北大阪急行のホームドア:現行タイプ

タイプ 腰高式
メーカー 京三製作所
開閉方式 開扉 自動(定位置停止検知)
閉扉 自動(戸閉表示灯検知)
停止位置許容範囲 【推定】±650mm(TASCなし)
開口部幅 2,600mm
非常脱出ドア 戸袋スライド式(各号車2-3番ドア間・連結部)
支障物検知センサ 3Dセンサ

北大阪急行電鉄の千里中央駅では、2017年9月9日に同線初となる可動式ホーム柵(以下:ホームドア)の稼働が開始され、同年度中には当時の全管轄駅(千里中央駅・桃山台駅・緑地公園駅の3駅)で整備が完了しています。同社は関西の私鉄として初[1]当時は公営だったOsaka Metroを除く。のホームドア導入路線でもありました。

それから約6年後の2024年3月23日には千里中央駅~箕面萱野駅間が延伸開業し、新駅の箕面船場阪大前駅・箕面萱野駅にも2017年度設置駅と同タイプのホームドアが設置されています。

1 ホームドアの仕様

ホームドアのタイプは一般的な腰高式、メーカーは京三製作所で、東京メトロ銀座線の上野駅1番線などで採用実績のある「戸袋スライド式非常脱出口」を備えた製品が採用されています。特徴的な筐体のフォルム、黒い塗装に大きな透過ガラスを設けた扉など、直通運転を行うOsaka Metro(当時は大阪市営地下鉄)御堂筋線のホームドアとは全く異なる印象を受けます。

一方、基本的な寸法は御堂筋線ホームドアと変わらず、TASC(定位置停止装置)は未導入のため開口幅を2,600mm、停止許容範囲±650mmとしています。

特徴的な断面形状
扉は互い違いに収納される
左:スライド機能付き筐体
右:スライド機能の無い筐体
ホーム側から見た車両ドア間の筐体
ホーム側から見た車両連結部の筐体
線路側から見た車両ドア間の筐体(スライド機能付き)
線路側から見た車両連結部の筐体

各号車連結部および2-3番ドア間の筐体が非常脱出口付きで、本体カバーを横方向にスライドさせると通路を構成することができます。また、車両連結部の筐体には非常停止ボタンが内蔵されています。

各開口の線路側には、3D式の支障物検知センサと非常開ボタンが1か所ずつ設けられています。

一部の車両連結部筐体に駅係員操作盤などを内蔵

なお、改札口から近い車両連結部筐体(1ホームあたり2か所程度)には駅係員操作盤や各開口の開閉状態を示すインジケータが内蔵されており、この部分のみ非常脱出口が設けられていません。

車掌用操作盤

最後部には車掌用操作盤が設けられており、停止位置が多少ずれても操作しやすいようにボタンが複数あります。ただし、後述のように同線のホームドアは地上側のセンサやカメラによる列車検知で自動開閉する方式のため、通常は使用されません。

2 ホームドアの開閉方式

同線のホームドア開閉方式は以下の通りです。

  • 開扉:自動(定位置停止検知)
  • 閉扉:自動(戸閉表示灯検知)

同線のホームドアは、車両ドアの開閉状態を示す「車側灯」をカメラで検知するという珍しい方法により制御を行っている点が特徴です。2024年3月時点でこのシステムをホームドア制御に用いているのは同線が全国唯一の事例だと思われます。

システムの詳細は別記事にまとめています。

3 おわりに

冒頭でも述べた通り、同社は関西の私鉄として初のホームドア導入路線でもあり、戸袋スライド式非常脱出口や車側灯検知システムといった新しい要素を多く取り入れた点が特筆されます。ちなみに、親会社である阪急電鉄も翌2018年度に脱出口付きホームドアが導入されました(十三駅3・4・5号線に設置)。

なお、御堂筋線との境界である江坂駅は、駅を管轄するOsaka Metroによって2020年度にホームドアが整備されており、こちらはタイプ・開閉方式ともに御堂筋線内の仕様に準じています。

出典・参考文献

脚注

References
1 当時は公営だったOsaka Metroを除く。

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