変化

従来、乗務員室の運転席側背後には3人掛けのロングシートがありましたが、今回の改造により座席が撤去され、このスペースを増設された機器の設置場所に充てられていました。

なお、客室内でこれ以外の変化は特に見られませんでした。

2 ワンマン運転実施線区の予想

今回の改造は、車内で運賃収集を行う方式やJR西日本管内で拡がりつつある車載型IC改札機を搭載するようなものではなく、都市型ワンマン方式によるワンマン運転を近い将来開始するためのものだと分かります。そして同編成での乗務員訓練は主に徳山列車区で行われていたことから、ワンマン運転を実施する線区は現在の運用範囲のいずれかとなることが推測されます。

現時点で広セキ115系(N編成4連19本・T編成2連4本)の運用範囲となっている山陽本線岩国駅~下関駅間でワンマン運転は行われていませんが、その中でワンマン化の可能性が高そうなのはまもなく交通系ICカードの利用が可能になる岩国駅~徳山駅の区間です。2019年11月のニュースリリースで、2022年春に南岩国駅~徳山駅へICOCAエリアが拡大され、駅には自動改札機または簡易IC改札機が設置されることが発表されています。しかし、それよりも後に発表された関西線やきのくに線などでの拡大の方が早く実施される(2021年春予定)という逆転現象が起きています。

他の地域よりもエリア拡大までにずいぶん時間を要している件と、この時期に開始された広セキ115系のワンマン化改造。これらに因果関係はあるのでしょうか。さらに思い返せば、今年春のダイヤ改正でN編成の8連運用が全廃されたことも将来のワンマン化と関連があるのかもしれません。

3 おわりに

参考:福知山電車区在籍時代にワンマン運転を行っていた広セキT編成の運転台。

広島支社での都市型ワンマンは、呉線の快速「安芸路ライナー」で長らく実施されているほか、2019年春のダイヤ改正では呉線(広駅~三原駅)の105系ワンマン列車を運賃箱を搭載していない227系に置き換えた実績もあります。とはいえ製造から約40年が経過した115系に今更手を加えてワンマンを拡大しようとは流石に意外でした。

JR西日本では今後数年で大量の社員が定年退職を迎えることによる人員不足が危惧されています。もはや地域や路線の環境によらず、どの線区でもワンマン運転実施はあり得る時代となってきました。

出典・参考文献

脚注

コメントする