阪急電鉄のホームドア:軽量可動式ホーム柵の基本仕様(桂駅・西宮北口駅など)

タイプ 腰高式
メーカー 京三製作所
開閉方式 開扉 自動(種別判別・定位置停止検知・両数検知)
閉扉 車掌手動操作
停止位置許容範囲 【推定】±900mm(TASCなし)
開口部幅 3,200mm
非常脱出ドア 開き戸式(各号車連結部)
支障物検知センサ 3Dセンサ

阪急電鉄では、2018年度の十三駅3・4・5号線を皮切りに可動式ホーム柵(以下:ホームドア)の整備が順次行われています。そのうち十三駅に次いで整備された神戸三宮駅以降、2020年代前半までに整備された各駅では、十三駅のタイプよりも薄型・軽量化された新型ホームドア「軽量可動式ホーム柵」が採用されました。

2025年8月末時点で本タイプが整備された駅は以下の通りです。

  • 神戸本線
    • 西宮北口駅1~4号線(降車専用ホーム含む)
    • 春日野道駅
    • 神戸三宮駅
  • 宝塚本線
    • 蛍池駅
  • 京都本線
    • 桂駅2~5号線

当記事では、本タイプの基本仕様について紹介しています。

1 ホームドアの仕様

1.1 基本仕様

本タイプは十三駅と同じく京三製作所製ですが、従来品と同様のスペックを備えながら質量を約40%削減した「軽量可動式ホーム柵」という製品です。筐体厚みも十三駅と比較して100mm薄型化され、ホーム幅員の確保に貢献しています。開口幅は十三駅と同等の3,200mmで、車種ごとのドア位置の違いに対応するとともに、TASC(定位置停止装置)は未整備のため停止精度に余裕を持たせています。

扉部分を黒色、筐体を白色としたデザインは十三駅のタイプから継承されました。桂駅2~5号線(2024年12月稼働開始)までの設置駅では筐体部分に路線ごとのラインカラーが装飾されていましたが、以降の設置駅ではこれが省略されいます。

非常脱出ドアのある箇所のみ筐体・扉の下部が分厚い
左:車両ドア間の筐体に収納される扉
右:車両連結部の筐体に収納される扉
扉の長さに注目
ホーム側から見た車両ドア間の筐体
ホーム側から見た車両連結部の筐体
線路側から見た車両ドア間の筐体
線路側から見た車両連結部の筐体

扉の上縁がV字状に尖っているのは、開閉をガイドするV溝ローラのレールを兼ねているためだと思われます。神戸三宮駅以外はその部分がシルバーになっているため、外観上のアクセントにも感じられます。

戸袋スペースの関係か、各号線1・3番ドアは扉の長さが左右非対称です。また、車両連結部の筐体に開き戸式の非常脱出ドアが設けられており、当該部分に収納される扉は下部の厚みが大きく、その分だけ筐体下部も分厚くなっています。ただし、本タイプ最初の採用駅である神戸三宮駅のみ非常脱出ドアが設けられていません(詳しくは後述)。

各開口部の線路側には3D式支障物検知センサと非常開ボタンが設けられています。従来品なら内部に収められている配線ダクトなどが筐体線路側に露出しているのも本タイプの大きな特徴です。

1.2 設置時期による改良

(1)非常脱出ドアの設置

線路側には非常口のピクトグラムと開錠手順を掲示
参考:神戸三宮駅の車両連結部筐体
非常脱出ドアは設けられなかった

十三駅のホームドアは「戸袋スライド式非常脱出口」を備えたタイプでしたが、前述の通り、本タイプが最初に採用された神戸三宮駅では非常脱出ドアがありませんでした。これは、軽量型だとスライド式脱出口を設けることが技術的に不可能だったためだそうです。

しかし、近年多発した列車内での傷害事件を受けて脱出設備の必要性が再考されたのか、次に設置された春日野道駅からは車両連結部のスペースを活用して開き戸式の非常脱出ドアが設けられました。よって、阪急のホームドアで非常脱出ドアが無いのは現時点で神戸三宮駅のみとなっています。

神戸三宮駅の仕様については別記事をご覧ください。

(2)乗務員表示灯の内蔵

筐体に内蔵された車掌向け表示灯
参考:春日野道駅上りホームの車掌用モニタと表示灯
ホームが狭い関係でかなりギリギリの設置方法

運転士・車掌へホームドアの開閉状態などを伝達する乗務員表示灯は、ホーム上屋から吊り下げる形が基本的な設置方法でした。しかし、2024年度以降に設置された一部の駅・ホームでは、筐体に内蔵されている箇所も存在します。

2 ホームドアの開閉方式

阪急の基本的なホームドア開閉方式は以下の通りです。

  • 開扉:自動(種別判別・定位置停止検知・両数検知)
  • 閉扉:車掌手動操作

阪急のホームドア開閉方式は、地上側の各種センサにより列車の定位置停止と編成両数を検知して自動開扉する一方、閉扉は車掌による手動操作で行われます。それに加えて、既存の設備との連動によって列車種別や車種に応じた制御を可能としています。

システムの概要は別記事で紹介しています。

左:定位置停止検知センサ(スリットの中)
右:乗務員操作盤
両数判定センサ
桂駅では2基1組で1つの筐体に設置
神戸三宮駅では2つの筐体に分けて設置

各種センサや乗務員操作盤の仕様は十三駅のタイプと大きくは変わっていません。細かな違いとして、前述した乗務員表示灯や、2基1組の「両数判定センサ」の設置方法が駅・ホームによって多少異なります。

3 おわりに

春日野道駅ではホームドアとあわせてエレベーターなども整備

冒頭でも述べた通り、本タイプは十三駅のタイプよりも薄型のため、特にホームが狭いことで知られていた春日野道駅でもバリアフリー基準に適合した通路幅の確保に大きく貢献しています。そして、非常脱出ドアの設置などの改良を加えながら、約5年間に渡り阪急における標準タイプとして採用されていきました。

しかし、京三製作所は本タイプを含めた従来製品の特長を統合したリニューアル製品を2024年にリリース。阪急でも2025年度下期以降の整備駅からはこちらのリニューアル製品が標準仕様となる見込みです。

出典・参考文献

脚注

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