JR西日本のホームドア:昇降式ホーム柵 神戸駅2・5番のりばの仕様
タイプ | 昇降ロープ式(支柱伸縮型) | |
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メーカー | JR西日本テクシア・日本信号 | |
開閉方式 | 開扉(上昇) | 自動(車種判別・定位置停止検知・両数検知) |
閉扉(下降) | 車掌手動操作 | |
停止位置許容範囲 | ±1000mm(TASCなし) | |
開口部幅 | 2番のりば最大開口 | 約12.7m |
5番のりば最大開口 | 約11.9m | |
ロープ素材 | カーボンストランドロッド | |
安全装置 |
近接検知 支柱引き込み防止 |
光電センサ |
ロープ挟み込み防止 | 圧力検知センサ | |
居残り検知 | 3Dセンサ・光電センサ |
JR西日本の神戸駅では、2020年度に新快速や特急列車などが発着する2・5番のりばでドア位置が異なる車種に対応可能な「昇降ロープ式ホーム柵」が設置されました。 各ホームの稼働開始日は以下の通りです。
- 5番のりば(姫路方面):2020年12月25日
- 2番のりば(大阪方面):2021年3月5日
JR西日本管内で昇降式ホーム柵の設置駅はこれで6駅目、兵庫県内では六甲道駅・三ノ宮駅・明石駅に続き4駅目です。 また、2020年9月に運行が始まった「WEST EXPRESS 銀河」が発着するホームに設置されるのは同駅が初めてで、さらにその車両のベースは国鉄時代製造の117系であるため、国鉄型車両と昇降式ホーム柵の組み合わせも初めて実現しました。
目次
1 ホームドアの仕様
基本構造はこれまでの設置駅と特に変わっていないものと思われます。最大開口幅は2番のりばが約12.7m、5番のりばが約11.9mです。
本タイプの基本仕様については以下の別記事をご覧ください。
2 車両ドアとの位置関係
2・5番のりばは新快速・快速の20m3ドア車に加えて、「スーパーはくと」などの特急列車、そして117系「WEST EXPRESS 銀河」が発着します。さらに原型の117系を用いた団体臨時列車の発着も想定し、これら全ての車種に対応した筐体配置となっています[1]原型の117系は2ドア車で、「銀河」は改造により1ドア化されている。[2]金光教の祭典に伴って京阪神地区~金光駅(岡山県)間で運行される通称「金光臨」などが神戸駅に停車する。。
その一方で、20m4ドア車の普通列車は通常3・4番のりばに発着するため、2・5番のりばのホーム柵は4ドア車に対応していません。2021年2月1日にはダイヤ乱れの影響で普通列車を誤って2番のりばに入れてしまい、乗降扱いができないため通過扱いとしたトラブルも起きています[3]当時は筐体設置済みで稼働開始前の状態。。
2番のりば(大阪・京都方面)
2番のりば(大阪・京都方面)の筐体配置は上図の通りです。1~5号車と12号車は車両連結部にメインポストが配置されているのに対して、6~11号車にかけては不規則な配置となっています。車種ごとの停止位置を見ると、HOT7000系が他の特急型車両より約1両分手前に、逆に117系は一般型車両より1両分奥に停車しています。
筐体配置の都合上、ホーム柵のユニット区分と列車の全長が揃わない場合があるため、一部の車種・編成両数の発着時は余分に開いてしまう箇所があります。
5番のりば(姫路方面)
5番のりば(姫路方面)も10~5号車とそれ以外でメインポストとサブポストの配置が入れ替わるようなパターンとなっています。余分に開いてしまう箇所があるのは2番のりばと同じですが、こちらはHOT7000系や117系が他の車種と同じエリアに停止しています。
3 ホームドアの開閉方式
同駅のホームドア開閉方式は以下の通りです。
- 開扉(上昇):自動(車種判別・定位置停止検知・編成検知)
- 閉扉(下降):車掌手動操作
JR西日本在来線のホームドア・昇降式ホーム柵は、車両側との通信を必要とせず、地上側の各種センサが列車の定位置停止・編成両数などを検知して自動開扉するシステムが採用されています。一方、閉扉は車掌による手動操作で行います。
システムの詳細は別記事で紹介しています。
ホーム前側からA、B、C…と記号が付けられている
在線検知センサの配置は上図の通りです。
これまでの設置駅と同じく、特急型車両の入線時はIDタグから車種情報を読み取ることで在線検知センサの検出アルゴリズムを変更します。ただし117系にはIDタグが設置されていないはずなので、一般型車両と同じ扱いで制御されているのだと思われます。
一般型車両(117系を含む)は操作盤で閉操作を行いますが、特急型車両では車掌が携帯するリモコンを使用して操作します。これまでは最後部乗務員扉から操作盤までが大きく離れている場合にリモコン操作が採用されていたのに対して、同駅の5番のりばは乗務員扉と操作盤がさほど離れていません。これは取り扱いを統一するためでしょうか?
4 おわりに
ちなみに、ホームドアと国鉄型車両の組み合わせ自体は初めてではなく、2015年3月にJR九州筑肥線の103系が福岡市地下鉄乗り入れ運用から撤退して以来およそ6年ぶりの復活でした。
3・4番のりばは2025年度中に同じく昇降式ホーム柵が整備予定となっていますが、平日朝ラッシュ時のみ使用される1番のりばへのホームドア設置計画は今のところ発表されていません。1番のりばはエレベーター・エスカレーターも未整備なので、今後の行方が気になります。
出典・参考文献
- 新たに5駅10のりばにホーム柵を設置します:JR西日本
- 神戸駅5番のりばの昇降式ホーム柵を使用開始します:JR西日本
- 高槻駅3番のりば、鶴橋駅2番のりばの可動式ホーム柵、神戸駅2番のりばの昇降式可動式ホーム柵を使用開始します。:JR西日本
- 鉄道駅バリアフリー料金制度によるホーム柵、ホーム安全スクリーン整備計画について:JR西日本