京急電鉄のホームドア:京急鶴見駅のタイプ

タイプ 腰高式
メーカー 京三製作所
開閉方式 自動(QRコード式連動)
停止位置許容範囲 不明(TASCなし)
開口部幅 【推定】3,200mm
非常脱出ドア 開き戸式(各号車連結部)
支障物検知センサ 3Dセンサ

京急電鉄の京急鶴見駅では、1番線(下りホーム)は2020年12月19日、2・3番線(上りホーム)は2021年3月20日にホームドアの稼働が開始されました。京急線内のホームドア設置駅はこれで7駅目、快特通過駅として初のホームドア設置で、京急では初めてとなる京三製作所製のホームドアです。

1 ホームドアの仕様

3番線のみパンチングメタルタイプ

京三製作所は鶴見に本社があり、2016年から同駅の副駅名称の広告主にもなっている企業です。同駅に採用されたタイプは阪急電鉄の神戸三宮駅に設置されているタイプと酷似していることから、従来品より質量を約1/2に低減した「軽量可動式ホーム柵」と呼ばれる製品だと思われます。ただし、京急および京三製作所のニュースリリースに「軽量型」との記載はないため詳細は分かりません。

開口幅は他社製の既設ホームドアと同等の推定3,200mmです。上り待避線ホームの3番線に限り、扉の透過部がガラス製ではなくパンチングメタル製で、その穴を利用して京急電鉄のマスコットキャラクター「けいきゅん」がデザインされています。「軽量可動式ホーム柵」のラインナップにはガラス・パンチングメタル・パイプの3タイプがあり、パンチングメタルタイプの採用はこれが初めてです[1]パイプタイプは2022年時点で採用事例がない。

1・2番線は通常のガラスタイプ
ホーム側から見た車両ドア間の筐体
ホーム側から見た車両連結部の筐体
線路側から見た車両ドア間の筐体
線路側から見た車両連結部の筐体

車両連結部には開き戸式の非常脱出ドアが設けられています。乗務員の出入りにも使われる各編成両数の前部・後部となる箇所に限り、扉にパンチングを施すことで反対側を確認できるようになった点が従来と異なります。この仕様は同駅以降の新設駅でも継承され、既設駅の一部でも同じ仕様に改修されました[2]ホームドアのメーカーによってはパンチングではなくガラス透過部を設けている。

各開口部には支障物検知センサが片側1箇所と非常開ボタンが左右2箇所に設けられています。制御基板などがあると思われる部分や、そこからセンサボックスに伸びる配線ダクトが筐体線路側に突出している点も阪急神戸三宮駅と同様です。

車両連結部に収納される扉は下部の厚みが大きく、その分だけ筐体下部も分厚くなっています。また、収納されると非常脱出ドア部分を突き抜けて反対側の筐体にも干渉するため、筐体側に切り欠きや窪みが設けられているのが分かります。

支障物センサに隣接して設けられた車掌向け表示灯

他駅との大きな変化が、車掌向け(および一部の運転士向け)の「ホームドア表示灯」および「停止範囲表示灯」が筐体センサボックスと一体型になった点です。この仕様も同駅以降の新設駅に継承されています。

「京三製作所本社」の副駅名が書かれた駅名標

乗務員用操作盤のボタン・ランプの内容および順番は従来と統一されているものの、メーカーの違いにより見た目は少々変わりました。なお、同駅のホームドアはQRコード式制御システムによって自動開閉されるため、基本的に操作盤を使用することはありません。

2 ホームドアの開閉方式

2.1 開閉方式の概要

京急電鉄のホームドア開閉方式は、車両側の改修を必要とせずに編成両数・ドア数の判別およびホームドア開閉を自動化できるQRコードを用いたホームドア制御システムが採用されています。

システムの概要は別記事で紹介しています。

左:定位置停止検知センサ
右:QRコード読み取りカメラユニット

ホームドア本体のメーカーは変わりましたが、QRコード読み取りカメラおよび定位置停止検知センサの仕様は特に変わっていないようです。

2.2 各種機器の配置

QRコード読み取りカメラ・定位置停止検知センサの配置は上図の通りです。

従来のホームドア設置駅(8両分ホーム)ではQRコード読み取りカメラが必ず2・3・6・7号車の3番ドア上に設置されていましたが、同駅の3番線以外は7号車3番ドアがギリギリ上屋が無い範囲にはみ出ておりカメラユニットを設置できないため、1・2番線の設置箇所は2・3・5・6号車となっています。

3 おわりに

京急線内では、既に整備済みの6駅に加えて、新たに同駅を含めた6駅へのホームドア設置が2021年度までに行われる予定です。京急のホームドア整備駅数はまだまだ少ないですが、最も標準的なナブテスコ製、同駅の京三製作所製、そして汐入駅で導入予定の日本信号製「軽量型ホームドア」と、早くも3つのメーカーの製品が混在することになります。

出典・参考文献

脚注

References
1 パイプタイプは2022年時点で採用事例がない。
2 ホームドアのメーカーによってはパンチングではなくガラス透過部を設けている。

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