広島電鉄 しれっと登場! 3000形3003号も直通色に復元

2023/01/10 広電本社前にて
5号線運用を終えて千田車庫に戻る3003号

2022年12月末、広島電鉄3000形(元・西日本鉄道)で唯一の現役車両である3003号が、千田車庫での定期検査と併せて全面広告ラッピングを解除し、かつての「宮島線直通色」に復元されました。営業運転には年明けの1月6日から復帰したそうです。

3000形直通色は3002号が廃車・解体された2021年3月以来の復活ですが、3003号は約17年間も全面広告車として活躍し続けたため、同車の直通色復元にはそれ以上の意味があります。2022年10月には3100形3101号も宮島線開業100周年を記念して直通色に復元されており、これで広電の営業線上に2本の直通色が帰ってきました。

1 公式発表ないまましれっと登場

しかしながら、宮島線開業100周年のメインイベントとして大々的に告知された3101号とは違い、3003号は公式から何の発表もないまましれっと姿を現しました(1月12日時点でも発表無し)。

そもそもここ数年は3003号自体が謎の存在と化しています。3000形最後の現役車両となった2021年以降は予備車的な立ち位置になり、2022年3月から順次拡大された連接車の「ICカード全扉乗降サービス」にも唯一対応していません。それでもひっそりとしぶとく活躍を続けているのです。

2014/05/04 本通~袋町にて
A車前面~右側面の「CHINTAI」ラッピング
※チンタイガーが実写(着ぐるみ)だった2代目デザイン
2019/02/01 江波にて
B車前面~右側面の「エイブル」ラッピング

3000形は1976年に西鉄福岡市内線から譲り受けた2連接型車両を3連接型に改造した電車です。8編成が導入され[1]1992年に3001号が廃車。、当初は市内線~宮島線の直通運用として活躍、1998年ごろに市内線へ転属しても「直通色」塗装はそのままで運行を続けていました。

3003号が全面広告ラッピング車になったのは2005年ごろだったそうで、系列の不動産関連企業「CHINTAI」と「エイブル」の広告を両サイドにそれぞれ掲載するという独特なデザインが施されました。2010年ごろにはCHINTAI側のデザインがリニューアルされ、どでかく描かれた同社のマスコットキャラ「チンタイガー」のインパクトによって、広電ファンの間では3003号自体もチンタイガーと呼ばれるようになります。

そして再びデザインが変更された2015年ごろから3000形の廃車が本格化。2021年2月にはついに3003号が最後の現役車両となってしまいます。しかしそれと同時に、謎めいた動きを見せるようになりました。

2 ここ数年の3003号 “しれっと伝説”

2.1 朝ラッシュの8号線専属に(2021年4月~7月)

2021年4月6日から7月30日までの平日において、朝ラッシュ時の8号線1往復(所定は単車運用)に3003号が専属で使用されました。この変更に関する告知は公式サイト等に一切掲載されず、経路となる各電停に小さく掲示されたのみで、この時から3003号の “しれっと伝説” が始まります。

2.2 運用離脱中にラッピングが3800形へ継承される(2021年10月)

予定通り7月末をもって8号線連接車運用は終了し、3003号もそれ以降は江波車庫で事実上の休車状態となっていました。すると10月11日、3800形3802号がCHINTAI&エイブルの2代目広告車となって姿を現します。つまり3003号の広告車としての役目は失われたと思われたため、このまま廃車になってしまうのか、あるいは直通色や西鉄時代の塗装に復元されるのではないかと不安や期待が寄せられました。

2.3 運用復帰もICカード全扉乗降には非対応(2021年11月~)

2021/11/– 広島駅にて
チンタイガーがイラストになった3代目デザイン
2022/11/23 千田車庫にて
長年まとったラッピングが剥がされる直前の姿

しかし翌月、3003号は予想を裏腹にそのままの姿で営業運転に復帰します。復帰後は3802号とも当たり前のように共存しながら、主に平日朝ラッシュ時の5号線連接車運用に入りました。

その後も3003号の処遇をおびやかす出来事が立て続けに起こります。2022年3月から連接車への「ICカード全扉乗降サービス」拡大[2]2018年から1000形「グリーンムーバーレックス」限定で開始。が開始されるも3003号は対象外になり、同年10月のダイヤ改正では1・5号線の連接車運用が削減されました。それでも毎朝ほぼ決まった運用でしれっと走り続けます。

2022年11月23日に開催された広電創業110年周年の記念イベント「ひろでんの日2022」では、検査入場のため台車を抜かれた3003号の姿も展示されました。この約1か月後、17年ぶりの直通色となって千田車庫を出場、今日に至ります。なお、今回の検査入場でもICカード全扉乗降には非対応のままで、単車では活発化しているパンタグラフのシングルアーム化も行われていません。

3 電車公園の実現までは生き延びる?

3003号の直通色復元とほぼ同時期の12月21日、広島電鉄は路面電車のテーマパーク「電車公園(仮称)」を建設する構想を中国新聞の記事で明らかにしました。宇品線の延伸が計画されている南区出島地区に2階建ての新車庫を建設、その1階部分をテーマパークとして活用するのだといいます。

現在の広電には、歴史的価値が高い他都市からの移籍車両が最低1形式1両は現役として残されています。しかし老朽化やバリアフリーなどの問題もあり永遠に走らせ続けるわけにはいきませんから、せめて博物館のような施設が実現するまでは何としても動ける状態で残したいのでしょう。3003号がしぶとく生き延びているのもそういった方針があるためだと思われます。

4 おわりに

将来的なことはさておき、まずは3003号に対する公式からの言及と、何らかの記念イベントに期待してしまいます。ちなみに3000形は現在も宮島線を走行するために必要なATS(自動列車停止装置)を装備しているはずなので、それを活用した “何か” があると面白いですね。

出典・参考文献

脚注

References
1 1992年に3001号が廃車。
2 2018年から1000形「グリーンムーバーレックス」限定で開始。

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