東京臨海高速鉄道 りんかい線のホームドア

東京臨海高速鉄道りんかい線の国際展示場駅では、2018年9月30日に同線初のホームドアが稼働開始されました。同駅は東京ビックサイトの最寄り駅の一つで、コミックマーケットなどの大規模イベント開催時には多くの乗降客で混雑するため、ホーム発着時に徐行25km/h制限がかけられることもありましたが、ホームドア設置によってこの措置は行われなくなりました。

続いて2019年度には同線で最も乗降客数の多い大井町駅、2021年度には天王洲アイル駅にも整備されています。各駅の稼働開始日は以下の通りです。

  • 国際展示場駅:2018年9月30日
  • 大井町駅2番線:2020年2月16日
  • 大井町駅1番線:2020年2月24日
  • 天王洲アイル駅:2021年6月20日

1 ホームドアの概要

タイプ 腰高式(一部二重引き戸タイプ)
メーカー 三菱重工交通機器エンジニアリング
開閉方式 開扉 自動(在線検知・定位置停止検知)
閉扉 自動(ドア開閉検知)
停止位置 【推定】±750mm(TASCなし)
開口部幅 一般部 【推定】2,800mm
大開口部 4,130mm
寸法 筐体(一般部) 【推定】高さ1.3m×厚さ0.2m
【推定】高さ1.2m
非常脱出口 なし
安全装置 居残り検知 3Dセンサ(一部光電センサ)

ホームドアのタイプは腰高式で、メーカーは三菱重工交通機器エンジニアリング[1]現:三菱重工交通・建設エンジニアリングです。TASC(定位置停止装置)等の運転支援装置は未整備なことから、基本の開口幅を推定2,800mmとして停止位置許容範囲が広めに確保されています。

りんかい線の駅サイン類に準じて、下り(大崎方面)は緑色、上り(新木場方面)は青色のラインが筐体に施されています。また、最初に整備された国際展示場駅は扉部分が白一色でしたが、大井町駅からは扉部分も方面別ラインカラーに塗装され、駅空間の景観をさらに映えさせる良いアクセントになっています。

1号車1番ドアと10号車4番ドアの大開口部
大開口部と隣り合う開口部も二重引き戸
E233系と70-000形の先頭車ドア位置の違い

構造面での最大の特徴は、両先頭車の乗務員室直近にあたる開口部が幅4m超の大開口となっている点です。これは、りんかい線と直通運転を行うJR埼京線のE233系は先頭車のドアピッチが変則的で、自社所有の70-000形とはドア1つ分以上のずれが生じているためです。

ちなみに、国際展示場駅に設置された当時は相模鉄道横浜駅を抜いて在来線のホームドアで最大の開口幅となったのですが、わずか数ヶ月後には京成電鉄日暮里駅でさらに巨大な開口が登場することとなります。

1ホームあたり5か所には非常停止ボタンが内蔵
非常開スイッチは各開口の両側に設置

筐体は左右のドアが互い違いに収められる戸袋一体型です。各開口の居残り検知センサは3Dセンサですが、最後部側の大開口部には3Dセンサの代わりに2点の光電センサらしき穴が見えます。これは車掌を支障物として検知しないための対策だと思われます。

2 ホームドアの開閉方式

2.1 開閉方式の概要

りんかい線のホームドアの開閉方式は以下の通りです。

  • 開扉:自動(在線検知・定位置停止検知)
  • 閉扉:自動(ドア開閉検知)

りんかい線のホームドアは、地上側の設備のみで車両の動きに追従した自動開閉を行う「地上完結型連携システム」によって制御されています。このシステムは三菱重工交通機器エンジニアリングとJR東日本メカトロニクスが共同開発したもので、当初は「地上完結型簡易連携システム」と称されていました。2016~17年に京急電鉄三浦海岸駅で行われたマルチドア対応型ホームドア「どこでもドア®」実証実験時に使用されたシステムです。

ホーム頭上には車両の動きを検知する3種類のセンサが設置されており、列車が停止位置許容範囲内に停止するとホームドアを開扉し、車両ドアが閉まり始めるとホームドアも追従して閉扉します。車両側の改修を必要とせずに開閉連動を行えることが最大のメリットで、車掌の業務負荷増大も抑えられます。

このシステムは三浦海岸駅での実証実験の後、2018年2月に京成電鉄日暮里駅のホームドアにて車種・編成両数の判別を行う目的で実用化されましたが、当初ホームドアの開閉自体は車掌が手動で操作する方式でした。そのため、全自動で開閉制御を行う本来の連携システムとしての使用は国際展示場駅が第一号となりました。

2.2 各種機器の概要

(1)定位置停止検知センサ

測域センサ(2D-LiDAR)で車両の連結部を測定することで列車が停止位置許容範囲内に停止したことを検知します。1ホームにつき1箇所の車両連結部に設置されています。

(2)在線検知センサ

在線検知センサはホーム両端の1号車と10号車にあたる場所で車両の有無を検知します。りんかい線は通常10両編成しか運行されていないため、この2箇所で車両を検知すれば列車がホーム内に収まっていると判定しているのだと思われます。

(3)ドア開閉検知センサ

測域センサ(2D-LiDAR)が車両ドア上部に設置されており、車両ドアの開閉状態を検知します。設置場所はホームによって異なりますが1ホームにつき3箇所です。

(4)ホームドア表示灯

車掌用表示灯の列車入線時における表示推移
運転士用表示灯は停止位置前方のトンネル壁面に設置

ホームドアの開閉状態などを示す表示灯は運転士用と車掌用がそれぞれ設けられており、車掌用は筐体センサボックスに内蔵されています。列車発着時における表示の推移は以下の通りです。

  1. 進入側の在線検知センサが車両を検知すると下段に「A」が点灯
  2. 列車が定位置停止検知センサの検知範囲に進入すると上段に「□」が点灯
  3. 列車が定位置範囲内に進入すると上段に「■」が点灯
  4. ホームドアが自動開扉すると上段に「✕」が点灯
  5. ホームドアが全閉すると上段に「■」が点灯
  6. 列車が定位置範囲を離れると上段が「□」→消灯
  7. 在線検知センサが2基とも非検知になると下段の「A」が消灯

2.3 各種機器の配置図

国際展示場駅と大井町駅の各種センサ配置は上図の通りです。

国際展示場駅では定位置停止検知センサが進行方向1両目と2両目の連結部に設置され、ドア開閉検知センサも両先頭車に集中しているのに対し、大井町駅は9・10号車付近のホーム天井が低いため、2番線の定位置停止検知センサは9-8号車間となっています。

サイズが一回り小さい在線検知センサは天井が低くても設置できている

3 おわりに

「経営改革プラン(2021年度~2023年度)」によると、2021年度中に品川シーサイド駅、2022年度に東京テレポート駅でのホームドア整備が計画されており、東雲駅・新木場駅のホームドア整備方針は2023年度以降に策定される見込みです[2]大崎駅はJR東日本の管轄駅。

国際展示場駅のホームドア整備後、JRE233系7000番台には羽沢横浜国大駅で使用する無線式ホームドア連携システムが搭載されましたが、自社の70-000形は未改造のため、今後の整備予定駅も含めて当分の間は現行のシステムで運用されるものと思われます。

出典・参考文献

脚注

References
1 現:三菱重工交通・建設エンジニアリング
2 大崎駅はJR東日本の管轄駅。

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