京急電鉄のホームドア:平和島駅の仕様

タイプ 腰高式(一部は二重引き戸タイプ)
メーカー ナブテスコ
開閉方式 自動(QRコード式連動)
停止位置許容範囲 不明(TASCなし)
開口部幅 一般部 【推定】3,200mm
拡幅開口部
二重引き戸部
【推定】3,400mm
非常脱出ドア 開き戸式(各号車連結部)
支障物検知センサ 3Dセンサ

京急電鉄の平和島駅では、3・4番線(上りホーム)は2021年3月27日、1・2番線(番線ホーム)は2021年6月26日にホームドアの稼働が開始されました。京急線内のホームドア設置駅はこれで8駅目で、快特通過駅としては京急鶴見駅に次いで2駅目です。

1 ホームドアの仕様

副本線ホームの未使用部分には手動柵が設置された
本線ホームの一部のみ二重引き戸タイプ

同時期に整備された京急鶴見駅は京急初となる京三製作所の製品でしたが、同駅は従来通りナブテスコ製の標準タイプです。ホームは島式2面4線構造で12両編成の発着に対応していますが、副本線ホームの1・4番線は8両分だけで、残りの前後2両分には後述する可動柵固定柵が設置されました。

12両分が設置された2・3番線は上大岡駅などと同じく、ホーム側から見て左から5~12両目は一部の開口幅が広く、さらに左から9両目(4号車部分)のみ二重引き戸タイプが採用されています。これは先頭車が長い2100形と他形式が連結したときに生じるドア位置のずれを考慮したものだと思われます。

基本仕様および12両対応ホームの特殊仕様についてはそれぞれ別記事をご覧ください。

センサボックスに内蔵された車掌向け表示灯
透過部が設けられた乗務員用出入り口

従来からの変更点として、車掌向けの「ホームドア表示灯」「停止範囲表示灯」が筐体センサボックス内蔵型になったほか、非常脱出ドアのうち乗務員扉としても使われる箇所には、扉の周囲を確認できるようにガラス透過部が設けられました。これらは2019年度に設置された京急鶴見駅の京三製作所製ホームドアで取り入れられた仕様で、非常脱出ドアについては既設駅の一部でも同じ仕様に改修されました。

2 ホームドアの開閉方式

京急電鉄のホームドア開閉方式は、車両側の改修を必要とせずに編成両数・ドア数の判別およびホームドア開閉を自動化できるQRコードを用いたホームドア制御システムが採用されています。

システムの概要は別記事で紹介しています。

QRコード読み取りカメラユニット
新設された支柱は色が鮮やかで目立つ
※2019年12月1日撮影
4番線に試験設置されていたQRコード読み取りカメラ(左)と定位置停止検知センサ(右)
※2019年12月1日撮影
試験に使われた2Dセンサには「新神戸 試行」の文字が
山陽新幹線新神戸駅のホームドア試験から流用された?

同駅のホーム上屋鉄骨の色に合わせて、各種機器を吊している支柱も水色に塗装されている点が特徴です。

ちなみに、2019年1月頃からしばらくの期間、同駅4番線にQRコード読み取りカメラと定位置停止検知センサを1基ずつ設置してQRコード式制御システムの機能試験が行われてました。この時期は既に地下駅の羽田空港国際線ターミナル駅(現:羽田空港第3ターミナル駅)でシステムを導入済みでしたが、地上駅におけるQRコードの読み取り性能などを検証していたのだと思われます。

3 ホームドアタイプと各種機器の配置

上りホーム3・4番線
下りホーム1・2番線

拡幅開口・二重引き戸タイプの配置、および各編成両数の停止位置とQRコード読み取りカメラ・定位置停止検知センサの位置関係を表した図です。これまでの12両対応ホームは2・3・6・7・10・11号車(12両編成基準)にカメラを設置していましたが、同駅では3・4・5・8・9・10号車となっています。

4 1・4番線の可動式固定柵

1番線の浦賀方はパイプ構造の観音開きタイプ
各号車1・3番ドアに相当する部分が開けられる構造

前述の通り、ホームドアが設置されなかった副本線ホームの前後2両分には上大岡駅・京急川崎駅と同じく手動で開閉できる可動式固定柵が設置されました。ただし、1番線の浦賀方のみ従来よりも簡素な格子タイプで、一部だけが観音開き式で開けられる構造となっています。理由は不明ですが、今後の採用拡大に向けた検証かもしれません。

5 おわりに

もともと有名撮影スポットだった平和島駅。ホームドア設置により以前のような構図で撮影することはできなくなりましたが、時速115キロで車体を大きく傾けながら整然と並ぶホームドアすれすれを走り抜ける光景は、むしろ今まで以上の迫力があると感じます。

出典・参考文献

脚注

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