都営地下鉄 浅草線のホームドア:現行タイプ
タイプ | 腰高式 | |
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メーカー | 日本信号 | |
開閉方式 | 自動(QRコード式連動) | |
停止位置許容範囲 | 不明(TASCなし) | |
開口部幅 | 【推定】3,200mm | |
非常脱出ドア | 開き戸式(ホーム両端部) | |
支障物検知センサ | 3Dセンサ・光電センサ |
都営地下鉄浅草線では、2020年開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックに向けて、2019年度に新橋駅・大門駅・三田駅・泉岳寺駅の4駅へホームドアが先行整備されました[1]最初に稼働開始されたのは2019年10月5日の新橋駅。。その他の各駅では2021年度から整備が始まり、2023年度までに交通局が管理するすべての駅で整備が完了しています[2]京成電鉄が管轄する押上駅も2023年度に整備済み。ただしホームドアのタイプは異なる。。
浅草線は複数の鉄道事業者と相互直通運転を行っており、編成両数やドア数が異なる様々な車両が乗り入れることがあるため、車両の改修を必要とせず簡単・低コストにホームドアを制御することができるQRコードを用いたホームドア制御システムが採用されています。
目次
1 ホームドアの仕様
1.1 共通仕様
ホームドアのタイプは一般的な腰高式で、メーカーは日本信号です。TASC(定位置停止装置)等の運転支援装置が導入されておらず停止許容範囲を広く確保するため、および車種による多少のドア位置の違いに対応するため、開口幅は推定3,200mmと広めに確保されています。
車両ドア間の筐体は左右のドアが互い違いに収められる戸袋一体型、車両連結部の筐体は戸袋分離型です。2018年より設置が開始された都営新宿線のホームドア[3]同じく日本信号製。と同じく、車両連結部およびホーム両端部の筐体には非常停止ボタンが内蔵されており、従来の非常停止ボタンは使用停止となりました。
各開口部の支障物検知センサは3Dセンサと数点の光電センサが併設されているように見えます。
筐体上部には「電車がきます」の表示器と列車の進行方向へ順番に点灯するLEDランプが内蔵されています。こちらも新宿線ホームドアと同様の設備で、使えるスペースの有効活用でもある一方、背が低い子どもや車いすの利用者からは見えないため無意味だという意見も聞かれます。
非常脱出ドア(乗務員出入り口を兼ねる)は8両編成の前部・後部の2か所に加えて、ホームの最も端部にも設けられています。なお、6両編成の前部または後部となる箇所には設けられていません。
乗務員用の停止位置マーカーは乗務員扉の位置の違いを考慮してか「KN(京成車・北総車)」と「TH(都営車・京急車)」に分けられています。マーカーの下には列車が定位置に停止すると青色に点灯する「停止位置表示灯」や乗務員操作盤などが設けられていますが、通常はQRコード式制御システムによって自動開閉します。
1.2 泉岳寺駅1番線の仕様
筐体の帯は浅草線のラインカラーであるローズ色ですが、京急線との分岐駅である泉岳寺駅1番線(京急線品川方面)のみ水色となっています。これは元々案内サイン類を水色基調として区別されているのに合わせた形です。
また、浅草線の定期列車は8両編成3ドアの車両で統一されているものの、泉岳寺駅には京急線内折り返し列車の京急2100形(2ドア車)や6両編成も発着するため、1番線ホームドアの各開口部にはそれらの案内も掲示されています。
2 ホームドアの開閉方式
浅草線は4社(京浜急行電鉄・京成電鉄・北総鉄道・芝山鉄道)と相互直通運転を行っており、臨時列車などで編成両数やドア数が異なる車両も乗り入れることがあるため、それらを判別してホームドアを制御しなければならないことも重要な課題でした。
簡単・低コストにこの課題を解決する方法として都交通局がデンソーウェーブと共同で開発したのがQRコードを用いたホームドア制御システムです。システムの詳細は別記事で紹介しています。
3 おわりに
冒頭で述べた通り、2023年度までに交通局が管理する全駅でホームドアの整備が完了しました。一方、京成押上線との境界駅である押上駅も駅を管轄する京成電鉄によって2023年度に整備されましたが、本タイプとは異なるメーカーのホームドアが整備されています。
出典・参考文献
- 都営浅草線新橋駅のホームドア運用開始について|東京都交通局
- 都営浅草線ホームドア整備について|東京都交通局
- 地下鉄初!デンソーウェーブと東京都交通局が開発した 新型QRコードを用いたホームドア開閉制御システムが運用開始|お知らせ|DENSOWAVE
- 鉄道用車両扉状態検出システム 新型QRコード®を利用したホームドア開閉システム|デンソーウェーブ
- 岡本 誠司、久保 実、小林 稔、岡本 知也「ホームドア開閉制御技術の考案 ーQRコードを用いた車両ドアとの開閉連動ー」『Cybernetics : quarterly report』Vol.22-No.4、日本鉄道技術協会、2017年、p10-15