京阪電気鉄道のホームドア:現行タイプ

タイプ 腰高式(一部二重引き戸タイプ)
メーカー 三菱重工交通・建設エンジニアリング
開閉方式 開扉 自動(定位置停止検知・両数検知・ドア数検知)
閉扉 自動(車両ドア開閉検知)
停止位置許容範囲 ±650mm(TASCなし)
開口部幅 3,000mm~4,540mm
非常脱出ドア なし
支障物検知センサ 3Dセンサ

京阪電気鉄道では、2022年1月30日に同社最多の乗降人員を誇る京橋駅の1番線(三条・出町柳方面ホーム)で同社初となる可動式ホーム柵(以下:ホームドア)が稼働開始されました[1]当初は2020年度中に同駅の一部箇所で試行整備される予定だったものの、計画変更により試行段階を踏まず2021年度に本整備された。。2023年度以降も枚方市駅・守口市駅などの利用客数の多い駅から優先して整備が進んでいます。

ホームドア導入を前に、1970年代に製造された5扉車の5000系はホームドアに対応できないことから、車両更新計画の前倒しで標準的な3ドア車に置き換えられました。それでもなお車種によってはドア位置が多少異なるため、二重引き戸式の大開口ホームドアが採用されています。

1 ホームドアの仕様

最も広い開口幅は4,540mm

ホームドアのタイプは腰高式、メーカーはこれまでも多くの事業者に大開口ホームドアを納入している三菱重工交通・建設エンジニアリングです。

一重引き戸と二重引き戸の組み合わせによって3,000mmから4,540mmまでの様々な開口幅を作り出し、車種によるドア位置の違いに対応しながら、TASC(定位置停止装置)は未整備なので手動ブレーキングでも余裕をもって停止できる許容範囲±750mmを確保しています。

片側のみ二重引き戸の開口部
プレミアムカー乗降口のステッカーは黒基調
両側とも一重引き戸の開口部もある
通常の乗降口のステッカーは青基調

基本構造はこれまでの同メーカー製大開口ホームドアとさほど変わりませんが、扉の透過部が下方にだけ小さく設けられている点が他では見ない仕様です。実際に乗車位置の先頭で並んでみると、車両とホームの隙間を確認するにはこのサイズの透過部でも十分に感じました。

各開口部の案内類ステッカーは京阪標準のサインシステムと統一されたデザインとなっています。扉のふちにはホームドアとしては珍しく引き込まれ注意のステッカーがあり[2]これも13000系などのドア内側に貼付されているステッカーと同じデザイン。、京橋駅1・2番線では扉側に貼付されていましたが、以降の設置駅では戸袋側に貼付となりました。

手前:二重引き戸を収納する筐体
奥:一重引き戸を収納する筐体
厚みがかなり違うのが分かる
ホーム側から見た車両ドア間の筐体
ホーム側から見た車両連結部の筐体(非常脱出ドアあり)
線路側から見た車両ドア間の筐体
線路側から見た車両連結部の筐体(非常脱出ドアなし)

2025年12月末時点の設置駅はいずれも4両・6両・7両・8両に対応した構造で、各編成両数の前部・後部となる車両連結部には乗務員出入り口を兼ねた非常脱出ドアが設けられている一方、それ以外の車両連結部には設けられそうなスペースがあっても別部材で塞がれていました。なお、ホームによって各編成両数ごとの停止位置が違う関係で、扉・筐体の配置もホームによって異なります。

各開口の線路側には3D式支障物検知センサ・非常開ボタンが設けられています。

乗務員操作盤
青色の帯は乗務員向け停止位置マーカー
4両編成単独の停止位置には操作盤が無い
※守口市駅2番線設置工事中に撮影

原則として各編成両数の前部・後部に乗務員操作盤が設けられていますが、後述の通り通常は地上完結型システムによって自動開閉されるため操作盤は使用されません。

2025年12月末時点の設置駅では4両編成の定期発着がないためか、4両編成単独の停止位置は操作盤が省略されています[3]臨時列車としての発着実績はあり。また、2025年3月22日ダイヤ変更以降は広い範囲で4両編成の定期運行が復活する。。一方、6両編成の運用は2024年6月ごろに廃止されましたが、それ以降に設置された守口市駅にも6両用の操作盤が設けられていました。

2 ホームドアの開閉方式

ホームドア開閉方式は以下の通りです。

  • 開扉:自動(定位置停止検知・両数検知・ドア数判別)
  • 閉扉:自動(車両ドア開閉検知)

京阪のホームドア開閉方式は、地上側の各種センサにより列車の定位置停止や編成両数を検知してホームドアを自動開閉する「地上完結型連携システム」が導入されています。この方式は既に多くの鉄道事業者で採用実績がありますが、京阪のシステムは車両ドア数の判別もこのシステムが行っている点が特徴です。

詳しくは別記事をご覧ください。

3 おわりに

当記事で紹介したのはいずれも2024年12月末時点で整備が完了している有効長8両分のホームに設置されたタイプです。京阪は今後も計画的にホームドア整備を進めるとしており、ホーム有効長など設置駅ごとの条件によってはホームドアの仕様にも変化が生じるかもしれません。

出典・参考文献

脚注

References
1 当初は2020年度中に同駅の一部箇所で試行整備される予定だったものの、計画変更により試行段階を踏まず2021年度に本整備された。
2 これも13000系などのドア内側に貼付されているステッカーと同じデザイン。
3 臨時列車としての発着実績はあり。また、2025年3月22日ダイヤ変更以降は広い範囲で4両編成の定期運行が復活する。

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