JR東日本 山手線のホームドア:京浜東北線と同じ新標準タイプ(2019年度~)

JR東日本の山手線では、2016年度までに全29駅中24駅のホームドア導入が完了し、残りの駅[1]東京駅・新宿駅・渋谷駅・浜松町駅・新橋駅の5駅。は駅改良工事の進展にあわせて順次設置されることになっていました。

一方で、2016年度から整備が始まった京浜東北・根岸線のホームドアは、基本構造の総合的な見直しによって更なるコストダウンやメンテナンス性の向上が図られました。そしてこの新型ホームドアがJR東日本における標準タイプになり、山手線でも2019年度以降に設置された以下の駅は新型が採用されています。

  • 東京駅
  • 浜松町駅
  • 新橋駅
  • 高輪ゲートウェイ駅(新駅)
  • 原宿駅2番線(ホーム移転に伴う新設)
  • 品川駅3番線(ホーム移転に伴う新設)

以下、当記事では山手線の従来型ホームドアと区別しやすいように、新型ホームドアを「京浜東北線タイプ」と呼称しています。

1 ホームドアの概要

1.1 基本仕様

タイプ 腰高式
メーカー JR東日本メカトロニクス・三菱電機
開閉方式 トランスポンダ式連携
停止位置 ±350mm(TASCあり)
開口部幅 一般部 2,000mm
1・11号車大開口部 2,900mm
10号車大開口部 2,640mm
寸法(一般部) 筐体 高さ1,300mm×厚さ150mm(センサ部を除く)
高さ1,200mm
非常脱出口 開き戸式(各号車連結部)
安全装置 居残り検知 3Dセンサ

構造は大きく変わったもののデザイン面は従来の山手線タイプを踏襲しており、筐体部分の帯を内回りホームは太線1本、外回りホームは細線2本として見分けを付けやすくした工夫も継承されました。

京浜東北線と異なるのは扉部分がラインカラーではなく白色に塗装されている点です。

ホーム側から見た緊急脱出口
線路側から見た緊急脱出口

従来の山手線タイプはほとんどの戸袋部分に緊急脱出口を設けていたのに対して、京浜東北線タイプの脱出口が各号車連結部のみとなっています。よって1ホームあたりの脱出口は31か所→9か所[2]山手線は11両編成なので連結部の数は10か所だが、うち1か所には駅係員用操作盤が内蔵されていて脱出口が無い。と大幅に減少しました。

改良された侵入防止柵

2019年11月以降に稼働開始されたホームドアは、開口部以外に人が侵入することを防ぐ「侵入防止柵」が改良されています。これは2018年11月に山手線代々木駅で、ステンレス製の侵入防止柵と列車の車両ドアからはみ出ていた旅客の荷物が衝突し、飛散した部品がホーム上の旅客に当たって負傷する事故が発生したことを受けたものです。

改良型は衝撃を逃がすためゴム製とされ、真ん中には切り欠きが設けられています。これにより3D支障物センサの検知範囲を侵入防止柵より先にまで拡大し、もし旅客が柵を越えて筐体線路側に入っても検知できるようになりました。

現在は既設ホームドアにおいても改良型への交換が行われ、塗装を黄色にする改良も加えられています。

1.2 設置時期によるE231系対応・非対応の違い

E231系とE235系の先頭車ドア位置の違い
原宿駅2番線などはE231系対応の拡幅開口
東京駅などはE231系非対応の通常開口

設置時期ならではの特徴が、2020年1月に山手線から引退したE231系500番台のドア位置に対応しているか否かです。これまではE231系とE235系の先頭車ドア位置の違いに対応するため乗務員室直近の開口部を幅2,900mmとしていましたが、E231系引退後に設置された駅では両先頭車ともに通常の開口幅となっています[3]ただし、原宿駅新2番線の供用開始はE231系引退後だったもののホームドアはE231系対応タイプ。

一方で、輸送障害時などに京浜東北線が山手線の線路を使用する場合を想定し、京浜東北線との並行区間のみ10号車4番ドアを拡幅開口としているのは従来通りです[4]山手線中間車と京浜東北線E233系先頭車のドア位置の違いに対応するため。

2 ホームドアの開閉方式

ホームドア開閉方式はこれまでと同じく、トランスポンダ装置を用いた送受信により車両ドア側の開閉操作と連携するシステムです。列車が±350mmの停止許容範囲内に停止すると、1号車(外回り方先頭車)に搭載された「ホームドア車上子」と線路側に設けられた「ホームドア地上子」がピッタリ重なって情報の送受信が可能になります。

詳しくは別記事をご覧ください。

3 おわりに

ちなみに、原宿駅や品川駅のホーム移転により撤去された旧ホームドアは廃棄された模様です[5]訓練センターなどで流用されている可能性はある。。特に品川駅のホームドアは2016年稼働開始だったので使用期間はわずか5年程度でしたが、京浜東北線タイプより基礎工事などに手間のかかる山手線タイプを使いまわすメリットも無いのでしょう。

出典・参考文献

脚注

References
1 東京駅・新宿駅・渋谷駅・浜松町駅・新橋駅の5駅。
2 山手線は11両編成なので連結部の数は10か所だが、うち1か所には駅係員用操作盤が内蔵されていて脱出口が無い。
3 ただし、原宿駅新2番線の供用開始はE231系引退後だったもののホームドアはE231系対応タイプ。
4 山手線中間車と京浜東北線E233系先頭車のドア位置の違いに対応するため。
5 訓練センターなどで流用されている可能性はある。

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