JR西日本のホームドア:3ドア車用タイプ(大阪環状線など)
JR西日本の大阪環状線では、環状運転に用いられる4ドア車と和歌山・奈良方面に直通する3ドア車の快速列車が長年にわたって混在していました。これを解消するため、2016年から2019年にかけて3ドア車の新型車両323系によって4ドア車が置き換えられ、全ての一般列車が3ドア車に統一されました。
こうして今までは難しかった可動式ホーム柵(以下:ホームドア)の整備が2019年度から始まりした。2021年度末時点で鶴橋駅・京橋駅・大阪駅・新今宮駅1・4番のりばで設置が完了しています。
なお、このタイプは環状線より前の2018年度にJR京都線高槻駅2・5番のりばで初めて設置されました。当記事ではこちらも併せて紹介します。
目次
1 ホームドアの仕様
タイプ | 腰高式 | |
---|---|---|
メーカー | JR西日本テクシア・ナブテスコ | |
開閉方式 | 開扉 | 自動(定位置停止検知・両数検知) |
閉扉 | 車掌手動操作 | |
停止位置許容範囲 | 【推定】±1,000mm(TASCなし) | |
開口部幅 | 【推定】3,600mm | |
非常脱出ドア | なし | |
支障物検知センサ | 3Dセンサ |

前述の通り、大阪環状線の一般列車は3ドア車に統一されたため、3ドア車に適合した一般的な腰高式ホームドアが採用されました。高槻駅についても、特急列車が停車する1・6番のりばには「昇降式ホーム柵」が採用されたのに対して、2・5番のりばは3ドア車の快速系統のみが発着するため3ドア車専用のタイプが採用されました。
外観・構造は大阪駅6・7番のりばなどの4ドア車用ホームドアに似ていますが、約3.6mもある広い開口幅が目を引きます。強度上の都合なのか、扉の透過ガラスは2枚に分かれていて間にピラーが入っているのも特徴です。
4ドア車用ホームドアの中には停止許容範囲を広げるために二重引き戸式大開口タイプを採用した駅もありますが、3ドア車はドア同士の間隔が広く戸袋スペースも確保できるため、1枚扉のままで同等の開口幅・許容範囲を実現しています。

居残り検知センサは当初から3Dセンサのみで光電センサは省略されています。
車両ドアピッチとの関係上、4ドア車用タイプとは逆で車両連結部のほうが線路方向サイズが小さくなっており、車両ドア間のほうが左右の本体部分の間に別部材を取り付ける構造です。
2 ホームドアの開閉方式
ホームドアの開閉方式は以下の通りです。
- 開扉:自動(定位置停止検知・編成検知)
- 閉扉:車掌手動操作
JR西日本在来線のホームドア・昇降式ホーム柵は、地上側のセンサが列車の定位置停止・編成両数を検知するシステムによって自動開扉し、閉扉は車掌による手動操作で行われています。
現在の環状線一般列車は8両編成に統一されましたが、異常時などを考慮して6両編成の発着にも対応しています。また、車掌用開閉操作盤が以前の標準だった光電センサ式から低コスト化した押しボタン式に変更されたのは高槻駅2・5番のりばが最初でした。
システムの詳細は別記事で紹介しています。
3 おわりに
現時点で今後のホームドア整備計画に3ドア車用タイプの設置駅は含まれていませんが、大阪環状線内でも西九条駅は一部の特急「くろしお」が停車するため、やはり昇降式ホーム柵になるのでしょうか。一方で、大和路線やおおさか東線でも老朽化した4ドア車を3ドア車で置き換える動きが進んでおり、3ドア車統一後には同タイプのホームドアが設置されるかもしれません。
出典・参考文献
- 京橋駅3番のりばの可動式ホーム柵、三ノ宮駅3番のりばの昇降式ホーム柵を使用開始:JR西日本
- ~駅のホームの安全性向上にむけて~「ホーム安全スクリーン」の開発、実用化に向けた検証を進めています:JR西日本