神戸市営地下鉄 西神・山手線のホームドア:本格導入タイプ

タイプ 腰高式
メーカー 三菱重工交通・建設エンジニアリング
開閉方式 開扉 自動(在線検知・定位置停止検知)
閉扉 自動(車両ドア開閉検知)
停止位置許容範囲 ±750mm(一部時間帯はATO)
開口部幅 2,800mm
非常脱出ドア なし
支障物検知センサ 3Dセンサ

神戸市交通局の西神・山手線および北神線では、2023年度までに全駅にホームドアが整備される予定です。2017年度に先行設置された三宮駅以外の各駅についても、2021年9月4日に稼働開始された新長田駅1番線を皮切りに本格的な整備が始まりました。

これら本格導入駅のホームドアは三宮駅と異なるメーカーの製品で、開閉システムも三宮駅のQRコード式制御システムではなく2Dセンサ式の地上完結型システムが採用されています。

1 ホームドアの仕様

ホームドアのタイプは一般的な腰高式、メーカーは三菱重工交通・建設エンジニアリングで、三宮駅の日本信号製のものとは外観が大きく異なっています。開口幅は三宮駅と同じく2,800mmです。

今回採用されたのは、初期費用・維持費用の低減や将来更新時の簡易化をコンセプトとした「新型可動式ホーム柵」とのことです。従来型から見直された特長として、本体構造の簡素化で重量を約35%低減、それによるホーム補強工事の低減、配線の約40%低減による電気配線工事の簡素化、メンテナンス性の向上などが挙げられています。

車両連結部以外は戸袋が互い違い
ホーム側から見た筐体
線路側から見た筐体

もっとも特徴的なのは凸凹とした筐体上面の形状です。線路側から見ると、駆動装置などが内蔵された背の高い部分に対して、背の低い部分はかなり簡素な造りになっています。それでも背の高さが揃っていない理由までは分かりませんでした。戸袋は左右の扉を互い違いに収める構造です。

なお、三宮駅では各号車1カ所に非常脱出口が設けられていましたが、本格導入タイプでは省略され、ホーム両端の乗務員用出入口のみとなりました。

線路側から見た扉
3-4号車連結部の筐体
駅係員用のモニタ画面

扉の線路側下部にはガイドレールと思われる部分が露出している点が特徴です。各開口部には支障物を検知する3Dセンサと非常停止ボタンが設けられています。ホーム中央の3-4号車連結部の筐体には駅係員用のモニタ画面が内蔵されています。

乗務員用操作盤

乗務員用操作盤は停止位置が多少ずれても操作しやすいように「開」「閉」ボタンが4つ設けられています。なお次項の通り、通常は地上完結型連動システムによって自動開閉されています。

2 ホームドアの開閉方式

ホームドアの開閉方式は以下の通りです。

  • 開扉:自動(在線検知・定位置停止検知)
  • 閉扉:自動(車両ドア開閉検知)

三宮駅では2020年3月にQRコードを用いたホームドア制御システムが導入されましたが、ホームドアが車両ドアより遅れて開くことから乗降時間の増大に繋がっていたそうです。そのため本格導入駅では、ホームドアと同じメーカーが開発し、より応答性能に優れている「地上完結型連携システム」が採用されています。また、三宮駅も2022年3月に同様の方式に改修されました。

システムの概要は別記事で紹介しています。

3 おわりに

2022年度末の時点で整備率は8割を超え、計画通り2023年度中の全駅設置が完了する見込みです。現時点でこの新型ホームドアが他の鉄道事業者で採用された事例はありませんが、もし採用された際には筐体の凸凹形状も継承されるのか気になります。

出典・参考文献

脚注

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