神戸市営地下鉄 西神・山手線のホームドア:三宮駅
神戸市営地下鉄で乗降客数が最も多い西神・山手線の三宮駅では、2018年3月3日に神戸市交通局で初めてとなる可動式ホーム柵(以下:ホームドア)の稼働が開始されました。三宮に乗り入れる鉄道事業者としては、開業当初より設置されていたポートライナーに次いで2番目となるホームドア導入です。
当初の開閉方式は車掌による手動操作でしたが、2020年3月より開閉を自動化するためQRコードを用いたホームドア制御システムが導入されました。
目次
1 ホームドアの概要
タイプ | 腰高式 | |
---|---|---|
メーカー | 日本信号 | |
開閉方式 | 自動(QRコード式連動) | |
停止位置 | ±750mm(一部時間帯はATO) | |
開口部幅 | 2,800mm | |
寸法 | 筐体 | 【推定】高さ1.3mm×厚さ0.2m |
扉 | 【推定】高さ1.2mm | |
非常脱出口 | 開き戸式(各号車1-2番ドア間) | |
安全装置 | 居残り検知 | 3Dセンサ |

ホームドアのタイプは一般的な腰高式で、メーカーは日本信号です。筐体は左右の扉を互い違いに収める構造で、開口幅は2,800mmあります。外観・構造は東急電鉄の田園都市線・大井町線に設置されているホームドアと酷似しています。
各号車1-2番ドア間の筐体には開き戸式の非常脱出口が設けられており、その部分に収納される扉のみ補強用と思われる部材があるため断面形状が異なっています。

各開口の支障物センサには3Dセンサが使用されており、その上方には非常開ボタンが設けられています。

西神・山手線にはATO(自動列車運転装置)も導入されていますが、時間帯によっては手動運転が行われているため、停止位置許容範囲は±750mm程度に余裕を持たせています。
2 ホームドアの開閉方式
2.1 当初の取り扱い


設置当初のホームドア開閉は、車掌が直接スイッチを操作する方式でした。2018年度から導入が開始された新型車両6000形は車両ドアとホームドアを連携して開閉するための機能を備えていますが、地上側の装置がまだ整備されていないため、当面は既存車両と同じく非連携での運用となりました。
最後部の車掌用操作盤は、停止位置が多少前後しても操作しやすいバー状の操作スイッチとなっています。ホームドアの状態を示す表示灯には、開扉中は赤色で「✕」、閉扉すると緑色で「◎」が表示され、列車がホームを離れると消灯します。
2.2 QRコード式制御システムの導入
前述の通り、新型車両6000形は将来的なホームドア開閉連携化を見込んだ機能を備えています。しかし既存車両の置き換えが完了する2022年度までには他駅でもホームドア整備が始まるため、車掌の業務負担が大きい手動操作による開閉は停車時間の増加にも繋がる可能性がありました。
そこで、新型車両への統一を待たずして開閉を自動化するために、2020年3月14日よりQRコードを用いたホームドア制御システムが導入され、手動で行われていた開閉が全自動化されました。このシステムが導入されるのは都営地下鉄浅草線・京浜急行電鉄に続き全国で3例目、関西の鉄道事業者では初めてのことです。
システムの概要と導入後の開閉方式については別記事で紹介しています。
このシステムは東京都交通局とデンソーウェーブが共同開発したもので、車両側の改修はQRラベルを貼る作業だけで済むため低コストで導入することができます。つまり、このタイミングでQRコード式システムを導入したのは、新型車両への統一と地上側の装置整備が完了するまでのつなぎだと思われていました。
3 おわりに
しかし、2021年度よりホームドア整備が始まった三宮駅以外の各駅ではQRコード式ではない別の地上完結型システムが採用されていることが判明しました。さらに、三宮駅のシステムも他の駅に合わせて改修することも正式に発表されているため、QRコード式システムの運用は短命で終わってしまうのかもしれません。
出典・参考文献
- 神戸新聞NEXT|総合|ホームドア全駅設置へ 神戸市営地下鉄西神・山手線(リンク切れ)
- 神戸市:市営地下鉄西神・山手線、北神線ホームドア設置工事のお知らせ
- 安達充洋「新型車両6000形車両の概要」『Subway = 日本地下鉄協会報』2019.5、日本地下鉄協会、p52-57