Osaka Metro 御堂筋線のホームドア:先行導入タイプ(天王寺駅・心斎橋駅)

タイプ 腰高式
メーカー 京三製作所
開閉方式 開扉 自動(定位置停止検知)
閉扉 トランスポンダ式連携
停止位置許容範囲 ±650mm(TASCあり)
開口部幅 2,600mm
非常脱出ドア なし
支障物検知センサ 光電センサ(一部エリアセンサ)

Osaka Metro(大阪市高速電気軌道)御堂筋線の天王寺駅と心斎橋駅では、大阪市交通局時代の2014年度に同線初の可動式ホーム柵(以下:ホームドア)が設置されました。各駅の稼働開始日は以下の通りです。

  • 天王寺駅2番線:2015年2月1日
  • 天王寺駅3番線:2015年2月8日
  • 天王寺駅1番線:2015年2月14日
  • 心斎橋駅:2015年3月1日

この2駅が先行設置駅に選ばれたのは同線の中でも特に旅客の転落事故が多かったためでした[1]2006年から2014年の間に発生した転落事故件数の上位を占めていた。。なお、同線の本格的なホームドア整備が始まるのは約6年後のことになります。

1 ホームドアの仕様

ホームドアのタイプは一般的な腰高式、メーカーは同時期に整備された千日前線と同じく京三製作所です。

外観も千日前線ホームドアと類似していますが、ATO(自動列車運転装置)が整備された千日前線は開口幅が2,300mmなのに対して、当時の御堂筋線はATOやTASC(定位置停止装置)等が未整備だったため、開口幅を2,600mmに広げることで停止許容範囲±650mmが確保されました

筐体に貼られた各表記類は千日前線などとほぼ同じフォーマットでしたが、現在は2020年代以降に設置されたOsaka Metroのホームドアと同じサインシステムに更新されています。

サインシステム更新前の外観
一部の個別操作盤には開扉中点灯するランプがある
※サインシステム更新前に撮影
ホーム側から見た車両ドア間の筐体
ホーム側から見た車両連結部の筐体
線路側から見た車両ドア間の筐体
線路側から見た車両連結部の筐体

開口幅が広いため、扉を互い違いに収納することで戸袋スペースを確保しています。なお、非常脱出ドアは設けられていません。

各開口部の線路側には光電式の支障物検知センサ3点と非常開ボタンが設けられています。ただし、乗務員出入りスペース確保のため筐体がセットバック(=車両とホームドアの間が広い)されている最前後・最後部のみ支障物検知センサを2Dセンサとして安全背を高めています。

最前部・最後部の2Dセンサ(エリアセンサ)
※サインシステム更新前に撮影
車両とホーム間の櫛状ゴム

また、列車とホームの隙間を埋める部材がホームドアと同時に整備され、隙間・段差は限りなく縮小されました。この部材は線路の建築限界を超えて設置されるため、万が一車両が接触しても大丈夫なように櫛状ゴムが使用されています。

2 ホームドアの開閉方式

2.1 現在の開閉方式

現在の御堂筋線のホームドア開閉方式は以下の通りです。

  • 開扉:自動(定位置停止検知)
  • 閉扉:トランスポンダ式連携

列車入線時は列車の定位置停止を検知することで自動開扉し、閉扉はトランスポンダを用いた情報伝送により車両ドア操作と同期します。トランスポンダ式連携を閉扉の時だけに使用するのが他路線ではあまり見られない珍しいポイントです。

2.2 開閉方式の変遷

先行導入駅でも新設された定位置停止検知センサ(中央)
右は運転士向け表示灯

先行導入駅における当初のホームドア開閉方式は開閉ともに車掌による手動操作でした。しかし、ホームドア全駅設置のためには開閉操作に要するタイムロスを削減しなければ運行ダイヤの維持が困難だったことから、本格導入の開始と同時期に「定位置停止センサ」を新設し、ホームドア開扉を自動化することでタイムロスを削減しました。

さらに2022年8月には、御堂筋線全駅への「TASC(定位置停止装置)」導入に伴い搭載された情報伝送用のトランスポンダ装置を活用し、閉扉が車両ドアと連携化されたことで開閉ともに全自動化を実現しました。

開閉方式の変遷については別記事にまとめています。

3 おわりに

先行2駅以外でのホームドア本格導入は2020年度から始まり、2022年3月のなんば駅を以て全駅整備が完了しました。これら本格導入タイプは非常脱出ドアの設置など一部に改良が加えられています。

出典・参考文献

脚注

References
1 2006年から2014年の間に発生した転落事故件数の上位を占めていた。

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