Osaka Metro 御堂筋線のホームドア:本格導入タイプ

タイプ | 腰高式 | |
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メーカー | 不明 | |
開閉方式 | 開扉 | 自動(定位置停止検知) |
閉扉 | トランスポンダ式連携 | |
停止位置許容範囲 | ±650mm(TASCあり) | |
開口部幅 | 2,600mm | |
非常脱出ドア | 開き戸式(各号車連結部) | |
支障物検知センサ | 光電センサ(一部3Dセンサ) |
Osaka Metro(大阪市高速電気軌道)御堂筋線では、大阪市交通局時代にホームドアが先行導入された天王寺駅と心斎橋駅以外の18駅において、2020年度からホームドア本格導入を開始しました。そして2022年3月のなんば駅を以て御堂筋線全駅への整備が完了しています。
これら本格導入駅で採用されたホームドアはメーカーが変わっているほか、非常脱出ドアの設置などの改良が加えられました。
目次
1 ホームドアの仕様

先行導入タイプのメーカーは京三製作所だったのに対して、本格導入タイプのメーカーは日本信号と推測されます。開口幅は先行導入タイプと同じく2,600mmです。
先行導入タイプと最も大きな違いは、各号車の車両連結部に開き戸式の非常脱出ドアが設けられた点です。サインシステムも変化しており、各表記類のフォーマットや開口部の縁に入れられた縦方向のラインカラーなど、より洗練されたデザインとなりました。
これらの本体構造・デザインは同時期に整備が始まった四つ橋線のホームドアと共通しており、御堂筋線の先行導入タイプについてもサインシステムはこれと同じ仕様に更新されています。


各開口の線路側に設けられている支障物検知センサは先行導入タイプと同じく光電式を基本としていますが、先行導入タイプは3点だったのに対して本タイプは2点に削減されました。
一方、乗務員出入りスペース確保のため筐体がホーム内側にセットバックされている最前部・最後部については、先行導入タイプは2Dセンサだったのに対して本タイプは3Dセンサに進化し、隣の開口部も光電センサを3点に増やして安全性を高めています。

左:光電センサ3点
右:3Dセンサ

光電センサ3点または3Dセンサが採用されている
特殊な例として、中津駅2番線のなかもず方(約3両分)にも光電センサ3点または3Dセンサが採用されています。これはこの付近が急カーブに面しており、カントで車体が傾く関係かセットバック量が大きく取られてるためです。

車掌用開閉操作盤は先行導入タイプと同じく光電センサの光路に手をかざすと開閉操作が行えるタイプです。なお、現在は後述のように開閉が全自動化されたため通常使用することはありません。
2 ホームドアの開閉方式
2.1 現在の開閉方式
現在の御堂筋線のホームドア開閉方式は以下の通りです。
- 開扉:自動(定位置停止検知)
- 閉扉:トランスポンダ式連携
列車入線時は列車の定位置停止を検知することで自動開扉し、閉扉はトランスポンダを用いた情報伝送により車両ドア操作と同期します。トランスポンダ式連携を閉扉の時だけに使用するのが他路線ではあまり見られない珍しいポイントです。
2.2 開閉方式の変遷


先行導入駅における当初のホームドア開閉方式は開閉ともに車掌による手動操作でした。しかし、ホームドア全駅設置のためには開閉操作に要するタイムロスを削減しなければ運行ダイヤの維持が困難だったことから、本格導入駅では「定位置停止センサ」を新設し、ホームドア開扉を自動化することでタイムロスを削減しました。
さらに2022年8月には、御堂筋線全駅への「TASC(定位置停止装置)」導入に伴い搭載された情報伝送用のトランスポンダ装置を活用し、閉扉が車両ドアと連携化されたことで開閉ともに全自動化を実現しました。
開閉方式の変遷については別記事にまとめています。
3 おわりに
御堂筋線はOsaka Metroで5路線目[1]南港ポートタウン線(ニュートラム)を含む。となるホームドア全駅整備を達成し、さらに直通する北大阪急行線も含めた箕面萱野駅~なかもず駅の全区間がホームドア設置済みとなりました。
Osaka Metroは2025年度までのホームドア全駅設置を計画しています。四つ橋線・谷町線のホームドアは本タイプとほぼ変わらない仕様ですが、阪急電車も乗り入れる堺筋線には大きくタイプの異なるホームドアが採用されました。
出典・参考文献
- 可動式ホーム柵の設置状況|Osaka Metro
- 喜多 玲匡「御堂筋線への可動式ホーム柵導入」『鉄道と電気技術』Vol.32-No.8、日本鉄道電気技術協会、p19-23
脚注
↑1 | 南港ポートタウン線(ニュートラム)を含む。 |
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