北大阪急行のホームドア

北大阪急行電鉄の千里中央駅では、2017年9月に関西の私鉄としては初の可動式ホーム柵(以下:ホームドア)が設置されました。同年度中には大阪市交通局(現:Osaka Metro)が管轄する江坂駅を除いた線内全駅で整備が完了しています。各駅の稼働開始日は以下の通りです。

  • 千里中央駅:2017年9月9日
  • 桃山台駅:2018年3月11日
  • 緑地公園駅 :2018年2月24日

1 ホームドアの概要

タイプ 腰高式
メーカー 京三製作所
開閉方式 開扉 自動(定位置停止検知)
閉扉 自動(戸閉表示灯検知)
停止位置 【推定】±650mm(TASCなし)
開口部幅 2,600mm
寸法 筐体 【推定】高さ1.3m×厚さ0.3m
【推定】高さ1.2m
非常脱出口 戸袋スライド式(各号車2-3番ドア間・連結部)
安全装置 居残り検知 3Dセンサ

ホームドアのタイプは一般的な腰高式で、フォルムが特徴的な京三製作所の「戸袋スライド式非常脱出口」を備えた製品が採用されています。開口幅は2,600mm、停止位置許容範囲は±650mmと、基本的な仕様は相互直通運転を行うOsaka Metro御堂筋線のホームドアと共通です。

手前側がスライド機能の無い筐体、奥側がスライド機能付きの筐体。
車両連結部の筐体
車両ドア間の筐体

各号車の連結部および2-3番ドア間の筐体が非常脱出口付きで、本体カバーを横方向にスライドさせると通路を構成することができます。ただし、各ホーム2箇所に設けられた駅係員操作盤内蔵の連結部筐体のみ非常脱出口にはなりません。

車両連結部の筐体には非常停止ボタンが内蔵
操作盤類は改札口から近い箇所に内蔵

2 ホームドアの開閉方式

2.1 開閉方式の概要

江坂駅を除く各駅のホームドア開閉方式は以下の通りです。

  • 開扉:自動(定位置停止検知)
  • 閉扉:自動(戸閉表示灯検知)

同線のホームドアは、車両側面の戸閉表示灯が消灯したか否かをカメラで検知するという珍しい方法で車両ドアと連動した自動閉扉を行っています。このシステムは2016年3月から約1年間に渡って東京メトロ銀座線上野駅1番線のホームドアで運用されていましたが[1]銀座線上野駅では可動ステップの確実な制御のために導入され、ホームドア開閉自体は係員による手動操作だった。、現在は北大阪急行線が全国で唯一の運用事例だと思われます。

2.2 各種機器の概要

(1)定位置停止検知センサ

定位置停止検知センサ
非営業列車用の停止位置と思われる十字マークの標識

停止位置の前方に設置された測域センサ(2D-LiDER)が車両前面を測定し、列車の定位置停止を検知することでホームドアを自動開扉します。通常の停止位置目標(無地の標識)より少し手前にある十字マークの標識は回送列車など非営業列車用の停目で、停止位置をずらすことでホームドア自動開扉を防いでいるのだと思われます。

(2)戸閉表示灯検知カメラ

千里中央駅(地下駅)のカメラ
桃山台駅・緑地公園駅(地上駅)のカメラ
2019年8月8日撮影
現在は手前側のカメラが撤去され、奥側の1基のみで検知している。

1ホームにつき3か所の車側灯をカメラで撮影し、制御装置はその画像から点灯状態を判定して閉扉指令を出力します。自然光などの影響を考慮したのか、以前は1か所の車側灯を異なる角度から2基のカメラで撮影している場所もありましたが、現在は3駅とも車側灯1か所につきカメラ1基となっていました。

(3)ホームドア状態表示灯

乗務員にホームドア開閉状態などを示す表示灯の表示内容は上図の通りで、閉扉後列車が動き出すと①に戻り、定位置範囲を離れると消灯します。また、運転士向け・車掌向けとは別にホーム中ほどに駅係員用の表示灯も設けられており、そちらは表示内容が一部異なります。

2.3 各種機器の配置図

全3駅における定位置停止検知センサ・車側灯検知カメラの設置個所は上図の通りで、カメラの配置は駅構造や自然光の影響などを考慮したのかホームによってバラバラです。例えば、千里中央駅はホームから改札階までが吹き抜け構造のため、屋根が低い場所を選んで設置されているようでした。

2.4 江坂駅の取り扱い

2020年11月、北大阪急行とOsaka Metro御堂筋線の境界駅である江坂駅にも、駅を管轄するOsaka Metroによってホームドアが整備されました。同駅のホームドアは御堂筋線仕様で車側灯検知による自動閉扉に対応していないため、北大阪急行方面への出発時も車掌が手動操作でホームドアを閉扉しています。

3 おわりに

戸閉表示灯の消灯を検知するという仕組みである以上、車両ドアが完全に閉まってからホームドアが閉まりはじめるという形となるため、確実にタイムラグが発生してしまいます。なぜ北大阪急行はこの方式を採用するに至ったのか気になるところです。

北大阪急行線は2023年度に箕面方面への延伸を控えており、延伸区間にある2つの新駅もホームドアが整備される見込みです。御堂筋線ではTASCの使用開始や将来的なホームドアの開閉連携化といった動きがある中、北大阪急行線でも延伸時にホームドア関連の変化はあるのかも注目されます。

出典・参考文献

脚注

References
1 銀座線上野駅では可動ステップの確実な制御のために導入され、ホームドア開閉自体は係員による手動操作だった。

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