相模鉄道のホームドア:標準タイプ(羽沢横浜国大駅以降)

タイプ 腰高式(一部二重引き戸タイプ)
メーカー 日本信号
開閉方式 開扉 自動(定位置停止検知・両数検知)
閉扉 自動(車両ドア開閉検知)
停止位置許容範囲 【推定】±350mm(TASCあり)
開口部幅 一般部 【推定】2,600mm
大開口部 【推定】3,500mm
非常脱出ドア なし
支障物検知センサ 3Dセンサ

2019年11月30日に開業した相鉄・JR直通線において、相模鉄道とJR東日本の会社境界となるのが新駅の羽沢横浜国大駅です。同駅には駅を管轄する相鉄によって当初からホームドアが設置済みで、相鉄のホームドア設置駅は横浜駅に続いて2駅目でした。

同駅には横浜駅と異なるメーカーの製品が採用されており、2020年度から相鉄線内の既存駅においても本格的なホームドア整備が始まると、それらの各駅にも同じタイプが採用されました。よってこれが相鉄で最も標準的なタイプとなっています。

1 ホームドアの仕様

1.1 基本仕様

2016年に横浜駅で設置されたホームドアは高見沢サイバネティックス製でしたが、羽沢横浜国大駅は日本信号製となりました。近年のホームドアとしては珍しく扉にガラス透過部が設けられなかったこと、塗装をシルバー基調としていることなど、デザインは横浜駅と似せているようにも感じます。

TASC(定位置停止装置)が導入されているため停止許容範囲は推定±350mmですが、車種によってドアピッチが異なるためか開口幅は推定2,600mmとやや広めに確保されています。

ホーム側から見た車両ドア間の筐体
線路側から見た車両ドア間の筐体
ホーム側から見た車両連結部の筐体
線路側から見た車両連結間の筐体

車両ドア間の筐体は左右の扉を互い違いに収める戸袋一体型です。一方、車両連結部は左右が独立した分離型で、戸袋スペースが短いため扉の長さが左右非対称になっています。

扉が互い違いになっているのが分かる
1・4番ドアは左右の扉長さが異なる
支障物検知センサ・非常開ボタンは1か所の筐体に両側2開口分がまとめて設置されている

横浜駅と同じく非常脱出ドアは設けられていません。3D式支障物検知センサ・非常開ボタンをまとめて設置する構造は同メーカー製の東急田園都市線・大井町線ホームドアと一致しています。

ホーム両端には乗務員扉がある
8両編成用の乗務員乗降ボタン

横浜駅とは異なり乗務員出入り用の扉はホーム両端の2か所のみで、8両編成の前部・後部には設けられていません。その代わりに、近接する開口部のみを開閉するボタンがあり、ホームドア閉扉中に乗務員が出入りする場合はこのボタンを使用していました。

1.2 1・10号車の大開口部

1号車・10号車の大開口部
二重引き戸を収納するため少し分厚い
ドアピッチが狭い部分の筐体

JR東日本E233系や相鉄12000系などの変則的なドア配置に対応するため、1・10号車の乗務員室直近は推定約3.5mの大開口となっています。横浜駅とは違って、長い側の扉が二重引き戸式となった点が特徴です。

2 ホームドアの開閉方式

2.1 相鉄線内の方式

相鉄線内の各駅におけるホームドアの開閉方式は以下の通りです。

  • 開扉:自動(定位置停止検知・両数検知)
  • 閉扉:自動(車両ドア開閉検知)

地上側に設けられた複数のセンサによってホームドア開閉を自動化する「地上完結型連携システム」が採用されました。列車到着時は、列車の定位置停止と編成両数を検知して対応する範囲のホームドアを自動開扉、出発時は車両ドアの動きを検知してホームドアを追従させています。

この方式は車両側にホームドア連携用の機器を載せる改造が不要なため、他の事業者でも導入事例が増えています。しかし相鉄はそれだけでなく、将来的に東急線とも直通運転を開始すること、それによって機器の規格が異なる様々な車両が混在するようになることが「地上完結型」採用の大きな理由でした。

システムの詳細は別記事をご覧ください。

2.2 羽沢横浜国大駅の両社で異なる方式

羽沢横浜国大駅の開閉方式は相鉄側とJR東日本側でそれぞれ異なるシステムが採用されました。相鉄方面からの到着時・相鉄方面への発車時は地上完結型連携システムですが、JR方面からの到着時・JR方面への発車時は総武快速線の新小岩駅で実績のある無線式ホームドア連携システムが使用されます。

システムの概要や、このような方式となった理由の考察などは別記事にまとめています。

2.3 車掌用操作盤・表示灯など

8両用操作盤
右側にある突起は前述の乗務員乗降ボタン
羽沢横浜国大駅の10両用操作盤
灰色のBOXはJR用の無線連携アンテナ

乗務員操作盤は基本的に後部の車掌用のみ設けられています。地上完結型システムによる自動開閉が前提なので横浜駅のタイプより簡易的になったイメージです。

8両用は操作盤本体に「ホームドア状態表示灯」が、足下付近に「定位置表示灯」があり、この配置は横浜駅を踏襲しています。それに対して10両用は本体とは別に、謎の開ボタン・ホームドア状態表示灯・定位置表示灯が一体となった箱があります。

3 おわりに

羽沢横浜国大駅を皮切りに相鉄のスタンダードとなったこのホームドア。しかし、2023年3月18日に開業する相鉄・東急直通線の新横浜駅には、相鉄・東急それぞれの要素が混ざり合ったような独特な形態のホームドアが設置されています。

出典・参考文献

脚注

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