京急電鉄のホームドア:京急川崎駅(京急本線ホーム)の仕様

タイプ | 腰高式(一部は二重引き戸タイプ) | |
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メーカー | ナブテスコ | |
開閉方式 | 自動(QRコード式連動) | |
停止位置許容範囲 | 不明(TASCなし) | |
開口部幅 | 一般部 | 【推定】3,200mm |
拡幅開口部 | 【推定】3,400mm | |
二重引き戸部 | 【推定】3,200mmまたは3,400mm? | |
非常脱出ドア | 開き戸式(各号車連結部) | |
支障物検知センサ | 3Dセンサ |
京浜急行電鉄の京急川崎駅では、2020年4月25日に京急本線下りホームの4・5番線、2020年6月25日に京急本線上りホームの6・7番線でホームドアが稼働開始されました。京急線内のホームドア設置駅はこれで6駅目となります。なお、現在のところ地上の大師線ホームには設置されていません。
目次
1 ホームドアの仕様

左:6番線(12両対応) 右:7番線(8両まで対応)
ホームドアの基本仕様はこれまでの設置駅と同様です。ホームは島式2面4線構造で12両編成の発着に対応していますが、普段12両編成が入線しない副本線の4・7番線は8両分だけが設置され、残りの範囲(浦賀方1両分・品川方3両分)には上大岡駅1番線と同じく手動式の可動柵が設置されました。
上下ホームともに両端付近は “黄色い点字ブロックの内側” というものが存在しないほど狭かったため、ホームドア設置によって安全性は飛躍的に向上しました。
5・6番線は上大岡駅などと同じく、ホーム側から見て右から5両目以降は一部が拡幅開口となっているほか、6番線だけは4号車部分に二重引き戸タイプが採用されています。詳しくは4項の図をご覧ください。
同駅のホームは両端付近が桁式構造、中央付近が鉄筋コンクリート構造となっており、桁式構造の区域においては筐体の基礎直下となる部分に支柱が増設されています。
2 ホームドアの開閉方式
同駅のホームドアは、これまでの設置駅と同じくQRコードを用いたホームドア制御システムによって開閉が自動化されています。
システムの概要は別記事で紹介しています。

奥:QRコード読み取りカメラユニット

ホーム上屋から吊り下げられているQRコード読み取りカメラ・定位置停止検知センサの仕様も従来通りですが、同駅では分割・併合運用に対応する関係で、5・6番線は定位置停止検知センサが2ヶ所に設けられている点がこれまでの設置駅と異なります。
制御面においては、システムの中核となる連動制御機器やホームドアへの開閉指令を送る信号線の数はそのままに、従来は信号線ごとに固定だった開閉制御指令をBIT化することで送信できる情報数を増やし、分割・併合を含めた様々な開閉パターンへの対応が可能になったそうです。
3 切り離し作業時の取り扱い
2016年11月19日のダイヤ改正以降、土休日午前の快特泉岳寺行き4本は金沢文庫駅から京急川崎駅まで後部に4両を増結した12両編成で運転されています。そのため京急川崎駅は全国的にも珍しいホームドア設置駅での切り離し作業が行われるようになりました。 切り離し作業時の具体的な取り扱いなどは別記事にまとめています。
4 号車ごとのホームドアタイプ・各種機器の配置


号車ごとの拡幅開口および二重引き戸タイプの配置、QRコード読み取りカメラ・定位置停止検知センサの配置、さらに各編成両数の停止位置を表した図です。5番線に二重引き戸タイプがないのは、12両編成の9両目となる位置に他の編成両数が重ならないことでドア位置のずれが少ないためだと思われます。
前述の通り、6番線では定期列車で切り離し作業を行うことと、将来的な分割・併合運用の新設を視野に入れて、5番線は4-6号車間と10-11号車の間、6番線は2-3号車間と6-7号車間(号車はいずれも12両基準)の2箇所に定位置停止検知センサが設置されています。


6番線ではホームドアの設置に伴い4・6両編成の停止位置が変更され、6両編成については停止位置が8両編成よりも1両分前になりました。停止位置をこの位置にせざるを得なかった理由は分かりませんが、これによりエレベーターや中央口改札に一番近い階段付近よりも前が編成の最後部となくなりました。
なお、上大岡駅2番線では同じくホームドア設置の影響で4・6両編成の停止位置に偏りが発生し、そのためか全ての普通列車が副本線の1番線発着に変更されましたが、京急川崎駅ではそのような変更は行われていません。
5 おわりに
大師線ホームを除けば、これで京急の1日あたりの利用客数が10万人を超える駅ではホームドア整備が完了したことになります。2020年3月には平和島駅や京急鶴見駅など新たに6駅へのホームドア設置が発表され、そのうち京急鶴見駅1番線では同年12月19日にホームドアが稼働開始されていますが、京急では初めて京三製作所の製品が採用されました。
出典・参考文献
- 京急川崎駅にホームドアを設置いたします | お知らせ | 京浜急行電鉄(KEIKYU)(下りホーム)
- 京急川崎駅にホームドアを設置いたします | お知らせ | 京浜急行電鉄(KEIKYU)(上りホーム)
- 2020年4月25日(土)始発より京急川崎駅4・5番線のホームドアの運用を開始いたします | お知らせ | 京浜急行電鉄(KEIKYU)
- 2020年6月25日(木)始発より京急川崎駅6・7番線のホームドアの運用を開始いたします | お知らせ | 京浜急行電鉄(KEIKYU)
- 山口 泰幸「京急川崎駅における列車分割・併合運用に対応した可動式ホーム柵の制御」『鉄道と電気技術』Vol.32-No.10、日本鉄道電気技術協会、2021年、p37-40