阪急電鉄のホームドア:神戸三宮駅での連結作業手順

阪急電鉄神戸本線の神戸三宮駅4番ホームでは、2021年2月20日に可動式ホーム柵(ホームドア)の稼働が開始されました。このホームでは平日朝ラッシュ時に増結を行う列車が存在するため、全国的にも珍しいホームドア設置駅での連結作業を見ることができます。

1 連結作業が行われる列車

平日朝に新開地駅を発車する上り特急列車のうち下記の3本が、神戸三宮駅にて梅田方に2両を増結し、終点の大阪梅田駅まで10両編成で運行します。全区間を10両で運行する列車は他にもありますが、途中駅での増結は阪急全線でもこの3本のみしか残っていません[1]2016年3月19日のダイヤ改正以降。

  • 新開地駅07:20発→神戸三宮駅07:27着/07:30発→大阪梅田駅08:02着
  • 新開地駅07:36発→神戸三宮駅07:43着/07:45発→大阪梅田駅08:19着
  • 新開地駅07:52発→神戸三宮駅07:59着/08:02発→大阪梅田駅08:34着

2 ホームドア稼動後の連結作業手順

ホームドア稼働開始後の連結作業は以下のような手順で行われていました。

(1)増結車の入線

まず西宮車庫から回送されてきた増結車が4番ホームの大阪梅田方に入線し、連結位置の数m手前にある「増2」の停止位置で待機します。この時、ホーム大阪梅田方の先端付近に設けられた「両数判定センサ」が車両を検知しているため、地上側のホームドアシステムも増結車の位置を認識できているのだと思われます。

(2)基本編成の入線

続いて新開地駅からの基本編成8両がホーム手前の第2場内信号外方で一旦停止した後、誘導信号機の誘導によりホームに入線し「増8」の停止位置に停止します。阪急のホームドアは列車の定位置停止・編成両数を検知し自動開扉するシステムで、この場合は前述の通りシステムが増結車の存在を認識しているためか、ホーム新開地方の「定位置停止検知センサ」の判定結果によりホームドアは基本編成8両分のみが自動開扉します。

(3)連結作業

※ホームドア稼働開始前に撮影
2-3号車連結部の筐体はホーム内側にセットバックされており、仕切りを開けることで線路側に入れる

基本編成の乗降扱いが開始されると、増結車は連結係の誘導により基本編成側に連結します。連結後、連結係はホームドア線路側に入って[2]既に開いている基本編成側の開口部(3号車3番ドア)から入る。連結の完了を確認すると、ホームドア筐体に設けられている増結車2両分の開ボタンを扱います。これで残り2両分のホームドアが開き、続いて車両ドアの開操作により乗車扱いが開始されます。

(4)発車

発車時の取り扱いは他の列車と同じで、車掌が先に車両ドアを、続いてホームドアをそれぞれ閉扉します。もちろんこの場合は10両分全てが一斉に閉まります。

3 おわりに

このように、ホームドア設置後も以前とほとんど変わらないスピードで連結作業が継続されています。前述の通り、阪急全線でも途中駅での増結作業を行うのはこの3本しか残っておらず、運用の見直しによる増結取りやめも十分考えられる状況だっただけに、わざわざ専用のシステムを整備して対応させていたのは意外でした。

出典・参考文献

  • 山口 英樹、有岡 謙介「十三駅への可動式ホーム柵導入について」『鉄道サイバネ・シンポジウム論文集』Vol.56、日本鉄道サイバネティクス協議会、2019年

脚注

References
1 2016年3月19日のダイヤ改正以降。
2 既に開いている基本編成側の開口部(3号車3番ドア)から入る。

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