京急電鉄のホームドア:現行の標準タイプ(羽田空港第1・第2ターミナル駅など)

タイプ | 腰高式 | |
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メーカー | ナブテスコ | |
開閉方式 | 自動(QRコード式連動) | |
停止位置許容範囲 | 不明(TASCなし) | |
開口部幅 | 【推定】3,200mm | |
非常脱出ドア | 開き戸式(各号車連結部) | |
支障物検知センサ | 3Dセンサ |
京急電鉄は2016年12月に利用客が多い主要5駅へのホームドア設置を発表し、その第1号として2019年2月21日に空港線の羽田空港国内線ターミナル駅(現:羽田空港第1・第2ターミナル駅)でホームドアの稼働が開始されました。同社におけるホームドアの新設は、隣の羽田空港国際線ターミナル駅(現:羽田空港第3ターミナル駅)が開業した2010年10月以来約8年ぶりのことでした。
これ以降、現時点においては同駅で採用されたタイプが京急線内における最も標準的なホームドアとして各駅に順次設置されており、本タイプをベースとした派生形も登場しています。当記事では本タイプの基本仕様について紹介し、駅やホームごとの仕様の違いについては別記事に順次まとめています。
目次
1 ホームドアの仕様
1.1 基本仕様

ホームドアのタイプは一般的な腰高式で、基本開口幅は推定3,200mmです[1]第3ターミナル駅のホームドアは開口幅2,800mmだったので400mmほど広くなった。。京急ではTASC(定位置停止装置)等の運転支援装置が未整備で、車種による多少のドア位置の違いもあるため、広い開口幅によってある程度の停止位置・ドア位置のずれを許容しています。外観の特徴から、メーカーは東京メトロ半蔵門線などと同じナブテスコと推測されます。
車両ドア間の筐体は左右のドアが互い違いに収められる戸袋一体型です。一方、車両連結部は左右の戸袋が分割されており、間には開き戸式の非常脱出ドアが設けられています。各開口部の3D式支障物検知センサは片側1箇所、非常開ボタンは両側2箇所に設けられています。

各編成両数の前部・後部は乗務員出入りスペース確保のため筐体がホーム内側にセットバックされており、非常脱出ドアは乗務員用の出入り口としても使用されています。なお、当該箇所の開口部には開閉可能な鉄製の仕切りが設けられているため、ホームドアが開扉中なら乗務員はここからでも出入りが可能です。

各編成両数の前部・後部には乗務員用操作盤が設けられていますが、後述の通り通常はQRコード式制御システムによって自動開閉するため使用されません。
2.2 設置時期による改良


2020年度に設置された平和島駅からは、車掌向け(および一部の運転士向け)の「ホームドア表示灯」「停止範囲表示灯」が筐体センサボックス内蔵型になったほか、非常脱出ドアのうち乗務員扉としても使われる箇所には、扉の周囲を確認できるようにガラス透過部が設けられました。これらは2019年度に設置された京急鶴見駅の京三製作所製ホームドアで取り入れられた仕様で、非常脱出ドアについては既設駅の一部でも同じ仕様に改修されました。
2 駅・ホームごとの仕様の違い
基本仕様は前項の通りですが、設置が進むにつれて駅・ホームごとの形態差が生まれていきました。詳しくはJR京急電鉄のホームドア:TOPページからタイプごとの特集記事をご覧ください。
(1)拡幅開口・二重引き戸タイプ
2019年以降は京急蒲田駅、横浜駅、上大岡駅などの京急本線の主要駅でホームドア整備が進められていきました。これらの駅でも基本構造は変わっていませんが、一部のみ開口幅が異なっていたり、さらには一部号車のみ二重引き戸タイプが採用されました。この理由は、先頭車の長さが僅かに長い2100形が他形式と連結した場合のドア位置のずれに対応するためだと思われます。
(2)羽田空港第1・第2ターミナル駅の「ホームドアデジタルサイネージ」

列車停車中の表示例

2020年11月10日から、羽田空港第1・第2ターミナル駅のホームドアで「ホームドアデジタルサイネージ」の運用が開始されました。全48か所の開口部左側に32インチ縦型デジタルサイネージが組み込まれ、上段・中段には多言語[2]日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語。で列車の行先案内や乗車位置表示などを、下段には運行情報やマナー啓発などのお知らせを放映しています。
2 ホームドアの開閉方式
京急電鉄のホームドアは、QRコードを用いたホームドア制御システムにより開閉が自動化されています。最初は羽田空港国際線ターミナル駅で2018年10月より導入され、国内線ターミナル駅でも設置当初からこの方式を採用し、以降も京急線内における標準方式となりました。
システムの概要は別記事で紹介しています。
3 おわりに
記事内でも述べた通り、京急では駅・ホームによって本タイプや本タイプの派生形、さらに他社製品まで多種多様なホームドアが採用されています。今後は2030年代中ごろまでに全駅でホームドア・固定柵の設置を目指す方針を発表しており、引き続き本タイプが標準として採用され続けるのか、それともまた新たなタイプが登場するのでしょうか。
出典・参考文献
- 駅ホームにおける安全性の強化 2020年度までにホームドアを京急線主要5駅に設置します – 【KEIKYU WEB】京急電鉄オフィシャルサイト(リンク切れ)
- 羽田空港国内線ターミナル駅にホームドアを設置 | ニュースリリース | 京浜急行電鉄(KEIKYU)
- 2019年2月21日(木)始発より羽田空港国内線ターミナル駅のホームドアの運用を開始いたします | お知らせ | 京浜急行電鉄(KEIKYU)
- 羽田空港第1・第2ターミナルホームドアデジタルサイネージ導入 | ニュースリリース | 京浜急行電鉄(KEIKYU)